↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛はひとつではないから  作者: ぽーりー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/46

11 また君を失うわけには



ミリア視点


  ↓


スレイン視点






私がコリーナと入れ替わってから早一ヶ月、今日はアルドレア王国国王陛下の生誕祭が行われる日だ。

私もこれからスレイン様の妃としてパーティーに出席しなくてはならないので、今まさにドレスアップの真っ只中だった。


「大丈夫ですか?」


おさげ髪の可愛い侍女、リズが心配そうに私の顔を覗き込んだ。


「だ、大丈夫よ。座っているとコルセットが少しキツイけれど」

「では少し緩めましょうか?」

「いいえ。今の形が綺麗だと思うわ。しばらくしたら慣れるでしょう」

「わかりました。今日はお暑いですし、気分が悪くなったらすぐにおっしゃってくださいね」

「えぇ」


やはり第一王子の妃ともなると、ドレスや装飾品がとても豪華ね。

見栄えはいいけれど、すごく肩が凝りそうだわ。

私の準備が整った頃、白い軍服姿のスレイン様が部屋を訪れた。

なんてお似合いになるのかしら!

黒い髪と青い瞳がいつも以上に映えていらっしゃるわ。


「ミリア、綺麗だ」

「スレイン様も、とても素敵です」


結婚式でのお姿を見られなかったから感動がひとしおだわ。

タキシードもきっとお似合いだったでしょうね・・・。


「では行こうか」

「はい」


スレイン様がスマートに差し出した手に、私はそっと右手を重ねた。


王族や貴族たちが一堂に集まり、大聖堂で式典を行った後、城の大広間で盛大なパーティーが開催された。

パーティーは立食形式だったが、王族席のみ用意されていたので、私は長時間着席したまま来賓たちと挨拶を交わしていた。


「コリーナ様、お顔が真っ青ですよ?」

「え?」


声がした方を振り返ると、馴染みのある女性と目が合った。


「モニカ・・・」


いけない!

私は今コリーナだったんだわ。


「はい。モニカ・ゴードンです。覚えていてくださったんですね」

「え、えぇ。姉のご学友ですもの」


生徒会で一緒に活動していた頃が懐かしいわ。

三年が経っているからか、モニカもだいぶ垢抜けたわね。

学生の頃はもう少し控えめな装いだったのに。


「ご気分が優れないのではありませんか?」

「えぇ。少しコルセットが苦しくて・・・」

「わたくしも丁度お化粧室に行こうかと思っていたところなんです。コリーナ様もご一緒に行きませんか?」

「そうですね・・・」


スレイン様はあちらで立ち話をしているし、私も少しなら席を外してもいいわよね。

私は護衛の騎士に化粧室に行くと伝えて、モニカと大広間から抜け出した。

化粧室にはリズにも付いて来てもらい、コルセットを少し緩めてもらうと少し気分が良くなった。

早く戻らないと、スレイン様が心配しているかもしれないわ。

化粧室を出て大広間へ戻ろうとすると、中庭の方を眺めていたモニカが足を止めた。


「この季節は睡蓮が美しいと聞いたのですが、少し見てみてもいいでしょうか?お城にはなかなか来られませんし・・・」


確かに、王族からの招待がない限り城には滅多に入れないものね。


「そうですね。参りましょうか」


もう少しくらいなら平気よね・・・。

廊下から中庭に出て緑のアーチを抜けると、池一面に広がる桃色の睡蓮が私たちを出迎えた。


「まぁ・・・綺麗ですね・・・」


モニカが嬉しそうに石橋を渡り始めたので、私も彼女の後を追った。


「コリーナ様は毎日この景色を堪能されているのですか?」

「いいえ。こちらまではなかなか来ませんね」

「それは勿体無いですね。私でしたら毎日参りますのに」


なんだか変ね。

モニカはこんなに堂々と話すタイプではなかったはずだけれど。

三年でこんなにも人が変わってしまうのかしら・・・。


「ではそろそろ戻りましょうか。きっと殿下もコリーナ様をお待ちですわ」

「えぇ。そうですね」


歩いて来た道を戻って石橋を渡っていると、モニカが突然声を上げた。


「あっ!ブレスレットが!」


後ろを振り返ると、モニカが池の中を覗き込みながらオロオロしていた。


「どうなさったのですか?」

「それが、大事なブレスレットを落としてしまって・・・」

「それは大変!すぐに警備の者を呼びましょう。リズ!呼んできてちょうだい!」

「かしこまりました」


リズが小走りで大広間へと向かうと、モニカは申し訳なさそうに視線をそらした。


「そこまでして頂かなくても・・・」

「でも、大事なものなのでしょう?」


私もモニカと並んで池の中を覗いてみたが、装飾品らしきものは見当たらなかった。

すると次の瞬間ーーーー


ドンッ


背中を押された私は、真っ逆さまに池の中へと落ちて行った。







「誰かっ!誰か来てください!!」


突然パーティー会場に入って来た令嬢が大声で叫んだ。


「なんだ!?」

「何事だ??」


令嬢はどよめく来賓たちを掻き分けて、なぜか私の元へと向かって来た。

すると近づいて来るにつれ、彼女が見知った顔だと気付いた。

学生の頃、生徒会の書記をしていたモニカだ。


「スレイン様!!コリーナ様が大変なんです!!」

「なに!?コリーナが??」

「池に!中庭の池に落ちました!!」


それを聞いた瞬間、私は走り出していた。

なぜミリアが中庭に?

先程まで王族席に座っていたはずだ!

いつの間に大広間を出た?

彼女は無事なのか?

くそ!

早く!

もっと早く走れ!


石橋の左右を確認しながら走っていると、池の底にうっすらと黄色いドレスが沈んでいることに気付いた。

だめだ!

また君を失うわけにはいかない!!

私は躊躇する暇もなく、池の中へと飛び込んでいた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。