KAGURA
神楽に到着。前は3日しかいなかったけど、イカルガの元屋敷のせいか帰って
来た感はある。シュリ夫妻は神楽では有名人の為、商店街は避けいささか乱暴
ではあったが、宗家に庭に着陸。ステルスは完璧で誰にも・・いや、夏月は気が
ついたようだ。念話で
「夏月、僕だ。侵入者じゃない。」
「おお、カエデ、久しぶりだな。あとでいいから顔を出してくれ。」
「了解。」
僕達はカモナで昼食をとる事にした。突然、昼食時に大人数では迷惑だろう。
「宗家の庭を眺めながら昼食なんて優雅ねえ。」
「俺達は変な感じだけどな。」
「まずは宗主にご挨拶をして、我々は結婚式の打ち合わせだ。カエデは自由にして
いい。まあ、帝都組が着くまでだがな。」
「やめてよ・・。でも、そうだよね・・。よし!全力で満喫するよ。」
「事件おこすなよ、まじで!お前の満喫は、絶対なんかおまけがついてくる。」
なにをー、黒刀ゴーレムいやさシュリ童子。
「いだだだだ!なにずるんでずがあ。」
「いや、やらないとダメな気がして・・。」
「さっさと食べて挨拶行くぞ。」
「小梅、パパとママに会いに行っといで。なんかあったら呼ぶから。」
「うん。」 尻尾が揺れてる、嬉しいんだな。
「イチとニイもね。」
「ここに、いますからあー、あとでいってきますう。」
「うむ。」
「零さんと百合子さんも、実家に行ってきていいよ。」
「「ありがとうございます。」」
「それとシュリ叔父さん、ラウさんの子供達をガーネットの森に連れて行きたい
んだけど、いいかな?」
「イド君でか?」
「うん。」
「悪いけど頼むわ、メグがいつも心配してっから。」
「了解。タケル兄と華姉にはうまく言っておいてね。」
「ああ、まかせろ。それとカエデ、ランタンの件忘れるなよ。」
「フフフ・・もちろんだよ。」
「なんかあれね、お主も悪よのう・・ってやつかしら・・。」
食休みにお茶を飲み、それぞれの場所へ向かう。
イド君から出たとたんに、いろんなもんに囲まれる。タチバナの手練れ、氷牙、
でっかい狛犬、そしてツバキ婆ちゃん。いやまじ、イド君のステルスすげえ!
「ただいま、お袋。」
「戻りました、ツバキおばあ様。」
「なんだい、お前達かい。こんな近くで全くきづかなかったよ。」
「若とボタン様じゃねえですかい!おいみんな!若とボタン様が帰ってきたぞ!」
若って・・・プププ・・・。
「いだだだだ!笑ってないじゃなでずがあ・・。」
わらわらと、みんな出てきた。
「おう!お前達!今、帰ったぞ!」
みんな喜んでいる。泣いてる人もいる。人気あるな、若っプププ・・・。
やばい!僕は瞬歩でツムギ婆ちゃんの後ろに隠れた。
「婆ちゃん、来たよ。」
「よく来ました、イ・・カエデ。」
マリア先生がこちらを見ている。さす半、動きが見えていたようだ。
「イカエデ・・・?」それは、いいから・・・。
「ツムギ様、お久しぶりです。」
「これはバート様、遠い所ありがとうございます。マリア様も久しぶり
ですね、おや・・・。」さす婆、神気に気が付いたか。
「ツムギ様、お招きありがとうございます。」
「氷牙、久しぶり。」
「おう、カエデ。いろいろ進化したぞ!見ろ!」
そう言って氷牙は人化した。ワイルドだ素っ裸だアホだ。
「あばばば・・・。」 弱々サンダーだ。
「カエデ様、お久しぶりでございます。すいません、うちのアホが・・。」
「やあ櫻ママ、氷牙はあいかわらず感電してるね。」
「ママ!」
「おかえり、小梅。」
櫻ママは痺れている氷牙を荷物のように背中に乗せ、小梅と帰っていった。
「パパ・・アホだから・・。」と念話を残して。僕はそんなアホな氷牙がけっこう
好きだ。零さんと百合子さんは、イチとニイの両親に挨拶している。イチとニイは
両親にじゃれついて嬉しそうだ。爺ちゃんにイド君の事を話して、ちょくちょく
帰ってくる事にしよう。3人ともまだ親に甘えたい歳頃だろうし。
僕達は執務室へ向かう。慣れたものである。
「親父、ただいま。」
「ただいま、戻りました。清春おじい様。」
「2人とも、お帰り。」いつも通り、穏やかだ。
「バート君にマリア君、2人とも忙しいところ申し訳ないね。」
「爺ちゃん、この間ぶり。」
「おお。イ、カエデ。よく来た。」
マリア先生が「また、イカエデ・・。なにかの隠語かしら?」とか言ってる。
なすがまま、なすがまま・・。
「僕ちょっと酒呑の所とか、もろもろ行ってきいいかな?」
「いいよ、夕食までには戻っておいで。」
「わかった。」
結婚式の準備は大人に任せて、まずは陰陽の太刀を取りに行こう。
「酒呑、酒呑ー。」
「うるせえな!今たてこんでるんだよ!誰だ!」
「僕だよ、カエデだよ。」
「えっ!カエデ、来てくれたのか?」
「もちろんだよ。約束したでしょ。」
「まあ上がれ、元はおまえの屋敷だけどな。」
「どう?慣れた?」
「おまえが何を考えてこの屋敷を作ったか知らんが、絡繰りが多すぎるぞ。
俺もしーちゃんも全部は把握できてねえ。」
「・・・しーちゃんって、紫丹さんの事?」
「他に誰がいる?」
「おまえ・・・変わっちまったんだな・・。」
「しょうがねえだろ!酒呑と紫丹がなんか似ててまぎらわしいって
言われたんだよ!」
「アハハ、確かに。その紫丹さんは元気かい?」
「元気だぞ。いま打ち合わせで、出掛けてるけどな。」
「そうか、まあお祝いは式の時にするとして頼みがあってきたんだ。」
「なんだ?」
「武器庫に陰陽の太刀ってのが入ってるんだけど、それ持ってっていいか?」
「いいぞってか、おまえのじゃねーか。まだ武器庫に入った事ねーんだ。」
「いってみよう。」酒呑といっしょに武器庫へ。
「おいおい、なんだこりゃ?魔剣やら妖刀やらが詰まってるじゃねーか。」
「いやあ、なんか世に出したら危険なやつを片っ端から入れてたからね。
酒呑と紫丹さんクラスなら普通に使っても大丈夫だよ。」
「そうか、んじゃとりあえず、これ使ってみっか。」
「いいね、斬馬刀。ぴったりじゃん。」
「そうか。」とまんざらでもない様子。
「あったあった、これだ。」華姉のプレゼント、オーケー。
おっ!これは・・クロ兄に持っていこう。
「ここにあるの好きに使ってね。あと結婚式、楽しみにしてる。」
「おう、正直こっぱずかしいんだけどよ、しーちゃんのためだ。」
おまえ、本当に変わったな、いい意味でだよ。
次は近いから、紅葉の所に顔を出そう。音楽が聞こえてくる、まさかの三味線。
やってるやってる、けっこう生徒さんがいるな。ちゃんと先生をやってるな・・
ここにも変わった人、いや鬼か。
ありゃ、気付かれた。軽く手を振る。
お弟子さんに何か言って、こっちに来る。
「やあ、紅葉。大盛況だね。」
「そうなのよ、ツバキが定期的に発表会を開いてくれるから、生徒さんも
はりきって練習してるわ。酒呑の結婚式?」
「うん、そうだよ。」
「披露宴でも披露するから、見ててね。」
「楽しみにしてるよ。邪魔しちゃ悪いから、もう行くね。」
「悪いわね、茨木のとこ?」
「寺院に行ってみるよ。」
紅葉が生き生きしてる。さすが婆ちゃん、うまくやってるな。さて、寺院は?
なんか、五重の塔があるぞ、行ってみよう。
ここか・・立派な寺院だな。どこにいけば会えるんだ?掃除してる人に聞く。
「すいません、和尚いますか?」
「大僧正の事でしょうか?」
「はい。」
「こちらへ。」
修行僧っぽい人に付いていく。本殿に入った、いた!茨木だ。大僧正っぽい。
「おっ!カエデじゃないか。」
「久しぶり。立派な寺院だね、驚いたよ。」
「清春が、将来自分の眠る場所だし、歴史に残る寺院にしようと言ってな。
かなりの予算を組んでくれたんだよ。」
「はは、爺ちゃんらしいや。」
「仏像もあるぞ。」
「お釈迦様でも作ったの?」
「いや、阿修羅。」
「そこは鬼っぽいんだねえ。」
「大僧正に戻りはしたが、人間には戻れないからな。」
「そりゃそうだ。酒呑の式はここで?」
「ああ、神前式はここでやる。月詠様がきてくれるそうだ。」
「そうなんだね。さっき酒呑の所に寄ってきたけど、らしくなかったよ。
これから夏月のところにも顔をだすよ。」
「そうか、夏月も忙しそうだぞ。」
「女の人の美容にかける執念は恐ろしいからね。」
「カエデ、俺は今、充実している。神楽の人々も良い人間が多い。大僧正の
仕事を、今度はまっとうできればと考えている。ありがとう。」
「茨木、まだ始まったばかりだよ。これからさ。」
「・・・そうだな。」
「じゃ、また。」
「ああ。式で会おう。」
鈴鹿山まで走っていこう。夕飯に間に合わなくなる。走りながら考える。
鬼ってなんだろう?酒呑も紅葉も茨木も、僕達と何がが違うんだろう?
日々、同じように営んでるのにな・・・。
念話で夏月に連絡。
「夏月、いま向かってるんだけど大丈夫かな?」
「大丈夫だぞ、ちょうどコウヤ達も来てる。」
「了解。もう着くよ。」見えてきた・・・なにこれ?ビル?
夏月フィットネスクラブという看板もある。いや、ちょっと・・女の人がいっぱい
で入りずらい。どうしよう・・。日本家屋どこー。
「夏月、入りずらい。」
「そうだな、おなごが多いからな。裏にまわると私の家がある。」
「そっちにまわるね。」
ビルに沿って裏手にまわると、あった!日本家屋だ。
「こんにちわー。邪魔するよ。」
「久しぶりだな、カエデ。」
「そうだね。クラブ、大盛況だね。驚いたよ。」
「自分を高めようとするのは、いい事だしな。だが、人手が足りん。キヨと
ユキにも手伝ってもらってるよ。」
「コウヤのとこの?」
「そうだ、鈴鹿山は元々霊力が強いから、人化も楽だしな。」
「コウヤも来てるんだよね?」
「ああ、最近、食べ過ぎ呑み過ぎで太ったと言って必死にトレーニングしてる。」
「コウヤ・・・。」
「神々も来るようになったぞ。」
「えっ!月詠達も?」
「常連は、月詠、アテナ、ヴァル。たまにインドラ。」
「トレーニングがいる連中じゃないんじゃない?」
「よくわからんが、なまるとか言っていたぞ。」
「まあ、盛況なのはいい事だしね。それに今回いっしょに来てるガーネットの
女性陣も興味津々だよ。絶対に来るから、相手してあげて、おもに美容系。」
「わかった。」
「これお土産、みんなで食べて。トレーニングに甘い物はどうかと思うけど。」
「いや、喜ぶぞ。食事の制限はしてないしな。ありがとう。」
「じゃあ、宗家に戻るよ。式で会おう。」
「ああ。」
これはまじで、帝都とガーネットに支店ができそうだ。帝都は母さん達がいるし
ガーネットは言わずもがな。まあ、任せよう。女性陣がこっちにくれば
父さんとマジトークできるしな。とダッシュしながら考える。
日が暮れてきた、急げ!




