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転生8日目

目が覚めると朝になっていた。昨日はぐっすりと眠ることができたな。身体を起こし、ステータス画面を確認する。


名前:カヤイ

種族:蟲人(幼体)

体力:34/34

魔力:31/31

レベル:8

スキル:虫モンスターテイム、自己修復、蟲生成、生命力譲渡、念話、生成蟲強化


昨日、【生命力譲渡】を使用したことにより減った体力や魔力が回復したのを確認し、夜の間にさらに強固になった拠点を歩きながら見ていく。アントとキャタピラーたちに拠点づくりを任せたのは正解だったようで、今では俺やソフィアが寝ている場所の他にもいくつかの部屋を作り始めているようだ。このままいけば前の洞窟と同じかそれ以上に快適な拠点になるだろう。期待を胸に秘めつつ、今後の予定について考える。


(ふむ、着実に戦力は増え続けているし拠点も守りが固くなっている。あとは食糧だな。安定して食料が得られるようにしたい。果樹園や畑でも作るか?いや、ここは森だ。そんなことしてんくても十分な量の食料があるはず。食料調達部隊を作って集めさせよう。蟲生成で数を増やすか。)


俺は仲間の数を確認する。


仲間の数

・ジャイアントアント×5 

・レッサーアント×5  

・レッサーキャタピラー×5

鉄鋼甲虫アイアンビートル×1


仲間の数を数えつつ考える。食料調達部隊を作るなら2通りのパターンがあるな。戦闘力はそこそこだが、物を運ぶのに慣れているジャイアントアントのみで構成する部隊、もしくは仲間の中で一番戦闘力の高い鉄鋼甲虫アイアンビートルと物を運ぶことのできるレッサーアントで構成する部隊。どちらがいいだろうか。


しばらく考え、ジャイアントのほうにすることにした。鉄鋼甲虫アイアンビートルの方だとレッサーアントたちが他のモンスターにやられないようにするためには一塊にならなければならず、効率が悪い。その点ジャイアントアントならレッサーアントよりは倒されにくいので各自散らばって周囲の食料集めをすることができる。よし、決まりだ。ジャイアントアントたちに行かせて、鉄鋼甲虫アイアンビートルには拠点の防衛を担ってもらおう。せっかく作った拠点をモンスターの襲撃などで壊されてはたまらない。


俺はさっそく【蟲生成】と【生成蟲強化】を使用してあらたにジャイアントアントを1体増やす。そして年話を使用してジャイアントアント6体に拠点の周囲にある食べ物を集めてくるように伝える。またいい機会なので仲間を部隊ごとに分けてそれぞれ役割を決めて指示を与える。


〈食料調達部隊〉

・ジャイアントアント×6


〈拠点建設部隊〉

・レッサーキャタピラー×5

・レッサーアント×5


〈拠点防衛部隊〉

鉄鋼甲虫アイアンビートル×1


よし、これで食料問題は解決するだろう。拠点もレッサーアント達とレッサーキャタピラー達に任せれば大丈夫だ。ということは後は戦力だな。これだけはいくらあっても困ることはない。昨日、ソフィアから聞いたようにこの世界には化け物みたいに強いやつらもいるようだし。


とりあえず、俺自身のレベル上げをすることにしよう。いくら仲間がたくさんいても街のようにたくさん連れていけない場所もあるだろう。そんな時に自分の戦闘力が高かったり魔力が多ければその場で自分で戦えたり、その場で仲間をたくさん生成することができる。


というわけでおれは今日は一人で森の中で戦いに行くことにした。ソフィアは俺一人だと守れないかもしれないので拠点で留守番だ。そう伝えると、それならそれで俺の仲間たちの観察や研究をするとのことで特に不満そうな様子はなかった。


そういうわけで俺は一人で久しぶりに森の中に探索に出かけた。途中、木になっていた果物をもぎ齧った。最近ではソフィアほどではないが食料を見つける技術が上がってきて他にもキノコや木の実、鳥の卵などを見つけることができた。食べきれない分はレッサーアントを1体生成して拠点に運ばせいざという時のために手を自由に使えるようにしておく。その後、しばらく歩いていると、森の少し開けたところに小屋があるのが見えてきた。


まさかこの森に住んでいる人がいるのか?だとしたら、それなりに腕に自信のある人だろう。俺は警戒しながら小屋に近づいていき、扉の前に立つ。


コン、コン、コン


こちらに敵意がないことわかってもらうために精一杯ゆっくりとノックしてみる。


しかし、中から返事がこない。誰もいないのだろうか?


俺は扉に手をかけてゆっくりと開く。小屋の中はあまり広くなく、特に家具なども置いてなかった。しかし部屋の隅にあるもの気付く。


そこには人骨が、まるで標本のような立派な全身の骨がうつぶせになって倒れているのを見つけた。ここに住んでいた人で亡くなったのだろうか。しかし、違和感を感じる。気のせいか骨から生き物のような気配を感じるのだ。


そう思ってじっと見ていると突然、骸骨がゆっくり動き出した。


あまりにホラーな状況に動けずにいると、骸骨はついに立ち上がりこちらを向いて何が言いたげな様子で見てくる。なんなんだこれは。おれはどうしたらいい。驚きつつも頭を動かす。


(襲ってはこないので知性があるのかもしれない。いや、知性がなさ過ぎて襲ってこない可能性もあるか。なにしろ頭のなかはは空洞だろう。ものを考えられるとは思えない。いや、見た目で判断するな。ここは異世界だぞ。何があってもおかしくない。もしかしたらいきなり現れたのが人間じゃなくて驚いているだけのかもしれない。もし俺が人間だったとして、訪問者が手足が6本ある昆虫に似た人で何も言わずじっとこちらを見つめてきたら怖いもんな。)


おれはとりあえず【念話】を使って話しかけてみることにした。


『こんにちは、こちらに敵意はありません。俺も死ぬ前は人間でした。今は蟲人ですがもともとは虫を研究する大学生でした。とりあえず、人間でないものどうし、仲良くしませんか?』


相手がどのくらい念話の内容を理解できるかわからず、また得体のしれない骸骨に話しかけるという緊張もあって要らないことまで話してしまう。俺の前世の話をしてもわからないだろうに。


念話はとりあえず聞こえたようだ。俺からの念話に対して骸骨が動き出す。

おれは警戒を解かずに注意して相手の動きを観察する。


しかし骸骨はなんというか、、、その時の俺にとってはおかしな行動をとり始めた。


まず、最初に骸骨は両手を万歳して小躍りした。魔法の予備動作か?突然の不可解な反応に俺は距離をとり逃げる準備をする。しかしそうすると骸骨は焦ったように自分を指さして何かを訴えているようなしぐさをした。何を言いたいんだろう?さっぱりわからない。そう念話で伝えると、骸骨は頭を抱えた。そうして、しばらくたっただろうか。こちらを見ると突然、腰を落とし、空気椅子の体勢をして左手と右ひじを膝に、右手を顎に当て完全にあの有名な「考える人」のポーズをとった。


その瞬間おれは確信した。この人は俺と同じように地球から転生してきた人だ。


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