40.晴海は疲れる
「ねえ相良さん!昼一緒どうだ?」
「え、えと……咲ちゃんたちと食べるから今日は遠慮しとくね!」
「そ、そうか。じゃあしょうがないね」
「う、うん!後でね!」
今日で夏休みが始まって3週間。
始めて鶴岡君とあってからしばらく鶴岡君は芸能活動で学校にはあまり来なかったんだけど、最近は毎日きている。
仕事がひと段落ついたのかな?
それはいいとして、学校にくるようになってからやたら僕に声をかけてくるような…そんな気がしなくもない。
「みんなおまたせ〜」
鶴岡君が誘ってくれるのはうれしいけどやっぱり僕としてはこの4人といたほうが落ち着くしね。
「おせーよ晴海。みんな待ってたんだぞ」
「ごめんごめん。ちょっといろいろあって…ね」
「もしかしてまた鶴岡君?」
さすが咲ちゃん!
察しがいい!!
「そう、これで何度目だろ」
「またあいつ(鶴岡)かよ。最近学校よく来ると思ったら晴海ばっかに声かけて」
続いて圭吾うんうんとうなづく。
なんで悠斗と圭吾は鶴岡君嫌いなんだろ。いや、2人とも嫌いとはいってないけど露骨に嫌ってるよねえ。
僕は嫌いというよりめんどくさい?かな…。
「晴ちゃんにやたらくっついてるみたいだね鶴岡って人。私ドラマとかでみたことあるけど中々イケメンだし別に悪い気はしないけどなあ」
「伶奈のことじゃないんだから…」
「じゃあ咲はどうなの?咲って靏岡剛毅君のファンだったよね?」
「わ、私はイメージしてた人とは違うかなっていうか」
俳優なだけあってファンも中々いるって聞いたっけ?鶴岡君。
でも中々のイケメンだしって言われても僕は男はちょっとねえ……。
僕男だし。
「じゃあいっそのこと誘い受けてみればいいんじゃない?晴ちゃん」
「え?」
まあ、別に1回くらい昼一緒に食べるとか全然問題ないんだけどさ。
何故か悠斗と圭吾は必死にダメダメ言ってるし、なんでこの2人は……。
「そーだね。今度誘われたら断らないでいってみようかな」
「おいおい、晴海まで」
「悠斗には関係ないじゃん。気をつけろよって言われたけど別に鶴岡君悪い人じゃないし」
「そーかよ…」
*****
「相良さん!今日これからあいてる?」
あれ、お昼はなんもいってこないなと思ったら
「え、うん」
「ほんと?じゃあ俺とデートしようぜ!」
「え」
ええええええええええ!!!
で、デートォ⁉︎
ってそんなに驚くこともないか、悠斗とはしょっちゅう2人で居るわけだしなれてないわけじゃないし。
ていうか僕は男だし!
別に断る理由も今日は特にないし毎日毎日断るのも相手に悪い気がするし別にいいかな。
「う、うん。いいよ」
「ま、マジで⁉︎嬉しいよ!」
ありがたいんだか迷惑なんだか、どっちだろ?
ていうか鶴岡君て有名人なんだよね?もし鶴岡君と2人きりで歩いてるとこ撮られたりしたら………大丈夫かなあ…………。
「じゃあ早速いこ!」
「え、ちょ、ちょっと!」
いきなり手ひきやがってぇ!
もう少しで転ぶとこだったよ!危ないなあ……。
女の子として見てくれてるならもうちょっと優しくしてほしいなあまったく。
「ところで何処に行く気なの?」
「俺の知り合いの所」
「知り合い?」
知り合いって誰だろ、もしかしたら鶴岡君有名人だしカワイイ女優さんとかかも!
わあ、なんだか楽しみになってきた♪
ん?あれ、校門前に怪しい車が、なんだろあれ。
「鶴岡君!待ってたよ!何してんの⁉︎」
「山田さんなんでここに⁉︎」
山田さん?
もしかして知り合いってこの人?
女優さんじゃないし!
ていうか男だしっ!
「君が逃げ出すかも知れないから3時間前から学校の周りを監視していたんだよ!」
「そんなことしてる暇あるなら彼女でも探したほうがいいですよ」
ああ、もしかして鶴岡君のマネージャーかな?
鶴岡君て仕事ほっぽり出す人なのね。
「ん?その娘は?」
「え、えーと私は彼のクラスメイトで…」
「これからデートだから今日は仕事できないよ」
「デートォ⁉︎そんなことしてる暇あったら早く車に乗って仕事にいってくれ!ほら行くよ!」
「うわ!ちょっと!助けてー!!!」
………行ってしまった。
なんかすごい光景を目にした気がしたけどまあいいか。
マネージャーさんも必死なんだなあ鶴岡君が仕事できなかったらなんか文句とか言われそうだし。
まあマネージャーさんが正しいよねあれじゃ。
さぁーて僕も疲れたし帰ってアニメでも見ようかなあ。
「あ、財布がない。そっか教室かあ」
クソー、いきなり手引っ張るからなあ準備も終わって無かったのに!
全く、1度学校からでたのにまた学校に戻らなきゃいけないなんてめんどくさいったらないなあ。
なんで僕がこんな目に………。
「あ、海都くぅーん!」
「あ、榎田先輩!お久しぶりです。何してるんですか?」
「何してるって、海都君見かけたから声かけちゃっただけだよ♪」
「いやいやそうじゃなくて」
「私はテニスをした帰りだよ。海都君こそなんで今更学校に戻ってんの?」
「実は財布を教室に忘れてきちゃって」
「なんだ。それぐらいあげるよ!電車賃くらい!」
「いやいや!いいですよ!」
「遠慮しないで!この前のお返し!」
「す、すみません」
「遠慮しないで。お姉さんは君の先輩なんだから♪それじゃあね」
「はい、それじゃ」
相変わらずつかめない人だなあ。
僕のせいで傷ついちゃったかもしれないのに……。
なのになんで笑っていられるんだろ…。