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愛はひとつではないから  作者: ぽーりー


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41/46

39 本性




「殿下!モニカ・ゴードンが屋敷に戻ったとの連絡が!!」

「なんだと!?ミリアは!!一緒ではないのか??」

「それが・・・モニカ・ゴードンが一人で戻ったようです」


くそ・・・。

ミリアをどこかに隠して戻ったのか?

いずれにせよ私は一度彼女に会う必要がある・・・。


「屋敷へ向かう」

「かしこまりました」







ゴードン子爵家を訪れると、小太りのゴードン伯爵が慌てて玄関先に出て来た。


「で、殿下?どのようなご用件でしょうか??」

「急に来てすまない。そなたの令嬢に話があってきた」

「えぇ??モニカにでございますか!?」


伯爵の顔には驚きと共に喜びが滲み出ていた。


「すぐに呼んで参りますので、応接間で少々お待ちください!」


屋敷に入ると、趣味がいいとは言えない豪華な調度品で埋め尽くされていた。

ずいぶんと身分不相応な生活をしているようだな・・・。

応接間でしばらく待っていると、派手な装いのモニカが顔を赤らめながら入って来た。


「スレイン様!どうされましたか??私に何かご用でしょうか??」


モニカはドレスを優雅に翻しながら向かいのソファに座った。

急いで来たように振る舞ってはいるが、念入りに準備してきたようだな。


「君に聞きたいことがある」

「私に?」

「あぁ。先程までどこかに出かけていたようだが、どこへ行って来たんだ?」

「それは、キーフランドですわ」


そう口走ってしまったモニカの顔がみるみると青ざめた。


「い、いえ、違います。私は王都で買い物に・・・」

「キーフランドで何をしていたんだ?」

「ミリア様にお会いしていました」

「ミリアに・・・?」


モニカは慌てて口を塞いだ。


「ス、スレイン様、私今日は調子が悪いようですので失礼しますわ」


モニカがソファから立ち上がろうとしたので、私は腰に下げていた剣を鞘から抜いた。


「ス、スレイン様!?」

「座ってくれ」


私が剣先を突きつけると、彼女は大人しくソファに座り直した。


「それで、ミリアに会ってどうしたんだ?」

「夕食をご一緒しただけです。彼女がスプーンをうまく持てないようでしたので、食べるのを男に手伝わせて差し上げましたわ」


剣を握る私の手は小刻みに震えていた。


「彼女はどこだ・・・?」

「さぁ?わかりません。マリノで奴隷として売ろうとしたら、隙をついて逃げ出してしまいましたわ。今ごろ山奥を彷徨っているんじゃありませんか?」


それを聞いた瞬間、私はモニカの腕を切り付けていた。


「きゃあぁぁ!」


モニカは腕から流れる血を押さえて私を睨んだ。


「何をなさるのですか!!長年スレイン様を支えてきた私にこんなことをするなんて!!」

「支えてきた?」

「生徒会で私がどれだけ会長であるスレイン様をお支えしてきたか!知らないとは言わせまんわ!」


一体何を言っているんだ?

そもそも生徒会は私のために存在するものではない。

この女は昔からすべてを履き違えているんだな。


「お前の献身などどうでもいい。ミリアはどこだ?どこへ向かった?」

「ははっ!知りませんわ。見失ったのは昨日のお昼頃ですから、もうどこかで野垂れ死んでしまっているのでは??」


モニカは満足気に笑った。

やはりこの女は常軌を逸している。


「ミリアの行方を知らないのなら、もうお前に用はない」


私がソファから立ち上がると、モニカが突然私の腰にまとわりついて来た。


「行かないでください!もう少しお側に居させてください!初めて私を訪ねて来てくださって嬉しかったんです!愛人でも何番目でもいいですから、私をお側に置いてください!スレイン様のためなら私は何でもいたしますから!」

「はっ・・・もう二度とお前に会うことはない。名前を呼ばれただけでも身の毛がよだつ」


私が冷めた目で見下ろすと、モニカは床に這いつくばった。


「そんな・・・ひどいわ・・・。ずっとお慕いしてきたというのに・・・」


モニカは絨毯に爪を食い込ませながら泣き出した。


「お前には城で証言してもらう。マッシュ!入って来い!」


すると、廊下に控えていたマッシュが中に入って来た。


「この者を城へ連行しろ」

「かしこまりました」


マッシュに両手を拘束されたモニカは廃人のように目の焦点が合っていなかった。

応接間から出ると、伯爵と伯爵夫人が娘に何が起こったのかと嘆いていたが、城からの沙汰を待つように言うと大人しく引き下がった。


マッシュはモニカを後ろの馬車に乗せ、私の馬車に戻って来るとホッと息を吐いた。


「その指輪が役に立ちましたね」

「そうだな・・・」


私は右手にはめていた指輪を見下ろした。

これは昨日ミヒル王子から城に送られて来た物だった。

この指輪には相手を自白させる魔法が施されているからお前の役に立つだろう、と手紙には書かれていた。


「何かお礼をしなくてはいけませんね」

「あぁ・・・。でもまずはミリアの捜索が先だ。今からテネスに向かう」

「かしこまりました。ではモニカ・ゴードンは城の取調室に軟禁しておくように言っておきます」


マッシュは馬車を止めて後ろの馬車に指示を出しに行った。

初めからこうしてモニカを拘束していれば、ミリアはこんなことにはならなかった。

自分の詰めの甘さに嫌気がさす・・・。

モニカはミリアがマリノという街から逃走したと言っていたが、土地勘のない場所から一人でアルドレアに向かうのは無理がある。

どこか安全な場所に身を隠してくれていればいいが・・・。

ミリア、頼むから私が行くまで無事でいてくれ。




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