131話
絶賛スランプ!
気付いたらめっちゃ時間たってた!
街の西に聳える最上級のダンジョン、天を貫く巨塔。
ユカ達4人は、久々にここに来ていた。
「何かすっごい久々な気がするー」
塔を見上げてミコが呟く。4人がここに来た理由は、ニナの防具の素材が50階のボスのドロップアイテムだったから。
「前回は確か40階まで行ったから、次は41階からね。今日は休日だから、50階目指そう」
ニナが握りこぶしを上げる。
「次の敵は、確か虫系だったね」
ユカが攻略情報を共有する。巨塔は10階毎に出現するモンスターの傾向が決まっている。
「・・・最悪」
虫があまり好きではないモモがしかめっ面を浮かべる。
「嫌悪感が出ないようにある程度デフォルメされているとはいえ、虫だもんねぇ」
「私はこのゲームの虫はそんなに苦手じゃないけどね。相手にもよるけど」
4人は塔の内部に入り、41階の中間地点から、42階へ侵入する。
「何か、古代遺跡みたいなところだね」
42~50階は石の通路に植物が生えた古代遺跡みたいな場所だった。
「最初は虫のタマゴとかが散乱してたらしいけど、めっちゃ不評だったからこうなったらしいよ」
「それは、まぁ、そうなるわね」
42階を探索すると、すぐに魔物と遭遇する。
「なにあれ。空飛ぶ、ミミズ?」
「フライングワーム。まぁ名前通りね」
「数、多くない?」
ミコが嫌そうに言う通り、魔物は10体はいた。
「虫系だから。個の能力は低いけど数が多いタイプが多い」
「あるいは単独だけどデカくて強いタイプ。極端なんだよね」
【忍術:火遁・業火】
ユカが忍術を放ち、虫を焼いていく。
「虫は炎がよく通るわね」
「私も炎技が多いから、炎弱い相手は楽でいいねー」
その後も、甲殻が異様に硬いテントウムシや大きいワームが襲い来るが、それらを燃やして先へ進む。
順調に進み、難なく中ボスの待ち構える45Fへ辿り着く。
「あれがボスぅ・・・?」
ミコが嫌そうな顔でぼやく。
「そう。『ワーム・マザー』だっけ。本体は動かないし近づかなければ攻撃も当たらないけど、体力が高くて雑魚敵を無尽蔵に生み出してくるめんどくさいボス」
地面からツボが生えたような異形の生物に、管のような太い触手が何本か生えてる姿をしている。
「出てくるゲーム、間違えてない?」
「まぁ、虫系ってデザイン難しいよねぇ」
そんなことを言い合ってる間に、ボスが動き始める。触手の先端から大きな、小型犬ぐらいのサイズがあるイモムシのような魔物を産み落としてくる。
「私がザコを減らすから、ニナがボスを集中狙いで、2人はいつも通り後方支援ね」
ユカが簡単に指示を出し、4人も動き始める。
ニナがボスの攻撃範囲ギリギリの位置で固定砲台として蒼い炎を放ち、ユカがユカが火遁で大量に出てくる雑魚敵を処理していく。
「ゆかちー、こっちにも漏れてきてるんだけどぉ!?」
「数が多すぎるから、そのくらいそっちで処理して!」
ユカに文句を言いつつも、剣鉈で近づいてくるイモムシを切り捨てるミコ。
戦闘は順調に進み、体力が半分を切ると今まで出てきたものよりも巨大なイモムシが出てくるようになった。直立すれば2メートルはありそうなイモムシが、それまでのイモムシに混ざって襲ってくる。
「デカいのが出るようになったね」
「さすがに小さいのよりタフだし、デカいからジャマね」
ユカはニナに近づくザコを優先的に処理していた。固定砲台化しているニナが捕まれば、ジリ貧になるから。
だから、部屋の端の方を通ってミコとモモの方へ向かうイモムシは優先度が低く、見逃されがち。
「デカいの硬いんだけどー!」
体格差があるので、デカいのは剣鉈を使わずに植物を生やして遠隔で処理していくミコ。
大きな植物の蔓が上からハンマーを振り下ろす様にイモムシを叩き潰していく。
「私がやられたら演奏が止まるから、最悪あなたが囮になって私を守ってね」
「ももっちもヒドイ!」
大きい分動きが遅いので、問題なく処理して進み、残り体力が1割を切ると、また動きに変化が現れる。
これまでイモムシを生んでいた触手の一本が、その先端をニナに向けた。
(こんな動きあったっけ?)
ニナが知識にない行動に困惑していると、触手の先端から散弾銃のように何かが発射される。
「ニナっ!?」
回避が遅れたニナはソレをモロに受ける。
「なに、これっ・・・、はひゃっ!」
ニナに発射されたのは、ミミズのような虫。太さは1~2センチで長さも30センチ程度しかない小さな虫だが、それが何十匹も固まっている塊を発射された。
「ひゃぃっ!あっ!はぁっはっはっははははははは!」
そのミミズはニナにぶつかると同時に動き出し、服の裾や袖から中に入り、ニナの体を這い回っていた。
「あっ!あはっ!はぁっ!なにこれっ!やぁっ!あぁっはっははっははははは!」
「あれは、助けるのは無理そうね」
ニナに取りついたミミズを、イモムシを処理しつつ引きはがすのは無理だと、ユカは早々に判断する。
「これやばぁっ!あぁ~~~っはっはっはっははは!あっ!あっはっははっははははははははは!」
「残り一割なら何とかなるかな」
ユカはMP回復のポーションを飲み干すと、火力の高い忍術を使い始める。
「やっ!あぁーーっはっはっはっはははははははは!はひっ!やぁぁっ!あはっ!」
この量のミミズが体にくっついていたら普通は酷く取り乱しそうではある。
「やぁぁーーっはっはっはっははっはあははははははは!あはっ!はぁっ!あっはっはっははは!」
だが強いくすぐったさがそんなことを考える余裕も持たせてくれず。
「あぁぁっはっはっはっはははははは!ひゃめぇっへっへへっへへへへ!」
何よりニナは、ミミズぐらいなら触手と大差無いな、ぐらいにしか感じられなくなっていた。
「あっひっひっひひひひひひ!ひゃぁぁっはっはっははははは!」
ニナが笑い転げて3分ぐらい。残り一割ならゴリ押せると踏んだユカがボスを倒し終える。
それと同時に、ニナをくすぐっていたミミズも、まるで最初からいなかったように消失する。
「あひぃ・・・、はぁっ・・・、はー・・・」
ニナの呼吸が落ち着くまで休憩した後、4人は46Fへ進む。




