DOJO
次は剣術の授業だ。今日はマリア先生の道場でやるので、ランニングで行く。
最近では見慣れた姿なのか、街の人々に声をかけられる。
「坊ちゃん、マリアさんの所かい?」
「そうだよ。」
「これ、持ってってくれ。」
と野菜やら、魚やら、肉やらを渡される。ぐぬ・・。重い。僕7だっちゅうの。
これも修行にちがいない。
「ぬふぉぉぉ・・。」 とか言いながら、なんとか到着。
「お早うございます。」 皆さんにあいさつ。
「夕霧、木剣に、5Kg重くして。」 まず素振り。
「はい、主・・・あのうちょっと、よろしいですか?」
「なんだい?」
「こういう事いうのもなんですが、ちょっと使用頻度、少なくないですか?
しかも私、刀ですよ。」
「まじごめんて、うち平和じゃん。賊とか入ってもメイドさん達にボコボコに
されるし、僕7が刀を振り回して、あばれてたらなんかやばくない?」
「まあ、そうなんですが、この前少し夜霧と話したんですが、あちらは
けっこう活躍してるみたいで、先輩としては思うところありますよ。」
どこで話した、とは聞くまい。
「あーたしかに、そういうところってあるよね。わかった。シュリ叔父さんに
頼んで、食材を狩りに行くときに、連れていってもらおう。ダンジョンにも
行ってるみたいだから。」
「行きたいです。絶対ですよ。」
というやり取りをして夕霧は木剣になった。考えてみれば普通の木剣でいいのだ
けど・・・黙ってよう。素振りをしながら、体幹やら身体をチェック。実戦と
なると、身体強化で底上げしないと大型のモンスターに力負けしそうだ。
マリア先生に見てもらおう。
「剣先もぶれてないし、次に進んで大丈夫かしらね。カエデちゃんは刀?」
「両親から届いたIAが黒刀になったんですよ、でもいろんな状況に対応できる
ようにしておきたいから、剣と短槍くらいは人並みになりたいです。」
「了解。刀は姉上に教わって、じゃないとむくれるから。剣と短槍を教えるわ。
それとバートが、チャクラムも学ぶようにって。」
「えー、チャクラムなんてレアなもの、使う機会ないですよ。」
「私もそう言ったんだけど、バートが教えたいらしいのよ・・・。」
まじ?確かに、あのインテリメガネはチャクラムの達人。しかも僕のことを
可愛がってくれている。
「わかりました。後日うかがいます。」
「悪いわね、喜ぶわ。じゃあ、剣と短槍ね。いずれIAにするでしょうから
動き方と足捌きを教えるわ。」
「IAは持つ気ありませんよ、人並みでいいんです、人並みで。」
「あら、そうなの?今日は『朧』とか使ってるから、てっきり暗部のトップを
継いでくれるかと思ってたのに。」
「朧」使ってんのばれて~ら。それに、あんたなにさらっと暗部のトップとか
言ってんの!隠す気ねーだろ!
「なんの事?僕わからないですぅ・・・。」
「なにを今さら。カエデちゃん、朝、森でうちの暗部に気付いたでしょ。あれは
暗部の中でも手練れで、私でも集中しないとわからないわよ。」
う~む、これはギブだな。しょうがない、僕のスローライフ未来を語るしか。
「マリア先生、僕は旅人になって世界中を旅したいんですよ。テントライフの為
時空魔法を、武術は護身の為、中・遠距離用に魔導銃も考えてます。」
「普通の7歳児の考える事ではないわね。でも、わかったわ。ところで
その事は兄上と姉上には?」
「話してません。」
「荒れるわねえ・・・。」
「ボタン先生と同じ事、言わないでください。」