METEO
朝みんなで軽く運動をして、朝食を食べ終わった頃、屋敷の庭に到着。
それぞれの祠にお願いをして、集合場所へ。それなりの大人数なので
馬車は3台だ。メイド長とメイド隊のみんなに見送られ、いざ出発!
なにも起こらないように・・。どっちで?という突っ込みは無しで。
ドックに着いて、初めてガーネットの新造船を拝む。おお、カッコイイ。
龍神丸より少しスリムになってる。クルーは決まってるのかな?
乗り込んで、割り当てられた部屋へ。前と同じ・・いや少し広いかな。
豪華なのは変わらない。ブリッジへ行くとドルトさんがいた。
「おはようございます、ドルトさん。」
「お早うございます、カエデ様。いよいよです。」
僕達は、がっちり握手をした。
「途中、最大船速を計測したり潜水の確認をしたり、今から緊張してます。」
「僕もドルトエンジンの成果、楽しみです。」
全員食堂に集められ、旅のしおりを渡される。航海は2日の予定。その間、
手分けしていろいろチェック。僕はドルトさんといっしょに主にエンジンの
チェックだ。神居から神楽まで馬車で2日、トータルで4日の行程だ。
イド君の1時間が、いかに速いかわかるな。まあ、旅は旅としてしっかり
楽しむ所存。さすがに、野営ではなく宿にとまるが、焚火ができないのは
残念でござる。
出航だ。僕はドルトさんと、機関室に居る。
「成る程ね、すごいよドルトさん。初速を得るにはどうするんだろうって
思ってたから。」
「はい、そこは課題でした。魔石を使うのが簡単ではあったのです・・・。
実際、量産の場合は魔石の方が、効率はいいですね。」
「立体構造体の効率が、想定よりも全然いいんだね。温度差で生じる風で
オーケーだなんて。」
「正直、手で扇ぐだけでも初速は得れます。」
「ほえ~、それはすごい。」
「エンジンの出力よりも、船体のデザインの方が苦労しました。船頭が
持ち上がらないようにするのが、大変でした。」
そよ風が立体構造体を通った。ブーンと唸って共鳴が始まる、ここまで3秒。
3本のエンジンパイプから強力な風が吹き出す、ライフリングを刻んでるので
回転する風だ。すごい!イド君のようにゼロGではないが、さほどGも感じない。
1分位で、ほぼトップスピードだ。速い!僕は再び、ドルトさんと握手をした。
「お見事です!これもしかして、翼をつければ飛べませんか?」
「はい、飛べます。収納式の翼を付けてます、ただ現状まだクリアーしないと
ならない事が多々あります。今回は外洋で少し実験しますけど、イメージと
しては飛び魚ですかね。」 成る程、イメージしやすいわ。
「空港もいるもんね。」
「それもそうなんですが、ミスリルを使ってもこの大きさだと、かなり重いので
長時間の飛行は無理です。」
それで飛び魚ね。イド君は小型なのと龍玉で常に浮いてる状態だ。となると、浮遊
のサーキッドがいる。作れる人はいるのかな?僕は作れるけど・・・。
これは要相談だ、軍事利用されると戦闘機ができてしまう。今は言うのやめよう。
「飛び魚でも、いっきに時間短縮できますね。」
「そうですね、単純計算で半日短縮できます。」
「すごいですよ、魔石を使ってないんですよ。」
「恐縮です。次は潜水の実験ですので、その時またお呼びします。」
「了解しました。」僕は甲板へ向かう。甲板にでると、みんな居た。
「カエデ、これはすごいな。音も静かだし滑るようにとは、まさにこの事だ。」
「カエデちゃん、これ魔石使ってないんでしょう?自然現象でこのスピードは
すごいわ。」
「すごいのはドルトさんだよ。僕はトリガーだけだから。」
「いやカエデ、これは革命的なエンジンだ。エンジンコストが10分の1だぞ。
エンジン部分だけでもどれほどの利益がでる。しかも運用コストが
メンテナンスだけだ。」
「カエデちゃん、そんなに稼いでどうするの?」
「いやいや、スローライフ実現のために不労所得は必須なんすよ、マリア先生。」
「とんでも7歳児ね。」
「あのう、僕は学園に行かないと、やっぱだめですか?」
「武力、頭脳、資金力とおまえは既にいろいろ抜きんでているのは確かだ。
しかし、致命的に足りない物がある。それは同年代の友人、または切磋琢磨
できるライバルの様な存在だ。」
「まあ、魔人や勇者を瞬殺する人のライバルって、もう神しかいないけど、
せめて、心を許せる友人は作ってほしいわけよ。」
「できますかね?」
「世界は広い、いろんな奴がいるさ。」
「これは私達だけではなく、兄上、姉上の意向でもある。早く帝都でいっしょに
暮らしたいとの事だ。」
「絶対に、絶対に騒動に巻き込まれるじゃないですかあ・・母さんに・・・。」
「・・それについては、ご愁傷様としか言いようが・・・。」
「ちょっと、ボタン先生・・・。」
昼食は厨房のテストのため食堂でとる事に。シュリ叔父さんの弟子が料理長だ。
僕は海軍カレー、小梅達は和食定食。料理が出来上がり、みなでいただきます。
料理長が、固唾を飲んで見つめるなか
「ウマウマ。」
「おいひー。」
「うむ・・。」
まず子供達がオーケーをだす。シュリ叔父さんも、うんうんとうなずいている。
「大食堂と変わらない味ね。」
「おいしいわ。」 カレーも美味しかったよ。
「合格だ。クルーの食事も手は抜くなよ。」
「わかりました!」
料理長は、ほっとしている、夜はBBQだそうだ。
デザートはプリンアラモード、女性陣と子供達は大喜びしていた。
午後からは潜水テストである。ドルトエンジンが海中でも問題なく稼働できるか
水圧の中で、どの程度スピードを出せるか等、チェック項目は多岐にわたるので
みんなで手分けをしてチェック。僕はドルトさんと機関室にいる。
徐々に船は沈んでいく、空気の流れから海水の流れに変更。おお・・、空気の
ジェットから海水のジェットへ。成功だ。今日2度目の握手をする。
「おめでとうございます。成功しましたね。」
「ふぅ・・、緊張しました。ありがとうございます。」
リビングへ戻り、みんなと海中の散歩を楽しむ。綺麗だ・・。そういえばイド君の
海中と海上の航行もチェックしないとな。
「綺麗ねえ・・・。」
「この光景につられて、船を造る決心したもん。」
「わかるわあ・・でも7歳児でプライベートシップを持ってる子いないわよ。」
「たまたまだよ、たまたま。」
「この新造船もすごいし快適だけど、一度イド君に乗っちゃうとねえ・・。」
「まああれは、カモナが居てこそのものだし、龍玉というチート。」
「ここからだってカモナさんに行けるんでしょう?」
「行けるよ。夜にトラップの映像を見せるつもりだったし。」
「ああ、例の、楽しみにしてるわ。」
船は2時間程で浮上した。水の抵抗は大きいらしく、海上の方が断然速い。
潜水するのは、嵐の時と海賊に襲われた時と遊覧ぐらいだろう。
今日はあと自動操縦のテストのみ。IAというか船というか、メテオと名付け
られていた。明日の飛行テストの具合によっては、夕方に神居のドックに着く
ようだ。夕食まで自由時間になったので、自室に戻る。
「小梅、レイさん達を呼んでくれる。」
「わかった。」 レイさん達はすぐに来た。
「夕食まで時間があるので、イド君の海上と海中のテストをします。」
「「わかりました。」」
カモナのドックへ行き、イド君に乗り込む。
「カモナ、まず潜水から。」
「かしこまりました。海中に転位します。」いきなり、海中の光景が広がる。
「イド君、海中スピードはどんな感じ?」
「イエス、マスター。空の10%くらいです、海上はもう少し良くて20%です。」
「了解、十分だよ。」マッハで動かれると、海割れるわ!
「よし、海上にシフト。」
「かしこまりました。」
今度は翼が前方へ移動した。高速移動の浮力を抑える為だ。これはカックイイー。
急ぎの旅じゃなければ、ゆっくり船旅もいいな。飛ぶのは非常事態にして。
「海中も海上も安定してるね。揺れが全くない不思議・・・。」
「龍玉の結界がすごいです。」とイド君。
「そうなんだね。テスト完了、戻ろう。」
僕達はカモナのリビングでコーヒータイム。
「イド君の性能が、ケタ違いです。」ブレス吐くしね。しかもマッハよ、マッハ。
「超トップシークレットだよ。」
「「わかってます。」」
「今日のお茶請けは、カヌレだよ。コーヒーに合うから。」
「ウマウマ。」
「おいひ~。」
「うむ。」
「外がカリッで、中がモッチリです。」
「ほろ苦さが、なんとも・・・。」
「カエデ様、マリア様とボタン様がお見えです。」なぜ、わかるんだろう?
「通してあげて。」
「ビンゴよ、ボタン。」
「マリアのお菓子センサーはすごいわ。」
「カエデちゃんのお菓子だけよ。」 なんだそりゃ?
「ところでマリア先生、アリ姉にこれをあげようと思うんだけど、いいかな?」
「えっ!これってブラックファングのホワイト版・・またずいぶんとレアな剣ね。
どうしたの?」
「昨日、ダンジョンでホワケルとバトルしてドロップしたのを、頼んでもらって
きたんだよ。」
「一応聞くけど、ホワケルってホワイトケルベロスの事じゃないでしょうね?」
「そうだよ。あれ?だめだった?」
「だめじゃないけど、レア中のレアよ。黒はいるのよ黒は、ブラックファングは
レアだけど実在するのよ。ホワイトは私も初めて見るわ。まあ、脳筋のあの子
にはぴっりだけど・・ベルと華がむくれるわよ。」
「そうねえ、あの子達はカエデラブだものねえ。」
「大丈夫だよ、ベル姉には月天弓を華姉には陰陽の太刀を用意したから。」
「ブッー!ちょっとカエデちゃん!伝説の武器をどこから?月天弓は月を割るって
伝説で陰陽の太刀はずっと行方不明だったのよ。」
「月天弓は夏月さんからもらったんだよ。陰陽の太刀はこの間の件でいろいろ
あって手に入れたんだけど、酒呑にあずかってもらってるんだ。」
「いいの?値段なんてつけれない値打ちものよ?」
「いいの、いいの。僕は使わないし、アイテムボックスに入れっぱなしは
もったいないからね。」
「陰陽の太刀は将来、使えるわよ。昔、シュリも探してたわ。」
「そうなんだ。でも今、黒刀ゴーレムがあるから華姉に渡して大丈夫でしょ?」
「ププ・・、そうね。問題ないし華も喜ぶわ。」
「じゃあ、神楽で会ったら渡しておくね。」
「ええ、ありがとねカエデちゃん。」
「私からもお礼を言うわ、カエデちゃん。」
お礼、いわれちっちー。




