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愛はひとつではないから  作者: ぽーりー


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20/46

19 腕輪を贈る意味



ミヒル視点


  ↓


ミリア視点






「ミヒル様、本当にスラナビアに行かれなくてもよろしいんですか?」


従者のサハルが不服そうな顔でハス茶を持ってきた。


「あぁ。第一王子の結婚式があるからな」

「それよりも姫にお会いした方が・・・」

「無事を確認出来ればそれでいい。今はタランタールを再興するために一つでも多くの国と懇意にしておく必要がある。アルドレアの第一王子とも親睦を深めておかないとな」


タランタールが崩壊して200年。

王族たちは他国に散らばり、生存が確認されている末裔も今では20人に満たない。

俺は彼らを探し出して保護し、かつての強国を蘇らせようとしていた。


「しかし第一王子が王位を継ぐかどうかはまだわかりませんよ?」

「第二王子はまだ幼いだろう」

「確か13歳だったかと。今年から他国に留学させているようですね」

「賢い判断だな」


国王も第一王子を後継者にする事を決めているのだろう。

今のうちからあらぬ火種を生まないようにしておいた方がいい。


「ミヒル様、スラナビアに行かれないのは本当に結婚式だけが理由ですか?」

「何が言いたい?」

「最近のミヒル様はとても楽しそうにしてらっしゃるので」

「そうか?」


アルドレアには腕輪の入手と結婚式の参列のために来ただけだったが、今は面白いものが見つかったからな。


「また変な事をお考えのようですね」







「またいらっしゃったんですか?」

「あぁ。街を案内してくれ」

「昨日もご案内しましたよね?」

「今日もよろしく頼む」


またミヒル様が屋敷にいらっしゃった。

外国の富豪というものは皆さんお暇なのかしら?


「申し訳ありません。今日は先約がありまして」


私がお断りを入れようとすると、丁度スレイン様を乗せた馬車が門から入って来た。

今日はずいぶんと早くいらっしゃったわね。


「ミヒル様、お客様が来られたので今日のところは」

「紹介も出来ないような相手なのか?」

「いえ、そういうわけでは・・・」


馬車が玄関前で止まり、黒いスーツを着たスレイン様が降りて来た。


「ミリア・・・」

「スレイン様、ようこそお越しくださいました」


スレイン様は私の隣にいるミヒル様を見て少し驚いた様子だった。


「そちらの方は・・・」

「こちらは、ミヒル様です。先日ちょっとしたご縁がありまして、お知り合いになったんです」

「知り合い?俺は友人だと思っていたんだが?」


ミヒル様はそう言うと、私の右手を掴んで金の腕輪に口付けをした。


「ちょ・・・」

「何を・・・」


私とスレイン様は固まってしまった。


「今日は忙しいようだからまた明日来よう」


ミヒル様は私を見て口の端を上げた。

確信犯だわ!

ミヒル様が馬車で去っていくのを見送ると、スレイン様と目が合った。

微笑んでいらっしゃるのに何故か寒気が・・・。


「ミリア、どういうことか説明してくれ」

「は、はい」

「なぜ君がタランタールの王族と一緒にいる?」

「え??」


王族ってどういうこと??


「知らなかったのか?あの赤い瞳はタランタールの王族の血を引く証だ」

「そんな・・・」


そういえば歴史書で読んだことがあるわ・・・。

腕輪を手に入れることに必死でまったく気が付かなかった。


「彼とはどこで会ったんだ?」

「それが・・・」


私はこの腕輪を手に入れるためにオークション会場に行ったことをスレイン様に話した。


「なんて無茶なことをしたんだ!貴族たちにバレたら大変なことになるだろう!」

「ちゃんと変装はしました!噂にもなっていませんし、誰にも気付かれていないと思います!」

「それにしても・・・」


その時、スレイン様は私の右手にはめている金の腕輪を見てハッとした。


「この腕輪はタランタールに伝わる腕輪じゃないのか?」

「はい。そうです」

「これは、王族がプロポーズをする際に相手に贈るものだ・・・」

「えぇ??」


ミヒル様はそんなこと一言も・・・。

言われてみれば、腕輪に散りばめられた赤い宝石が彼の瞳のようだわ・・・。


「まさか、彼から貰ったのか?」

「いえ、そうではなく、譲っていただいたと言いますか・・・」

「もらったんだな?」

「すぐに外します」


腕輪を抜こうとすると、電流が流れたかのように弾かれてしまった。


「あ・・・」

「どうしたんだ??」

「確かこの腕輪には契約魔法がかかっていて、解除しないと外せないそうです」

「・・・・」


スレイン様は呆れ顔だ。


「あの、しばらく着けておいてもよろしいでしょうか」

「仕方ないな・・・」


ずっと着けておくつもりだったのに、まさかこの腕輪が婚約の証だったなんて・・・。




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