第21話 最下層には何が?
夢野真穂(魔法少女プルシェリア)
クラス:魔法使い +使い魔イルカの「フリッツ」
HP:普通、MP:高い、STR:貧弱、VIT:根性無し、DEX:不器用、INT:低め、AGT:どんくさい
佐伯瑠
クラス:狩人 +レッドホーク357マグナム
HP:高め、MP:低い、STR:高め、VIT:高い、DEX:凄腕、INT:低め、AGT:素早い
なんだろう? この魔石、他のと違う。まず、大きさが一回り大きい。他の魔石は弱々しいながらも青白い光を発する石という感じなのに、これは透明感があって水色の水晶のよう。
「ねえ、これも魔石なのかな?」
「それは魔石じゃないキュイ。プルシェリア、それは大当たりキュイよ! プルシェリアはツイてるキュイ。それは非常に希少な水の精霊石キュイ!」
「精霊石?」
「そうキュイ。その中に水の精霊が住んでいる超レア物キュイ! 水の精霊を操る事ができれば、それがあれば一生水には困らないんだキュイ!」
へえ。つまりこれ自体が水源って事なのか。『精霊石』って何だか『魔石』と同じくらいファンタジー味を感じるよね。
「で、どうやって水の精霊を操るの?」
「少なくともプルシェリアには無理キュイ。その手の才能を一切持ち合わせていないんだキュイ。ちなみにそこの男も無理キュイ。土と火の精霊をほんのちょっぴり扱えるだけなんだキュイ」
「それって、うちらにとっては宝の持ち腐れって事?」
「有り体に言えばそうキュイ」
そういう事なら、とりあえず持ち帰って、お金に困ったら売ろう。
それにしてもこの部屋の水、綺麗だなあ。しかも水量も豊富。このままだと生水になっちゃうから、一応魔法で蛇口を付けてと。二人分だから大量に水を汲んでおかなきゃ。そのために水筒を大量に用意しないと。
ふと見ると、佐伯さんがしゃがみ込んでこちらをじっと見ている。見ていないで手伝ってくれれば良いのに。男の人って家事絡みになると途端に女性の仕事扱いするんだから嫌になる。
「凄えな。それだけの量をポシェットに入れても、ポシェットの重さは全然変わらないんだろ。俺もそんな便利なアイテムを貰えたら、もっと楽に探索ができるのになあ」
ポシェットを手に重さを確認する佐伯さん。あまりの軽さに中を覗き込んでいる。
「俺にも作ってよ、これ」
「作るのは構いませんけど、多分私が魔法を解いたら、中身が全部出ちゃって壊れちゃうと思いますよ」
「それって、毎回真穂ちゃんに魔法をかけて貰わないといけないって事?」
「キュイにそう説明を受けているんですけど、まだ魔法を解いた事が無いからわからないんですよね」
ただ、ぱっと見で佐伯さんは荷物らしい荷物を持っていない。軍用っぽい水筒を腰の左右に下げ、ウエストポーチに干し肉がパンパンに入っているだけ。つまり地上からここまで、毎食干し肉を水で流し込でやって来たという事になる。三食干し肉だけとか、私だったら気が狂いそう。
「さて、こんなもんで良いでしょう。引き続き地上を目指しましょう」
「ちょっと待って」
佐伯さんは人差し指を口に当て、銃を構えて忍び足で通路へ歩いて行く。銃口に何やら砲身と同じくらいの長さの長い棒を取りつけ、外の何かに狙いを付けた。
プシュッ プシュッ プシュッ プシュッ
空気が抜けたような音がして、バタッという何かが倒れたような音が外から聞こえた。
「ゴブリンですか?」
「いや、うり坊だよ。二匹仕留めた。あいつらはこっちを見ると逃げるからな。銃声を消したんだ。多分これで地上までの食料は何とかなるんじゃないかな」
部屋から出て、ぐったりしたうり坊を二体引きずってくる佐伯さん。二体共にちょうど眉間と心臓を撃ち抜かれている。恐らくは即死。まるで血袋かのように銃創から血が零れ出ている。
「じゃあ、魔法で解体してもらっちゃいますから、離れててください。佐伯さんを解体しちゃったら困りますからね」
最後の脅しに過剰反応した佐伯さんが、うり坊から手を離して大袈裟に距離を取った。
「ミラクル マジカル ラララララ! このうり坊を解体して!」
マジカルスティッキをうり坊に向け魔法を唱える。するとスティッキから星が飛び出した。解体風景を見たくないのでうり坊から背を向ける。だが、佐伯さんは解体されるうり坊に視線を釘付けにしている。
「うわぁ……凄え鮮やかな手際。俺がやったらこんなに綺麗にはいかねえわ」
見たくはないけど、どうしても音は聞こえてきちゃう。ジュリジュリという何だかよくわからない音や、ブチブチという何とも不快な音を立てている。
「なあ、真穂ちゃん。地上に出た後なんだけど、俺たち組まないか? 俺の銃、真穂ちゃんの魔法、二人合わせれば最下層に辿り着くとも夢じゃないと思うんだよ」
じっと解体風景に視線を固定しながら佐伯さんは言った。
それがパーティーメンバーとしてという事はわかっている。わかっているのだけど、何となく赤面してしまう。恋の告白でもされたかのような。違うってわかってても錯覚を拭いきれない。
「あの……そういえばなんですけど、最下層に辿り着いたら何があるんですか?」
「まだ辿り着いた人はいないからね。実際に何があるかはわからない。あくまでそういう噂って感じなんだけどね」
しゃがみ込んでいた佐伯さんが立ち上がり、真顔でこちらを向いた。真顔で見られると、その整った顔に思わず赤面してしまう。
「何でも一つだけ願いを叶えてくれる存在がいるらしい。それがどんな存在なのかはわからない。だからきっと、最下層まで行けば、うちらも元の世界に戻れると思う」
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