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第11話:覚悟と思惑と失敗と

投稿ペース落ちてますな・・・

これからもっと落ちるかもですね、スンマセン。

私の脳内で言葉が反響し、繰り返さえ、理解する。


「襲撃?、学園が?」

「えぇ、今現在、教師達が協力し、皆を体育館にて避難を-クッ、いつ突破されるかわからない。」


画面にはマリ姉が苦しそうに状況を報告している。


「風紀委員と教師達が各個撃破に向かったけれど返り討ちに・・・、今は治療を受けているわ。」

「状況はわかりました。直ぐにギルドにも報告を、俺達も向かいます。」

「わかったわ、じゃあ、私も他の子のサポートに回るから。」


通信はそこで途切れた。


「行かないと・・・、早く、早く・・・。」

「わかってる。直ぐに魔導車に乗れ、全速力だ。」


いや、それじゃあ遅い。

私は緑の宝玉を投げる。


「アースちゃん、何を・・・。」

「先に行く。」

「おい、勝手な行動は慎め。」


アースは躊躇う素振りを見せず、彼女の意思に沿った巨大な猪に飛び乗る。


ポップはその見た目から想像も出来ない速さで走り出す。それは初速度から一気に加速し、MAXを維持し続ける。




サルメニアとの連絡を切った後、マリスネは・・・


「流石に1人でこの規模を維持し続けるのは・・・、キツいわねぇ。」


教師達はもう全員が負傷していた。


と言うのも、闇ギルドは真っ先に教師達を襲撃し、手傷を負わせているのだ。マリスネも例に漏れず、頭に傷を負った。


生徒達は風紀委員と残った生徒会役員によって統率され、教師達の治療に当たっているが、回復魔法を使える者が少ないうえ、ポーションも数が合わない。


この状況で結界を突破されたら一巻の終わりなのである。


「でも戦況は・・・最悪だわぁ。」


何より数が多過ぎる、生徒会が来ても対応しきれるかどうかも不明。


「やっぱりギルド自体が動き出さない限りは・・・。」


しかし、ギルドは動くに動けないだろう・・・

私達は人質なのだから。


さっきまで結界に大きな衝撃が伝わってくるのが分かる。

だが今ではパッタリ止んでいる。

これがチャージしていると考えるならば・・・


「万事休す・・・かな?」


だが自身の立場を考え、振り立たせようと首を振る。


「私が弱気になるなんて、教師失格よ!」


けれど状況は変わらず。



────────────────────────

ダックはほくそ笑んでいた。

何人か生徒を捉えた、教師の襲撃に成功した、残った奴らは各体育館に追い詰めた。


怖いくらいに物事が進む、笑わずにはいられない。


「ダックさん、高密魔砲マジック・ブラスターがフルチャージっス!」


高密魔砲マジック・ブラスターとは、ただ単に魔力を圧縮し圧縮し圧縮しただけの物で純粋に破壊の力としては吐き出すのだ。


「お偉いさんに貸してもらったかいがあったってもんよ。」


貸し出し料は高かったが、その分の価値はあったようだ。


「よし、撃て、あのドデカイ結界を破壊してやれ!」


高密魔砲マジック・ブラスターは鼓動する、機械音の咆哮、解放される魔力、放たれる破壊の権化。


だがそれは突如張られた障壁によって阻まれる。


障壁は直ぐに破れたが、マリスネの結界を壊すほどの威力は削がれらようで結界は維持されていた。


「一体どこのどいつだ!?」


ダックは、いやその仲間達も見た。

魔物の域に入った巨大な猪を、それを駆り、颯爽と現れた、白銀の髪を持つ少女を。


その光景に誰もが見蕩れ、少しばかりの畏れに似たものを感じた。


「オメェら人質だ、直ぐに用意しろ。」

「へ、へい。」



白銀の少女、アースは憤りと自身の情けなさ、浅はかさを嘆いていた。


もっと対策を万全にしておくべきだった。

何処かで過剰な自信を持っていた、だが結果はこれだ。


いくら自分を叱咤した所で結果が変わることもないだろう。しかしこの状況で自身を叱咤しない者がいるのか・・・否、正しく否!


するとテロリスト共が人質を出してきた。


「フォウ・・・カ?」


そこには友人がいた。

あのいつも活力に満ちていた顔は今では絶望とこの先起こることの恐怖で染まっていた。


許せない。


決して許すことはできない。


私の学園を傷付けた、私の宝物を傷付けた、私の居場所を穢した、私の・・・


──私の友達を友達を傷付けた!!


私はポップから降り、マリ姉の所へ向かわせ、状況の確認をさせている。


私はゆっくり歩いて、敵へと向かう。


「アース!!」


フォウカが叫んでいる、ごめんねフォウカ・・・


今助けるから。


「オメェら蜂の巣にしてやれ。」


光弾が私に降り注いでいる、それも四方八方から、私は貫かれた。


フォウカか私を呼んでいる声が聞こえる、少々咽喉が混じっている様だ、たぶん私の為に泣いているのだろう。


「へ、びっくりさせやがって、警戒して損したぜ。」


(【ご主人様マスター生命維持が困難です。指示を。】)


サムさん・・・

(【はい、何でしょう?】)

私・・・


──人間はもうやめるよ。


(【・・・承認、修復データから、天使への昇華を選択】)


はぁ・・・、短い人間人生だったなぁ。


(【生の神アマネリとの、魂の接続、成功。】)


まさか、破損されたデータがこんな物だったとは、正直予想外でしたよ、アマネリさん。


「こっちも破損されたデータを修復されるなんて予想外だったよ。」


「あれ?、アマネリさんの声がする。」


「魂の接続によって会話出来ているんだよ。


「そうなんだ。でもサムさんが居て何で予想外なんだろうか。」


「君がサムと呼ぶナビは、最初は卵でしかなかったんだよ。」


「卵?」


「そう、君が産まれたてのナビに名前をつけ、君の意思で成長したんだ。それが予想外に成長したものだから、もうびっくり。」


ここまで話し込んでいるが、まだアースの体は地面についてもいない。


つく前に白い光の繭に包まれる。


繭は発光し、辺りを満遍なく照らす。


「天使への昇華の準備段階だよ、でも本当に良かったの?」


「良かったんですよきっと。」


天使になるということは、神に全てを捧げるという事、もし私が暴君になるようだったら天使にし、コントロールするつもりだったらしい。


【情報の受信・・・、不審なデータを発見、削除──失敗、削除──失敗、強制的に開封させられました。】


【情報の流入により、データが更新されました。】


「何が一体・・・。」

「ちょっとこっちもわからないかな。」


【天使への昇華が変異し、神への昇華を開始します。】


「「はい?」」


繭は一層輝きを増す。


「あちゃ〜、そういう事か・・・。」

「え?、どういう・・・。」


視界は晴れていく。


その時に、彼女は世界に愛された、世界に祝福された、世界が彼女の全てを肯定した瞬間だった。


繭が消えたそこには、純白の羽を広げる、女神がいた。

今回は表現でも何でもない、単純に女神がいるのだ。


仮面は取り払われ、その美は顕になっている。

だが、その光景を見て尚、野心を燃やすものたちがいる。


「羽が生えたくらいで、やっちまえ!」

「あいつァ、上物だ、ガキでもあれは万人ウケするだろうぜ。」


だがその男、ダックだけは違った。


あれは、決して逆らっちゃあいけねぇ奴だ。

こっちには人質がいる、まだ間に合うはずだ。


ダック以外のメンバーたちがアース目掛けて走る。


「馬鹿野郎、行くんじゃあねぇ!」

「お頭ビビることはありやせんぜ、こっちにゃあ高密魔砲マジック・ブラスターがありやす。もしもの時は吹っ飛ばせばいいんですよ。」


そういう問題じゃねぇ、だがその危機感は部下達にはない。


少女は声を発する。それは少女のものにも関わらず、途轍もない重圧を生むものであった。


「『跪け、下郎共!』」


アースは叫ぶ、怒りを顕にし、目の前に広がる有象無象を見て絶対的な効力を持つ一言を告げた。


この言葉には誰もが困惑と嘲笑と下卑た醜い感情が共存していた。


だが、有象無象は気付かされることだろう・・・


自身の視線が段々と低くなっていることに


「どうなってやがる!、体が動かねぇぞ!」


まるで自分の体では無いかのような錯覚に雁字搦めにされて、誰も彼もが呻き声にも似た声を出している最中、立っている者が1人。


ダックである、ダックは、跪けと言う命令をする前にはもう既に膝を折っていた。


故にアースの呪言にも似た権能を弾くという結果になった。


跪いている者を跪かせるのはどうすることも出来ない、ここに来てアースの能力に綻び、弱点とも言える物を見つけることが出来たのだが・・・


ダックはそれどころではない、人質と自分以外は身動きが取れない状況、彼の精神力は摩耗していく、予感が的中したのだ、いやそれよりも悪い結果となっている。


目の前にいる子供は、逆らっちゃいけないんじゃない、逆らえない存在なのだと。


この状況を打破する方法を考え、真っ先に思い浮かんだ存在・・・


高密魔砲マジック・ブラスター・・・


淡い期待を抱き、走り出す。


魔力チャージはMAX、機器障害無し、圧縮率最高潮、常時発射可能。


「くらいやがれ!!」


破壊の光がアースを包む、純粋な破壊は地面を抉り暴風を起こす。








アースを強くし過ぎてピンチにするのが難しい・・・


次も頑張るます!

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