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第73.5話「野菜をたべましょう」

「わたし、そんなに味を感じません」

「うーん、シャキシャキ感かなぁ」

「あ、それはわかるかも」

「ポンちゃん、タヌキだから食べなくてもいいんじゃ?」

「今は人間なんです」


 夕飯のお皿には千切りキャベツ。

 わたし、タヌキの時はそんなにキャベツとか食べてなかったように思います。

 でも、今は人間なわけですから、バランスよく「三角食べ」してるの。

 それに…わたしはタヌキはタヌキでも野良タヌキでした。

 千代ちゃんにゴハンをもらっていたので、人間の出してくれたものはなんでも食べちゃいます。

 ミコちゃんの出してくれる食事、モリモリ食べちゃいます。

 ミコちゃんのゴハン、おいしいし。

 でも……ちょっと店長さんに聞いてみます。

「あの……」

「何? ポンちゃん?」

「店長さん、キャベツ、おいしいですか?」

 店長さん、おいしそうに千切りキャベツを食べています。

 わたしも食べてはいるけれど……そんなに味、します?

「わたし、そんなに味を感じません」

「あー、千切りキャベツはね~」

 店長さん微笑みながら、

「うーん、シャキシャキ感かなぁ」

「あ、それはわかるかも」

「ポンちゃん、タヌキだから食べなくてもいいんじゃ?」

「今は人間なんです」

「でも、いきなり何を……」

「いや……店長さん……」

 わたし、店長さんをじっと見ます。

 箸でつまんだ千切りキャベツ。

 口に運ばれてモグモグ。

 店長さん、美味しそうに食べてます。

「野菜、おいしいです?」

「……」

「わたし、炒め物とかならわかるけど……」

「まぁ、確かに味はないというか、ドレッシングだけど」

「でしょ」

「うーん、子供の時は野菜、嫌いだったかな」

「今は好きなんですか?」

「そうだね……好き……かな?」

「ふへ~」

 店長さん、ちょっと考えてから、

「今はなんとなく、だけど、そう……」

「そう?」

「体が欲してる……かな」

「そうなんだ……」

 わたしも食べます千切りキャベツ。

 味……ドレッシングか一緒に食べるハンバーグの味?

「はは……ポンちゃんも大人になったらわかるよ」

「むー……」

 わたし、店長さんを見つめます。

「店長さん、わたしを大人にしてみようとか……」

「思わない」

 即答です……ぐっすん。

 って、わたしのお皿に領空侵犯してくるフォークあり。

「レッド、なにやってんですか」

「みつかりました~」

「ハンバーグはあげませんよ」

「さんね~ん」

 レッド、わたしのハンバーグをあきらめて店長さんを見つめています。

「てんちょー!」

「はい」

「やさいとハンバーグ、とれーどとか」

「はい、どー……」

 店長さん、「どー」で止まっちゃいましたよ。

 毎朝、レッドは店長さんに卵焼きとかメザシとかトレード。

 夜も大体そーなんですが……

 どうして「どー」で止まっちゃいますか。

 いつも「どーぞ」って言ってるのに。

 見れば店長さん、引きつった笑み。

 そんな店長さんの視線の先にはミコちゃんです。

 店長さんを「ジッ」と見つめてる……にらんでいる?

『ミコちゃん、なに怒ってるの?』

『店長さん、レッドに甘いの』

『は?』

『いつもトレードで、レッド野菜食べないのよ』

『まぁ……子供だし』

『私は食べさせたいの』

『そうなんですか』

 あ、レッドも気付いたみたいです。

 あきらめて……なんですか、またわたしのところです。

 腕を引っ張らないでください。

「ポン姉~」

「なんですか、モウ」

「とれーど、ぷりーず」

「英語使ってもダメです」

「むー」

「唸ってもダメです」

「ポン姉はやさい、たべるべき」

「レッドの方が食べるべきです」

「いーや、ポン姉」

「どうしてですか?」

 って、レッド、トレードするって言ってないのに、千切りキャベツをわたしのお皿に移します。

 わたし、ハンバーグをお茶碗に退避。

 レッド、ニコニコで。

「やさいあげます」

「むう」

 レッド、わたしに千切りキャベツを押し付けて「お残し」回避する魂胆。

「レッド、野菜食べないと大きくなれないよ?」

「ぼくはまだいいですよ」

「?」

「ポン姉、どんどんやさいたべて」

「はぁ?」

「ポン姉、いつも『モウモウ』いいます」

「レッドが言わせてるんでしょ、モウ」

「ほらほら~」

「それがどうしたんですか、モウ」

 ふふ、レッドに合わせて「モウ」って言っちゃえ。

「このあいだ、うしさんみました」

「ああ、コワイコワイの時?」

「そーです、あれは『ぱちぱちじいさん』とゆーそーです」

 おじいちゃんの愛称「パチパチじいさん」なんだ。あってるかも。

「で、どーしたんですか、モウモウ」

「ふふ、ポン姉、モウモウ言いますね」

 わざとですよ。

「うしさんみました」

「それがどうしたの? モウモウ」

「うしさん、くさしかたべません」

「違いまーす、藁も食べてまーす、モウモウ」

「うしのおっぱい、おおきいです」

「モ……モウ……モウ……」

「やさい、たくさんたべたら、ポン姉も」

 い、今、一瞬テーブルが揺れました。

 見回せば、みんなわたしから顔を背けてます。

 口元を抑えて、肩を震わせているの。

 レッド、ニコニコ顔で、

「どらやきから、あんぱんへ」

 モウ……レッドのおかげで、ハンバーグの味、しなくなりました。

 胸の事はほっといてくださいっ!


 はい、ポンと村おこし6クール目もおしまいです!

 みんなが「イイネ」を押してくれると7クール目も連載ですよ~

 7クール目ってどんな話しなのかな??


「そう、今回の神楽は子供神楽だから」

「そうなんだ、だからわたしは仕事ナシか~」

「出たかったの?」

「うーん、どうせ楽器当番で目立てないしね」

 わーん、子供ターンなんだ、わたしの出番はないのっ!


 どんな話なのかな??


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