農村
着いた農村は、かなり活気がなかった。というのも農村では、農地ばっかりで建物がなく人口密度が低かった。農地の近くに家を建てるので家は点在していて、なかなか人に出会わない。休耕地と農地が点在しているので、何も植えられていないところもある。
領主の代官と大きい建物の中央公会堂で会うことになっている。大きさはただの一軒家ぐらいだけど、他の建物よりはしっかりしている。代官と会うのは水車の工事と、実験用に水車の設置の許可をもらうことにある。元々修理の目的として来ることになっていたのだから、工事自体は可能であろう。
水車は収穫期のあとの粉引きの時期を避け、夏のあまり使われ内示きに行うことが多い。水車を使う他の地域を転々とすることになるが、新型水車の動作試験のために長くとどまることになる。その間に通信のためのエネルギーを充填する。通信だけであれだけのエネルギーが必要ならば、期間のためにはもっと多くのエネルギーが必要かもしれない。
農村に来て、親方だけでなく私も代官に挨拶に呼ばれることになった。他のメンバーは一度は代官と面会したことが有るので、顔を合わせるだけなのだろうと思っていたが。
代官「よく来てくれた、毎年のことであるがよろしく頼む」
親方「承知しています」
代官「こちらが、異国から来たというやつか、あとで二三聞きたいことがあるので残っていほしい」
「わかりました」
ただの挨拶に来たはずなのに何となく嫌なことがありそうなことになってしまった。
代官「それから、そこのお方は領主の娘である。」
コーディネータが代官の面会にも着いてきたのはやや不思議に感じたが、その理由が後にわかった。このコーディネータだと思っていた人は領主の娘で、監視の任務に付いていた。なので、色々しゃべるとあとで領主にしゃべった内容はつつ抜けになっていただろう。ここで、改めて盗まれたあとにあった店主の反応を思い出すと、おおむね納得できそうなところである。以降、コーディネータではなく領主の娘と呼ぼう。
代官との話の内容は渡された物資がその後、どう扱ったら良いかがわからず。扱いに困っているということであった。オイルランプ、鏡、包丁の3つだったらしい、特に説明が必要なものとも思えないのだが。
オイルランプは火の付け方がわからない、というのもあるかもしれないが。鏡などは見るだけだし、包丁もナイフが有るのだから悩む必要もないだろう。オイルランタンより太陽光充電式のLEDランタンだったら、燃料がいらないのに。なのになぜオイルランプを選んだのだろう。
代官「まずこの鏡であるが、鏡面を磨く必要があるのか」
「汚れたら布などで服といいと思いますが」
代官「私の知っている鏡は放置していると表面の金属が錆びてきて磨かないといけないが、そういうことはないと」
「そのとおりです。」
この時代の鏡は金属の表面を鏡のようになるまで磨いているだけのようである。現代の鏡はガラスに金属を蒸着しているために錆びなくなっている。
代官「それとこの鏡であるが、2面あり一方が拡大して見えるのだが、あっているのか」
「そのようです」
代官「ガラスや金属というのがわかったが、縁の材質は何でできているのか」
「プラスティック、いや樹脂、うーん、木の傷から出てくるモノに似たものからできています。が、私も詳しく知りませんし琥珀のようなものとしか言えません。」
代官「ナイフなのだが、こちらの柄の部分も、見たことがない材質のものだが」
「それも同じプラスチックですね。その包丁はステンレスなので錆びないのが特徴です」
代官「錆びないということは貴金属でできるのか、銀ではナイフに向かないと思うのだが」
「鉄ですが、クロムを混ぜることで鉄が錆びににくくなり、ステンレスと呼ばれています。」
代官「クロムか知らないな」
「オイルランプについてはなにかありますか」
代官「似たようなものはあって珍しくはない、形が精工でさすがの一品だとは思う。」
どう見ても工業的に量産されたよくあるものにしか見えないのだが。LEDランタンなんかをもってきていたら質問攻めでめんどくさかったろうな。手作りが高く量産品が安い現代と価値観が違って見えてしまうものなのだろうか。
それから、代官にこの国と元いた世界との違いを聞かれたがなんとも答えにくかった。この農村の問題点がいくつかがわかっている。例えば労働力の割りに収穫が少ないので、農業以外をする人がほとんどいないこと。農家の割合が高いので、工業の発展に進まない。工業化のためには、収穫量を増やす必要がある。この世界には合成肥料がないので、生物資源をかき集めて農地に投入するために大規模に人手が必要になっている。
今は冬場ではないのでいいのだが、寒い季節の薪を集めるために気を切手集めるのに大分遠くまでいく必要が出てきているようだ。近くに石炭が出ることがわかっていても煙が多く出るので嫌われているようだ。石炭があるならば、うまくすれば蒸気機関が可能かもしれない。ただ、それを可能にするための要素技術が揃っていない。
多少文字数が増えた。できれば農村を開発してみたい。




