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ほほえみ社長  作者: とみた伊那
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9.日出夫の給料日事件

給料日事件が起こって社長と話し合いをした翌月曜日、私はATMで給料の入金を確認した。

「ジュンちゃん、おはようございます」

元気に挨拶したが、ジュンちゃんの顔は暗い。

「どうしたの? お給料、入っていなかったの? 」

「入ってたの。入っていたのだけど……」

ジュンちゃんはキャッシュカードを指でぐるぐる回しながら、ボソッと言った。

「ダンナの給料が入っていなかったの」


これにはさすがのジュンちゃんも能天気なダンナの尻を叩いて、社長のところに給料の交渉に行かせた。

「しっかり給料を決めてらっしゃい! 」


そして整体院を開業して一か月目、やっと夢野整体院に於いても給料の取り決めがされた。

*まず全体の売り上げから五万円を家賃として社長に払う。

*残った額を半分ずつ社長と日出夫とで分ける。

「決めてきたよ~」

と楽しそうにジュンちゃんに報告する日出夫。

「つまりお給料が保証される従業員ではなく、共同経営者みたいになるのか」

明らかにジュンちゃんは落胆していた。


考えてみれば簡単に分かる。

整体院の開業時間全てにお客さんが来ると仮定して、日出夫一人が一人しか治療できない。どんなに頑張ってうまくいっても、入る金額の最高額は分かっている。そこから五万円を引き、さらに半分になったら日出夫の手取りはせいぜい十万そこそこである。

「うちは今、ローンの支払いで大変なの。その分私が頑張らなくちゃ」

ますますジュンちゃんは現実世界に突入していった。


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