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二択  作者: 厠 達三
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道を塞ぐ雑草は進むほどに両側から侵食してきて、けもの道と言ったほうがしっくりくる様相を呈してきた。しかも随所に馬鹿でかい蜘蛛と蜘蛛の巣のオマケつき。蚊はブンブン寄ってくるし、汗はタラタラ流れるしでもう嫌。かれこれ一時間以上は歩いてるんじゃなかろうか。

 汗を拭おうにも両の袖はもうビショビショで吸水効果はゼロに等しい。俺は軽く舌打ちし、俺をこんな所に連れてきた奴に呪いの念を送る。

 たぶん、あのコーヒーに睡眠薬でも入っていたのだろう。でなければ、いくら寝不足っつっても拉致られてる最中まで熟睡しているなどありえない。たかが二択のゲームに参加させるために? なんで俺が。名前か? では、もし俺がミツイタクゾウって名前なら三択になってたのか? そんな馬鹿な。そういえばあのアンケートは匿名制だった。なぜに俺の名を知ってる。

 少し考えて己の浅はかさに呆れた。財布もスマホも向こうの手の内だ。ならば、個人情報などダダ漏れではないか。あの紙に俺の名が書かれていたのは不思議でもなんでもない。

 ならばと思う。随分手が込んでいるが、ドッキリやトライアルバラエティなどではあるまい。昨今は製作サイドに大変な自主規制を求める風潮のせいで強引な番組作りは困難だと聞く。一般人をガチで昏睡させて島に拉致など論外だろう。

 では今はやりの動画投稿関連か。おそらくこれもノン。

 相手は組織的な動きをしている。動画をアップしてヒット数を稼ぎたい奴などゴマンといるが、ほとんどが個人営業で、ここまで大掛かりな仕掛けをしてたらアシが出る。

 いくら考えても納得いく答えが出ない。

 そうこうする内に無性に喉が渇いてきた。腹も減ってたが、この際それはいい。クソ暑い上に湿度が高ければ大量の発汗は当たり前。腰を下ろして休みたいが、足場が悪い上に動きを止めれば蚊の餌食。俺はこの状況から少しでも早く逃れたい一心で足を動かし続けた。

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