RUNNING
昨日は結局、テントの内装で終わった。中が思っていた以上に広く、レイさんに
手伝ってもらっても、そこそこ時間が掛かってしまった。でもその分、満足の
ゆく快適な空間を作ることができた。ちなみにカモナの機能はすごかった。
小梅ともいろいろ話し、現状のスペックを教えてもらった。成長に伴って
できる事は増えるらしいけど、今は「気配察知」「氷」「雷」を少々使える程度。
充分だけどね。
夕霧に関しては、僕自身、体力も魔力も子供のそれなので、非常時以外は木刀
あたりで妥協してもらった。そして今日から、様々な授業が開始される。
刀術は今さら教わる事もないので、体力作りを兼ねて剣術を習い、魔導も今さら
ではあるけども魔力が上がらないと「箱庭」が使えないので、まじめに取り組む
所存。座学はテキトーに。両親がどんなカリキュラムを組んで、先生達に渡して
いるかは知らないけど、基本は午前中で午後からは好きにしていいらしい。
12歳になると強制的に、帝都の学園に通わないといけないらしいから、5年の
間に普通の子供を印象づけ「出がらし」なんて言われるのが理想だな。
家の将来は、クロ兄とベル姉がいるから心配ないし、身分証明もすでにある。
だから、わざわざ冒険者にならなくても他国に行ける。ギルドに所属すると
ランクとか指名依頼とかめんどくさいのでノーサンキュー。お金はないと困る
ので不労所得は入ってくるよう、なんか考えよう。学園を卒業したら「旅人」に
なって世界中をまわろう。前世ではできなかった観光や、おいしい物を食べ歩く。
海底都市や地下王国、天空の島を巡ろう。ああ・・・夢が広がりまくりんぐ。
「なに、ニヤニヤしてるの?そんなに剣術の稽古を楽しみにしてたの?」
などとトンチンカンな事を言ってくるのは、マリア先生だ。バート叔父さんの
奥さんで父さんの弟子。帝都にも領内にも道場を持ち、武道全般を教えている。
うちの戦闘メイドも、ここの出身が多い。高身長でナイバディな美人。僕の
知り合いの武神とよく似ている。関係者かな?
「今日は初めてだし、身体もできてないから森で軽いランニングね。」
「わかりました。」 しばらく走り、大きな木の下で休憩。
「私は基礎を教えるから、奥義とかそういうのは兄上に教えてもらってね。」
「えっ~。」
「下アゴ突き出すのはやめなさい。しょうがないしょ、じゃないと兄上
泣くから。」
屋敷まで戻り 「今日はここまで。」
「ありがとうございました。」 礼節は大事。
今まで、マリ姉と呼んでたけど、今日からはマリア先生と呼ぶ。本人は嫌がって
たけど。叔父夫妻には、子供が2人いて上がクロ兄と同い歳で、名はアスカ。今も
将来もクロ兄をサポートするバート叔父さんゆずりのインテリメガネ女史。学園で
パーティを組んでいる。下はベル姉と同い歳で、こちらもベル姉とパーティを
組んでいる。名はアリス。アリ姉はアス姉と真逆で、頭より先に身体が動く。
両方とも鬼強い。それぞれパーティには魔導師もいるのだけど、それは魔導の勉強
の後、説明しよう。誰に?
魔導の先生が来た。