ダークエルフ種に纏わること ③
俺はクラを連れてダークエルフ達の目撃された場所へとふらりと向かう。フォンセーラとノスタのことを連れてこなかったのは、大人数だとすぐにばれそうだと思ったから。
……グランシティダって人、どのくらい強いんだろう? エルフとかダークエルフって魔法に長けているイメージが勝手にあるんだが、どうなんだろう?
俺やクラがひっそりと覗いていても気づかれてしまったりするんだろうか。
クラが一緒に居れば最悪、どうにでも逃げられるとは思うが……。
「咲人、これからダークエルフ達の目撃された場所に行くんだよね? 消す?」
「いや、消さない。一旦状況確認だなぁ。例のグランシティダってダークエルフが居たらこれから何をしようとしているか確認しないと。噂を聞く限り、かなりろくでもないことをやらかそうとしているけれどさ」
それにしてもクラって、母さんにこういうところ似ているよなぁ。
母さんに拾われてから父さん家で飼われるようになった猫だから、母さんの影響を受けるのも当然と言えばそうなんだけど。
あくまでグランシティダのやらかそうとしていることは、人伝に聞いただけのもの。実際がどうなのかというのはさっぱり分からない。だからちゃんと何をしでかそうとしているのか確認する。
特別な魂を捧げようとしているって聞いたけれど、本気か? それってなんか供物とかそういうものだよなぁ。
母さんが邪神呼ばわりされるのを拡大するような行動はやめてほしい。俺はある意味マザコンと言われるかもしれないけれど、母さんのことは普通に母親として慕っている。母さんを嫌っているなんて言葉は間違っても口に出せない。というか、姉さん達や俺に反抗期がなかったのって、そんなことでも言おうものなら母さんが怒りを表すからだよな。
姉さん達は母さんが神様だってことを分かっていることで、本能的に逆らってはいけない相手だって理解していたんだろうし。
俺に関しては親に反発をしようなんて思いもしなかった。両親のことは慕っているし、姉さん達も好きだし、俺は家族に恵まれていたから。
あと母さんの方の愛情が重いように感じられると思うけれど、父さんも十分母さんのことを大切に思っているからな。母さんを蔑ろにでもしようものなら、きちんと叱ってくれる人だし。
反抗期は通る人は通る道だろうけれども、限度があるとは思うんだよな。
ダークエルフが目撃されているのは街の近くの森の中である。魔物も多く生息しているらしいその森は、適度に冒険者や騎士達の手によって魔物の間引きがされているらしい。
エルフやダークエルフなどの種族は森の中に集落をつくっているものらしい。それこそ自然をそのまま残して文明を築いているというか、そんな感じっぽい。
長生きしているエルフやダークエルフの中には、人間などの寿命の短い種族よりも自分たちの方が優れているって選民主義の人もいるっぽしなぁ。
うん、何か正直面倒な種族だよな。そうじゃない人もいるんだろうけれど。この前絡んできたエルフの印象が悪すぎて、エルフ種自体に微妙な感情を抱いてしまっている気がする。
「咲人、ダークエルフ達、あっちに居そう」
それにしてもクラは探索能力もかなり高いよな。元が猫だからというのもあるだろうけれど助かる。
俺も魔法で周りの気配とか、魔力とか感じ取れるようにはなっているけれどそういうのはクラの方が得意だったりする。
ダークエルフってどのくらい魔法の扱いに長けているんだろうか?
俺やクラが近づいたら察するんだろうか。あと近づく連中に攻撃的だったら困るな。
少しだけ心配しながら、クラの後についていく。もちろん、気配は消している。
それにしてもこの森、少し歩いただけでもかなり危険そう。魔物の巣とかちらほら見られる。そういうのを見ていると、この世界って本当に命を落としやすいんだなって実感する。
戦う力がない人が森に足を踏み入れたらまず天国へ誘われるだろう。
何匹かの魔物は俺とクラに気づいて襲い掛かってきたけれど、クラが倒していた。音を立てて討伐なんてしようものなら、森に居るダークエルフに気づかれやすい。今の段階で、俺達の存在に気づかれたいわけじゃないのだ。
クラは魔物を狩ることにおいても優秀だ。得意げな表情で、俺に獲物を持ってくる様子を見るとなごんでついつい撫でまわしてしまう。
「咲人、いつまで撫でているの? ダークエルフのところに行くんでしょ」
俺がいつまでもクラを撫でまわしていたらそう言われた。それにはっとする。撫で心地が良さ過ぎていつまでもやっていたくなったけれど、今はそうしている場合じゃなかった。
しばらく歩いて、森の奥深くにその集団は居た。
真っ黒な肌の、耳のとがった種族。何だか女性に関しては、服の布面積が少なすぎる。そう言う種族なのか?
それにしても森の中にこれだけダークエルフが集まっていると、なかなか物々しい雰囲気だ。
少し観察しているとダークエルフ達がひざまずき始めた。
「グランシティダ様!!」
そして、一人立っているダークエルフに彼等はそう呼びかけた。




