EXCUSE
帰りはカフェに寄る。バート叔父さんにどう伝えるか考えたい。
「言い訳を考えるんですね。」 クッ、図星だ。春日部。
みんな、ケーキセットを頼む。
「まあ、造船費の大幅な削減にもなるしさ、デル君みたいに売れればガーネットも
潤うし怒られる理由なくない?」
「開き直りやがりましたよ。」
「だってそうでしょ?そうだと言って!」
「結果に問題がある訳ではなくて、やる前に報告しないのが問題かと。」
正論!それ正論だから、レイさん!
「結局、いつも通り頭をグリグリされて、多忙なバート叔父さんが、超多忙に
なるでオーケー?」
「「オーケーです。」」
「カエデ。」
「なんだい?ニイ。」
「お前、馬鹿だろ?」チクソー!返す言葉がない。
ケーキをゆっくり味わい、コーヒーをゆっくり飲んで。
「牛歩戦術止めて下さい。どっちみち報告しないといけないんですから
早々に済ませて、ゆっくり夕食を食べた方がいいのでは?」
「その通りだね、レイさん。食べたら帰ろう。」
食べ終わり外へ出て、僕は馬車と反対方向へ歩き出す。レイさんに
首ねっこをつかまれる。
「離して下さい!帰りたくない日もあるんです!」
「ダメです。往生際が悪いですよ。」
クッソー、いや待て。叔父さん達はみんな多忙なはず・・。いないな。
「居ますよ。バート課のメイドから屋敷にいる事は確認済みです。」
エスパーめ。しかも予知能力まで・・・。逃げられん、覚悟をきめよう。
屋敷に戻り、渋々執務室へ。
「失礼します。」中に入ると・・クッ、全員いやがる。
「ミ、ミナサマ、オ、オソロイデ・・・。」
「なんで、かたことなの?」
「ちょうど、みんなの仕事の進捗状況を確認してた所だ。」
「僕もほんのすこし・・ふわっと・・報告がありましてえ・・。あっ、でも
今じゃなくていいので。」
僕は、まわれ右をして執務室から去ろうとする。背後に気配を感じる、斑鳩流を
なめるな、スピード命だぞ!ダッシュで逃げ出す。
・・・捕まりました、もう少しでドアだったのに。速すぎるよマリア先生・・。
「なんで逃げるの?」
「2人が一瞬消えたわよ。」
マリア先生に抱きかかえられ、バート叔父さんの前に座らされる。
「・・カエデ、なにをした?」
インテリメガネがちょっびっと吊り上ってるかなって・・・。
「あ、あの、ほんとにちょっとした偶然で、お風呂で頭をぶつけて閃いて
しまいまして、その・・・。」
「・・なにをだ?」
「・・・船の推進器・・。いだだだ、痛いです!脳みそでちゃいます!」
グリグリとアイアンクローが同時にきた。
「お前、俺達が今やってる仕事を始めたの数日前だぞ!また増やすのか!」
「まあ、まてシュリ。叱るのは話を聞いてからでも遅くない。」
いや、あんた!グリグリしてたよね!してたよね!
「自分用の小型船を造ろうと思いまして・・。魔導エンジンは
お金がかかるなあっと。」
「それで、推進器か・・。」
「いやな予感しかしないのは、もういつもの事ね。」みんな、うなずいている。
もうしょうがないので、ホワイトボードを出してもらって説明する。
説明が終わり、みんな頭を抱えている。
「共鳴現象を利用・・・。」
「低周波で増幅・・・。」
「コストが大幅に下がる・・。」
「魔法は最小限・・。スピードが飛躍的にアップ・・。」
「カエデ、これの危険性は理解してるか?」
「はい。軍事利用ですね。」
「そうだ。これをトリガーにして海だけでなく陸、空へと発展していく可能性が
ある。デル君もその可能性があったが、魔導銃というニッチな存在かつ意図的
にアクセサリー要素を強くした事で、今の所大丈夫だがな。」
「この推進器の要は、低周波を発生させる多重構造体です。これをブラック
ボックス化して、ガーネットが窓口となり完全許可制にすれば軍事利用は
抑制されます。」
「確かにそうだが・・・。」
「しかも、ガーネットは港をようする海洋領の側面もあります。造船が発展する
のも自明の理。」
「完全に開き直ったわね。」
「ふぅ・・。メリットばかりでデメリットはなしか・・。新しい船でテストも
できる。龍神丸のカモフラージュに最適のネタでもある。ついでに『雷帝』
の船の受注をとってしまえば、儲かるな。」 わ・り・きっ・たぁー!
「明日どのみちドルトの所に行く予定だったし、打ち合わせしてくる。
ボタン、ブラックボックスのセキュリティの開発を頼む。」
「わかったわ。カエデちゃん、あなたまさか集団魔法をしってるの?」
「理論だけは・・。見た事ないけど。」 うそ、何回も見てる。
「あたりまえよ!禁忌中の禁忌よ。カエデちゃん、息をするかのように
魔法の深淵に近づくのは止めてちょうだい、心臓に悪いわ。」
「わかりました。ちなみに僕の船にはこの推進器は使いません。」
ついでに、ゲロっちゃおうっと。
「どういう事だ?その為に作ったんだろう?」
「多重構造体のかわりに、これを使います。」
「魔石・・いや、違うな・・。」
「リーファン様の龍玉です。」
「「ブッフォー。」」 2人、吹いた。
「・・・聞きたくはないが、一応聞く。使うとどうなる?」
「飛びます!アイキャンフラ~イでっす!いだだだ!痛いです!まじ痛いです!
頭持って振るの、やめてください!」
「アホかあ!陸、空に影響を及ぼすって言ったばかりだろうがあ!」
「いだだだ、大丈夫ですって!」
「どこがだー!」
「僕の船は視えません。」
「どういう事だ!」
「ヴァル様から、ミスリルに・・・。」
「ミスリルをもらったのか?」
「ミスリルに偽装した、ステルス素材をもらいました。」
「「ブッフォー。」」2名、また吹く。
「なにしてるの・・・姉様・・。」
「まったく・・・。ここ何か月かのカエデのガーネットに対する貢献は目を
見張るものがある。今進行してるプロジェクトも、全てカエデが起点だ。
甘いと思われるかもしれんが、私はカエデのプライベートシップを
許可したいと思うのだが・・・どうだろう?」
「特に異論はないが・・カエデ、お前、その船で何をするつもりだ?」
「えっ?特になにも・・海の中の景色を見たり、旅に出たら空島さがしたり
神楽や帝都に行ったりとかかな。」
「はぁ・・それだけのために。しかし、カエデならそんな感じだよな・・。
オーケーだ。ただし、絶対見つかるなよ。」
「完成したら乗せてね。空を飛んでみたいわ。」
「私も。」
「もちろん、完成したら乗ってもらうよ。」
ふぅ、痛い思いはしたがなんとか船は認めてもらった。ヒヤヒヤだよ。
自室に戻り一休み。まじ、疲れたというか痛かった。
「疲れたよ、小梅。」
「自業自得。」 四文字熟語ー!まあ、そうなんだけど・・・。
腹出して寝てるし・・。可愛いからオーケー。
「造船の許可はもらったけど、実際、旅の時はあんまり使わないと思うんだ。
焚火したいし。すぐに着いちゃうのって味気ないよね。」
「うん。」
「アイテムボックスに入れておいて、緊急用だね。いろいろ便利すぎるのも
どうかと思うよ。」
「・・・・。」 おまえが言うな、の目を向けられる。
とりあえず、いろいろ出来上がるまで時間ができた。働かずにのんびりするぞ。
明日はカモナでモンブランを作ろう。あと、昼寝。
森でハンモックで昼寝、どうだスローライフだろう?
授業は当分休み。みんな、僕のせいで超忙しいそうだ。
午前中は、鍛錬でもいいかも・・おっとぉ、いけないいけないスロライだった。
「小梅、夕食どっちにする?僕は明日のモンブランの準備もしたいから
カモナで食べるよ。」
「カモナ。」
「了解。カモナ、夕食そっちで食べるよ。」
「かしこまりました。」
カモナに入り、モニターのメニューを見る。僕はビーフシチューとサラダ。
小梅は、親子丼と味噌汁。人化もできてる。では、いただきます。
うまー。肉がホロホロ。小梅にも分ける。「ウマウマ。」
食後のコーヒーを飲んでいると、執事カモナが
「少々、よろしいでしょうか?」
「大丈夫だよ、なんだい?」
「帯剣の許可を頂きたく。」
「使えるの?」
「はい、わたくしを作る時にヘンリエッタ様が、カエデ様をお守りする様
プログラムしました。」
「へっ?そうなの?」初耳だ。確かに婆ちゃんは、レイピアの達人だ。
「レイピア?」
「そうでございます。マリン様にアドバイスを頂き、外に出れるように。」
「アバター化できるようになったの?」
「はい。」 と微笑む。
「いっしょに、冒険できる?」
「はい。」
「よかった!もちろんオーケーだよ。レイピア持ってるの?」
「はい、ヘンリエッタ様からこれを託されました。」
「それって・・・雪月花・・。」
「ご存じでしたか?」
知ってるもなにも、レイピアの最高峰だ。婆ちゃんが持ってたんだ。
神剣まではいかないが、それに匹敵する。
「頼もしいね。次回のフロアボス戦の時、いっしょに戦おう。」
「かしこまりました。」ダンジョンが楽しみになった。
さて、風呂だ。めんどーだからここでいいかな。
「小梅、イチとニイにどうするか聞いて。」
「うん。」
そうだ、アイスクリーム作っておくか。
「こっちに来るって。」
「了解。」少しして、やってきた。
「ばんわ~。」
「・・・・。」
入浴タ~イム。腹だしプカプカ、イチにつかまってスイスイ泳いでいる。
しかし、カモナがレイピアとは・・雪月花だし・・。
僕か小梅が前衛で、カモナが遊撃。夕霧は前でないと使えないし、小梅は
クナイを使ってもらえば後衛でもいけるかな。よし!そんな感じで、近々
ダンジョンに行こう。風呂上りにみんなで、アイスクリームを食す。
「ウマウマ。」
「おいひ~。」
「いい・・・。」
気にいってくれたようだ、今後、常備しておこう。
さて、寝る頃合いだ。みんなで、おやすみなさい。




