REQUEST
久しぶりの蕎麦だ。もち、天ざる。
「注文しておいて何ですけど、こんなにんびりしてていいのでしょうか?」
零さん、まじめだな。百合子さんなんて「味噌田楽うめ~。」なんて
言ってるのに。
「考えてもみてよ、そもそも神居にせよ神楽にせよ7歳児に頼るようじゃ
終わってるよ。僕らは僕らの行動を邪魔する奴を排除するだけさ。」
「すごく説得力ありますが、ようは面倒事に関わりあいたくないだけでは?」
「当然じゃないか、僕は中の中の中。プロの中だよ。」
「龍神様、桜花様・・・。」なにを言う、春日部。
「・・・。それはともかく、将軍家はどこにいるんだろう?タチバナなら
宗家に泊まるの止めてカモナにしたいんだけど。」
「結局、お二人にお会いになるのですから、宗家に行かないと用事も
終わりませんよ。」
「やめてよ、ブルーになるじゃないか・・。今は蕎麦に集中しよう。」
天ざるは旨かった。神楽に居る間にまた来よう、次は鴨蕎麦だ。
「長かった僕らの旅は終わった。今後もいろいろな事件が起きるだろう。
しかし、今僕はひとりじゃない。頼もしい仲間がいる、さあ行こう、
新しい旅路の始まりだ。」
「なに最終回みたいな事を、言ってるのですか!」ナイス突っ込みだ、春日部。
「はあ・・・じゃあ行こうか・・。」
「カエデ様。」
「なに?」
「反対です。」
まわれ右をして渋々、零さんの後に続く。少し歩くと、どでかい日本家屋に着く。
ここがタチバナの宗家だ。門をくぐるとシュッと妙齢の着物姿の女性が現れる。
零さんと百合子さんが襟を正してあいさつをする。
「お久しぶりでございます、紫丹様。」
「ええ、久しぶりね2人とも。カエデ様、清春様がお待ちです。」
紫丹さんに付いて行く途中、将軍家の馬車を見つけブルーからネイビーになる。
「紫丹さん、将軍家って誰が来てるの?」
「吉華様ですよ、カエデ様とおない年の。」
おもわず光彩(改)を使いそうになるのを堪える。婆ちゃん、変なこと企んでないだろうな?
執務室に案内される。
「カエデ様をお連れしました。」
「入りなさい。」
中に入ると清春爺ちゃんがニコニコして座っていた。相変わらず若けーな、
エルフじゃないだろうな・・。
「久しぶり、爺ちゃん。」
「遠い所よくきたね、会いたかったよ。零と百合子も護衛ご苦労様。」
「もったいないお言葉、ありがとうございます。」
「ツムギはちょっと用事で出かけているから、今日は会えないな。」
「わかりました。明日伺った時にでも・・。我々はそれぞれの家に呼ばれて
ますので、お任せしても?」
「もちろん、大丈夫だよ。」
「では、失礼いたします。」
ちょっとお、逃げるの早くね?早いよね。僕はじと目で2人を見る。
あっ、目を逸らした。
「シュリの奴は元気かい?ツバキは帝都にいると聞いてるよ。」
「うん、シュリ叔父さんは元気だよ、母さんとは僕もしばらく会ってないよ。
あとこれ渡す様に頼まれた。」
Aさんの妖刀を渡す、爺ちゃんは紫丹さんを呼んで厳重に封印すように言って
どっかに持っていかせた。
「あと、これ権じいから。結界石だって。」
「助かるよ、やばいとこだったから・・・。」
んっ!やばい?でも聞かない。
「婆ちゃんが僕に用があるって聞いたんだけど。」
「ああ、それは本人から聞いてもらった方がいいね。」
「わかった。用件はなんだい、婆ちゃん。」
「おや、気付いてましたか。」婆ちゃんもいくつだよ?エルフか?
「光学迷彩は匂いと音は消せないって小梅が言ってたよ。ちなみにだけど
刀術の『朧』と併用で完璧に消せるよ。」と言って、消えて見せる。
「驚いたわねえ、そんな裏技があるなんて・・。」
姿を見せ、用件を聞く前に、こちらから言っておこう。
「爺ちゃん、婆ちゃん。僕は学園を卒業したら世界中を旅するんだ。
だから、スローライフ未来の為にどうしても関わらなければならない
ものは、サクサクと終わらせる。」
「何が聞きたいんです?」
「鬼達の事、『紅桜』の事、吉華様がここにいる理由。それと、人形で僕達
を試した事かな。」
「ふぅ、カエデはすごいですねえ、用件にも関わっているんですけど、
どれから説明しようかしら・・。」
「どれでもいいよ。どのみち3日しか居れないから、サクッとすませるから
あと、全て極秘にしてね。」
「わかりました、約束します。まず、人形で試すような真似をして悪かった
ですね。あの位に手こずるようでは今回の用件を頼めないと思いまして。
全て瞬殺するとは思わなかったですけど。カエデ、あなたは・・いや、
今はいいですね・・・。」
「カエデ、本当に7歳かい?爺ちゃん、ちょっとびっくりしてるんだけど。」
「ちゃんと7歳だよ、爺ちゃん。」
「話を続けます、まず『大嶽丸』の封印がとかれました。次に『酒呑童子』です。
封印を解いた奴がいるようです。」
「封印を解いた奴はわかってるの?」
「あの封印を解ける奴はそうはいません。神々を除けば一人だけです。」
「ぬらりひょんだね。」
「知っているのですね?」
「朧の本家だからね。」
あんの野郎、面倒臭いことしやがって。しかし奴が相手だと3日で解決は無理。
「ぬらりひょん相手だと、長期戦だよ。」
「そうですね。それは、爺ちゃんと婆ちゃんでなんとかします。」
「了解。じゃあ僕は鬼2人を、おとなしくさせればいいんだね。」
「違います。そんな事させたら神居がロイドとツバキに滅ぼされます。それは
タチバナの宗家と分家でなんとかします。シュリとタケルを呼ぶ事に
なるでしょうけど・・。」
「あれ、用事って?」
「これからぬらりひょんと事を構えますが、奴は『紅桜』を狙ってます。それゆえ
『紅桜』をツバキに届けてほしいのです。あれなら、ぬらりひょんごときに
遅れはとりませんので。」
「吉華様の件は?」
「吉華様は『紅桜』を譲れと言ってきています。」
「はあ?なにを馬鹿な事を・・あれ?なんで『紅桜』の事を知ってんの?
僕もこぅちに来る時シュリ叔父さんに、絶対近づくなって言われて
初めてしったよ。将軍家はタチバナの封印刀を把握してるの?」
「いや、してないし報告の義務もない。」
「う~ん・・・成る程。吉華様の後ろにひょんがいるね。鬼達は陽動、本命は
こっちだね。」 ちょっと、ひっかかる事もあるけど・・。
「ひょん・・・。」
「だって長いし。つまりひょんはお付きかなにかで吉華様をそそのかした。」
「僕らも、そう見てる。」
吉華様を助けなきゃよかったよ。失敗だ。
「オーケーわかったよ。ひょんが側にいるのはラッキーだ。」
「ラッキーって、何をするつもりですか?」
「婆ちゃん、シュリ叔父さんとタケル兄を呼ぶのは3日待って。それと氷牙パパと
櫻ママに協力、お願い。零さんと百合子さんにフルで働いてもらうから
報酬として従魔を用意してほしい。」
「カエデ、本当に7歳?婆ちゃんちょっと引いてます。」
「ピッチピッチの7歳だよ、婆ちゃん。だけど、スローライフ未来の為に
最短で制圧だ!」
昨夜は婆ちゃん自らハンバーグを作ってくれた。いや~まじ旨かった。やる事も
はっきりしたので、爺ちゃんと露店風呂に入りぐっすり寝た。婆ちゃんが風呂に
突入しようとしていたのを紫丹さんが必死に止めていた。
朝は和食、まあ当然か。みそ汁うめー、鮭うめー。納豆はちょっと苦手。
さて、庭に全員集合。これは、ひょんに見せる意味もある。
「というわけで、鈴鹿山に行って大嶽丸と戦います。小梅と櫻ママはここに
残って、爺ちゃんと婆ちゃんの護衛をして下さい。氷牙パパは僕達につきあって
もらいます。」
「なにが、というわけでかは知りませんが、大嶽丸とバトルとはまじですか?」
「まじです。ちなみに明日は酒呑童子とバトります。」
「あの、カエデ様は私と零に死ねと・・・。」
「春日部は何を言っておるのだ。やつらごときで死ねるわけないだろう。」
「いや、死ねると思うぞ、俺は。」
「今回、大妖怪と2戦してレベルアップしてもらうから。2人は今後も僕と
行動を共にする機会が多いと思う、ならば龍ポンと桜ポンは使いこなして
ほしいし決定力不足をなんとかして。氷牙パパも娘より弱いのはだめ。
かっこ悪いよ、このバトルで必殺技を考えて。」
3人は目からハイライトを消し、了承。自覚はあったようだ。
「カエデは超スパルタだね。」
「本当に。まあ、私達はカエデを信じましょう。」
爺ちゃん、婆ちゃんには吉華様の相手をして、時間稼ぎをしてもらう。
「では、打倒『大嶽丸』。レッツラゴー!」
鈴鹿山は意外と近い。途中、桜花に頼んで蔵に結界を張ってもらう。
今日の夜にすき焼きをごちそうする約束だ。
「小梅、桜花に結界を張ってもらったから、あとよろしく。」
「うん。」
鈴鹿山に入る前に情報の共有をしておこう。
「みんなは大嶽丸の事をどれだけしってる?」
「俺は、なにも知らんな。」 氷牙パパはアホだから・・。
「私達も正直、封印されてる恐ろしい鬼としか・・。」
「了解。大嶽丸は三大妖怪の一角で、明日バトる酒呑童子、九尾で三大妖怪だね。
鬼神魔王と呼ばれ単純な強さだけなら九尾といい勝負だ。」
「そんなのと、バトるんですか。我々は・・。」
「完璧な状態だったら、僕らがたばになってかかっても10秒で死ねるよ。」
「・・・。カエデ様でもですか?」
「7歳児の僕なら、5秒だね。」
「そんなのと、どう戦えと・・。父さん、母さん。先に逝きます・・。」
「まあ、話は最後まで聞いて、大嶽丸の強さの源は『三明の剣』という
3本の神剣なんだ。今はそれを持っていない。と爺ちゃんから聞いた。」
実は、僕が「箱庭」で保管してる、というか浄化してる。大嶽丸があばれて
たのは3本の神剣に呑みこまれてたからだ。元々の大嶽丸、いや夏月は
理知的でやさしいナイスバディの女性の鬼だ。「三明の剣」がなくても夏月
は鬼だけに鬼強い。プププ・・・。
「ねっ!なんとかなりそうな感じがするでしょ?」
「「ねっ!じゃないですよ!」」
「俺は、必殺技を考えるだったな?」
「おっ!氷牙パパやる気だね!」
「確かにカエデの言うとおり、娘より弱いパパは嫌だからな。」アホで良かった。
鈴鹿山の中腹に、一軒の日本家屋があった。あそこだったな・・・。
「たのも~。」
「えっ!ちょっとカエデ様、心のスタンバイが・・。」
「おや?お客とは珍しい。」と女性というか鬼女がでてきた。
「封印が解けたと聞いたから、会いにきたよ。」
「んっ?童、どこかで我に会ったかのう?」
念話で「僕だ、夏月。斑鳩だ。」といって封魔ブレスをはずす。
「なっ!?その気は!」夏月に持ち上げられまじまじと見られる。
「なんじゃ、このちんまい斑鳩は?呪いか?」
「違う、呪いじゃない。転生したんだ。」
「なるほどのう・・月詠のやつか・・。まあ、あがれ。」
「ありがとう。氷牙パパ小さくなれる?」
「なれるぞ。」おお、尻尾が2本だけど普通の黒猫だ。零さんが手足を拭いた。
居間に行き、今回やってきた目的を話した。
「猫又とこの2人を鍛えてほしいと。」
「あのう・・カエデ様。先程から親しくお話しされてる、こちらの方は?」
「ああ、そうだねすまない。こちらは大嶽丸こと鬼女の夏月さんだ。」
「「「えっ!」」」
「初めましてだ。昔はそう呼ばれて、あばれていた時もあったようだが真名は
夏月だ。最近まで眠っていたのだが、我を起こした不届きものがいるようだ。」
「明後日、そいつをやっつけるよ。」
「「「えっ!」」」
「明日、酒呑に会いに行くつもり。」
「あやつも目覚めておったか。」
「夏月さんは『三明の剣』がなくても大太刀の達人だよ。『倫光の太刀』の
所有者だから。」
「えっ!・・・驚いてばかりで申し訳ありません。『倫光の太刀』って
実在したんですね・・・。」
「するよ、今日は夕方までみっちり鍛えてもらって♡」
「・・・まじ?」
「うん、まじ。昼食は腕にのりをかけて作るから、がんばってみんな!。」
「では、広い場所にいこうか。」
僕達は夏月の後を付いて行く、ドナドナな感じ。
「カモナ、僕達は昼食の準備だ。モニターもオンに、反省会に使うから
録画もよろしく。」
「かしこまりました。」
さて、どうなることやら。




