第三十八話 シーサイド・テンプテーション
眩しい陽、晴れ間曇り間、波の音。
彦乃たちは今、ヘレンの運転している車に乗りある場所へと向かっていた。
チームデルタ全員と桜の7名で、これから海へ行くのだ。
任務や指示とは関係なく、朱莉の「海でも行ってきなよ」の一言から始まった休暇のプレゼントである。
「うぅ……彦乃、これなんだかムズムズする…」
「あれ、衣擦れで痒くなっちゃったのかな…? 薬塗ってあげるからじっとしてて?」
「ちょっと、押さないでよ! ただでさえ狭いんだからっ!」
「……zzz」
後部座席の面々は、なんともにぎやかな物だ。
輝だけはすやすやと眠っているようだが、どうにも嫌な予感がする。
前日に何か仕掛けでも作っているんじゃないかと。
「にしても、社長さんよー許可出してくれたもんですね」
「んー…まぁ、大型種なんつー規格外なヤツを倒せたボーナスって所なんじゃねーかな?」
助手席では操が携帯のナビで道案内を行っていた。
出発当初こそ音楽を流してはいたが、輝が眠っているのに気付いて音量をなるべく落としている。
因みに現在は長いトンネルを走っていて、地図によればこのトンネルを抜ければ海が見えてくるんだそうな。
この情報、実は彦乃たちには知らせてはいなかったりする。
驚かせてあげようという操なりの気遣いだ。
「ふーん……あ、そろそろ車線寄せといた方が」
「あいよ…トンネル出てすぐの出口だっけか?」
「そです」
順調に進み、長かったトンネルをようやく抜けると、そこは日の光がこれでもかと照り返す綺麗な海岸線だった。
操は彦乃たちにこの光景を見せてやろうと後ろを振り向くが…
「んっ……ふっ…んやぁ!」
「あーもう! 動いちゃダメだって!」
「そうだよ桜ちゃん、まだ薬塗り終えてないから、もうちょっとじっとしてて?」
「…zzz」
美波が桜の両足を掴んだまま持ち上げて、動けなくなっている桜の股間へ彦乃が薬を塗り込んでいた。
パッと見ればものすごくいやらしい事をしているようにしか見えない。
そしてその後ろでは、輝に続いて織姫もスヤスヤと眠っていたようだ。
こちらも徹夜で何かを仕込んでいたんじゃないだろうか。
「んうぅ!」
「よっしおしまい。もういいよ、ありがとう美波ちゃん」
「どういたしまして。ホラ、桜もお礼言いなさい?」
「うん…彦乃、ありがとー…」
犬は、安心しきっている時には寝転がって腹を見せると言う。
我慢するのに疲れ切っていた桜は、美波の膝を借りてまさしくそんな恰好をしていた。
それを見た彦乃は、桜を労ってやらずにはいられなかった訳だが。
「よく頑張ったねー。偉いよ桜ちゃん!」
「っ~…」
仰向けに寝転がる少女に覆いかぶさるようにして凭れ掛かってくる彦乃の姿は、どこからどう見てもアウトな構図だった。
これ絶対入って(以下略
「あー…ヘレンさん? なんや後部座席で彦乃が桜に襲いかかっとりますけど…」
「会話くらい聞こえてる。写メだけ撮っといてくれ」
「あい~……ついでに緩んだ顔しとる美波も…」
「っ?! ちょ、何撮ってんのよっ?!」
そんなこんなでワイワイ騒ぎ合いながら、車はどんどん進んで行った。
気が付けば目的地に到着していたくらいの勢いだ。
勿論、途中でコンビニに寄ってある程度の買い物も済ませている。
と、言う訳で
「夏だっ!」
「海だっ!」
「砂浜だぁーっ!」
一行は海水浴場へと到着した。
そこそこの人で溢れているものの、そこまで人は多くないようだ。
夏休みとは言え平日だからだろうか。
「…ちょっと、早く出なさいよ…」
「ごめんなさい…」
彦乃と織姫は、既に水着に着替えて車の前に立っていた。
何故そこで立っているかと言えば、ヘレンが再集合場所を車にすると行ってどこかへ着替えに行ってしまったからだ。
因みに輝と操もそれに付いて行った。
車の中では美波と桜が着替えている所である。
「うーん、絶好の海水浴日和だねぇ!」
「うん! あ、彦乃ちゃん、日焼け止め後で縫ってあげるね」
「えっ? ありがと~、織姫ちゃん」
彦乃が着ているのは、パーカータイプのラッシュガードだった。
日焼け対策に着る物であるラッシュガードを着ていながら日焼け止めを塗るのは、泳ぐ際には脱いでしまうからだ。
下にはフリルの付いたビキニを着ている。
赤と白のボーダー柄で、実に彦乃らしい柄と言えるだろう。
そして隣の織姫はと言えば、彦乃が着ている物よりいくらか大胆なタイプのビキニを着ていた。
水色と白の水玉模様で所々に星マークも散りばめられている。
「っと、織姫ちゃんそれ貸して? 背中塗ってあげるから」
「っ?! お願いしまーすっ!!」
自分で腕や足に塗っていた日焼け止めを、織姫は彦乃に渡して背中を向ける。
ワクワクしたまま待っていると、ひんやりとした感触が背中を伝う。
「んっ…」
「冷たい?」
「ううん大丈夫…そのまま背中全部に塗って?」
「はーい」
次々に塗って行き、やがて終わる頃になると車の扉が開いて飛び出してくる者が居た。
美波だ。
着替え終わったのかと思えば、パンツ丸出しの状態で飛び出して来ていた。
「雲類鷲さん、ウチの妹見なかった?!」
「え、ヘレンさんたちと一緒について行ったけど…水着は?」
「すり替えておいたのさ!」
怒り心頭と言った感じの表情で飛び出してきた美波が持っていたのは、まるで紐のような水着だった。
色や柄、サイズなどから言っても、この前買い物した時に持って来ていた水着だろう。
冗談などではなく本当に買って来ていたとは。
後ろから輝の声が聞こえたが、きっと気にしてはいけない。
「輝! アンタ私の水着はどうしたのよっ!」
「だってお姉ちゃん用意してたのフリフリした子供っぽい水着だったじゃん…このままじゃお姉ちゃんが子供っぽいレッテルを貼られると思って…私がそのヒモ水着と入れ替えておいたんだよ! あ、因みにあのフリフリは家に置いてきてます」
「アンタねぇえぇぇぇええ!!」
かく言う輝もフリフリとした感じの子供っぽい水着姿ではあったが、あまり発育のよろしくない輝の体型では寧ろジャストフィットしていると言った感じだろうか。
「待ちなさあぁぁぁあい!!」
「にっひひ~、お姉ちゃん、その水着着たらきっと可愛いよー?」
「痴女にしか見られんわっ!」
逃げ回る輝と、それを追いかける美波といった構図になったのは良いが、その手に握るヒモ水着は置いておいた方が良いだろう。
着ても居ないのに痴女に見られかねないから。
「あっはは…」
「彦乃……どうかな…」
「あ、桜ちゃん…おー! 可愛いっ!」
紫系のビキニに、上から濡れてもいい白で無地のTシャツを着た姿の桜が、モジモジと恥ずかしそうに車から出てきた。
麦わら帽子を被っていて、それがまた彼女の可愛らしさを伸ばしていると言っていい。
恥ずかしがっているのか、シャツを引っ張って必死に下半身を隠そうとしているが、その仕草ですらも可愛く思える。
「変じゃ…ない…?」
「うん、すっごい可愛いよっ!」
「彦乃ちゃんも可愛いよ」
三人は、暫く可愛い可愛いと言い合う延々と言い続ける事になる。
無限ループって怖くね?
「おーい、もう皆場所とってるぞー」
「えっ…でも、一度集合しようって…」
「場所取ってくれてる「協力者」が居たからなー」
互いを褒めちぎり合っていた三人を、ヘレンが迎えにやって来た。
普段のズボラな服装とはうって変って、パレオタイプの水着をしっかりと着こなしている。
いつもの服装がだらしないだけなのかと思いきや、すぐにネタは割れた。
「ところでよ、この恰好おかしくねぇか?」
「えっ?」
「操のやつがこう着るんだってアドバイスしてきてさ…どうも胸がキツくってしょーがなくって…」
「ああ~…」
どうやらその一言で確定した。
ヘレンは普段から服装がずぼらなのだ。
それを操が見かねて服装のコーディネートを手伝い、こんな結果になったと言う訳だ。
ヘレンの胸はキツめに締められたおかげで、胸を寄せて上げるような形となり、ただでさえ大きな胸が…正確には胸の谷間がより強調されているように見える。
ハッキリ言ってエロい。
「緩めんなとか言ってくるし、何なんだよ一体…」
「でも、そのおかげかすっごく似合ってますよ?」
とてもありきたりなフォロー。
でも、彦乃が言えばそれは何倍もの効果を生み出す。
「そ、そうか…? んなら良いけど…ほ、ほらお前らも荷物持って行くぞ!」
「はーい!」
車に積み込まれていたパラソルやクーラーボックス等を、分担して運んでいく。
クーラーボックスは重いので、彦乃と桜が二人で運ぶ事となった。
その後ろで織姫が妬ましそうな視線を送っていたりもしたが、気にしてはいけない。
ヘレンの案内で集合場所へと向かっていた訳だが、ここで問題が発生。
四人の行き先を阻むようにして一人の男が立ちはだかったのだ。
文字通り、進む邪魔になるような立ち位置でヘレンが歩くのを阻害していると言っていい。
「やあ、そこの美人なお姉さん。その荷物重そうだねぇ、俺持つ」
「触んな」
自分より背の高い男性を前に、ヘレンは物怖じ一つせず寧ろ睨んでいたりした。
表情の見えない位置に立っている彦乃たちですら分かる。
確実に怒っているだろう。
まだレベルにして言ってしまえば低いものだろうが、前を遮る男が口を開くたび、そのレベルはぐんぐん上がって行く。
「っ…そ、そうかい? ところで君達ヒm」
「ツレ待たせてんだ、そこ退けよ」
きっと食事でもどうかなとか言おうとしたんだろうが、ヘレンは聞く耳持たず。
ただ目の前を遮っている男が煩わしく思っていた。
メテオーブに手を掛けてこそ居ないが、もしかしたら変身しだすかも知れない。
内心ハラハラしながら、彦乃たちはヘレンの様子を見守っていた。
まぁ、彦乃「たち」とは言っても、桜は興味津々に観察していたり、織姫はヘレンと同じく睨んでいたが。
「あぁ、友達も一緒なのか。なら皆で…」
「15人」
「えっ?」
「15人で来てんだ。全員が腹空かせて待ってっからな。そいつらに飯食わせてくれるってんならいいぜ?」
実際はそんな人数では来ていない。デルタ隊と桜の計7人だ。
メテオーブも数に入れれば15人になるだろうが、それにしたって嘘だとバレてしまいそう。
もしもこれでOKだとか言われてしまえば面倒な事になるのはまず間違いない。
「じ、15……因みに内訳は?」
「全員女だ」
「内訳って…」
なんとも下世話な話だ。
これで男所帯だとでも言っておけば渋い顔してどこかへ行っただろうに。
どうしてそんな事をして、この男を思い止まらせるような事を言っていたのか。
その結果はすぐに分かった。
「うぅん……ま、まぁ大丈夫だと思うよ。さ、俺たちの所に」
「はいはい、ナンパはやめてくださいねー」
「げぇ!」
監視員の男性が、ナンパしてきていた男の肩を掴む。
呆れたような口調になっている事から、きっとこれが一件目ではないのだろう。
ヘレンが狙っていたのはまさにコレだった。
ナンパ男がナンパを粘り始めた頃から、視界の端には監視員の姿が見えていたのだ。
すぐに散らしてしまっては、またいつ声を掛けてくるか分からない。
気付けば逃げるだろうし、気付かなければ捕まるだけ。
であれば、後は捕まるまで気付かせなければいい。
「こ、ここで捕まる訳に…」
「あぁ~…二人とも、これ頼むわ。 ちょっとだけな」
「え、あ、ちょ!」
いきなり、彦乃と桜が一緒に持っていたクーラーボックスの上にヘレンの持っていたカバンやら小道具やらを一度にドサッと置いていく。
いきなりの事に対処できず、彦乃は桜と一緒にクーラーボックスを足元の砂場へと置いた。
「あ、このっ!」
「こちとら逃げるのは得意でねぇ!」
「そうかよ…なら、これで…」
ナンパ男が逃げようとする方向にヘレンが立ち、道を塞ぐ。
そして、足元の砂が舞い上がるように地面を蹴り上げた。
なるべく多くの土煙が舞うよう力を込めて、後は…
「よっと…」
「ぐあっ!砂っ!ぺっぺっ…うあぁぁ、目がぁ!」
砂埃がナンパ男へ向かうように、パラソルを広げて横一文字に空を切る。
あとは団扇で扇がれたのと同じ要領で風に乗った土埃がナンパ男へ襲い掛かり、目や鼻、口などに入り込んでいく。
良い子は真似しちゃダメだゾ!
「あとはこうして…」
「のわっ!」
目を砂で潰されながらもまだ走ろうとしている男の足に沿わせるように足払いをかけて、その場で転倒させる。
足場が砂浜だったから良かったものの、もしコンクリートだったりしたら大惨事になっていただろう。
重ねて言うけど、良い子は真似しちゃダメだぞ!
「よっと…どうだ、熱いだろ?」
「うぐぐ…重いぃ…」
「っ!…死ねっ!」
ギャグマンガのようにへの字ですっ転んだナンパ男に、ヘレンは段差を上がるような軽さで上に乗る。
日光に照らされた砂浜の砂は、上半身裸の男にとっては熱いだろう事は想像に容易い。
起き上がろうともがく男を炙るくらいの勢いで踏みつけるヘレンだったが、男の「重い」の一言が彼女を怒らせた。
もがく男の尻を、蹴り抜くぐらいの勢いで踏み込んだのだ。
想像してみて欲しい。男性の腰には何があるを。
「っっっ~~」
「女性に「重い」はないよね」
「そうなの…?…うん、覚えた」
「その他にも太ったとかもダメだよ」なんて教えている間に、ナンパ男は追い付いてきた監視員に捕まり晴れて御用となった。
「さって、行くぞ…」
ヘレンが男から降りて彦乃たちから荷物を受け取っていると、後ろから拍手が聞こえてきた。
見れば人が集まって来ていて、ヘレンへ称賛の拍手を送っている。
ちょっとしたヒーローのような扱いになっていた。
「うっへ、メンドクセー…後ぁ頼みます…行くぞお前ら」
「はーい! あ、照れてる」
「ちょっとだけ口角が上がってる…」
「嬉しいんですよね、褒めて貰えて」
三人から暖かい目で見られながら、顔を赤くしたヘレンは操を待たせてある場所へと向かう。
それに付いていく形で3人も後に続いた。
暫く歩いていると、丁度日陰になる場所で操がシートを敷いて寛いでいるのが見えてきた。
「……」
「ああやって落ち着いてると、本当に美女って感じなのになぁ…」
彦乃がラッシュガードの下に着ている水着よりいくらか面積の少ないビキニを着た操は、日陰になる場所で眼鏡を掛けて本を読んでいた。
黄色の布地に黒の紐が、彼女のスタイルの良さを際立たせている。
出る所は出まくって、締まる所は締まり過ぎない余裕。
ぶっちゃけた話、スターライトに変身している際の姿とそこまで変わらない気がした。
「すまん、待たせちまったな」
「…んぁ…なんや長いこと動いとったみたいですなぁ」
「操ちゃん聞いて聞いて?」
いかにも退屈してましたと言わんばかりの表情に、彦乃の好奇心が突き動かされた。
退屈な顔には刺激的な話と相場が決まっている。
先程のヘレンの話をしようとした次の瞬間。
「別になーんにも無かったぜ。なぁ、お前ら…?」
「…は……はひっ…」
彦乃の鼻先を掠めるくらいの至近距離でパラソルを地面に突き刺された。
ヘレンさん、パラソル刺す向き逆さッス。
このまま開いても日差しは全く防げないし、アンテナにもなりはしない。
「……んな事より彦乃、あれ見てみ?」
「アレって…?」
話の内容はさて置くとして、操は海岸の方を指さす。
そこに居たのは。
「か…蟹だぁっ!?」
「えっ、どこ…?」
砂浜の波打ち際を、何匹もの蟹が列をなしてトコトコと歩いていた。
手のひらサイズのその蟹は、見ていて「かわいい」以外の感想が出てこない程度にはかわいいものだろう。
彦乃と桜はおおはしゃぎでその蟹を追い回したり手に乗せたりして遊び始める。
その間にも準備はテキパキと進められて行き…
==========
「…zz」
「むにゃ…」
遊べる限りに遊び、楽しむ限りに楽しんで、日が山の向こう側へ沈んでいくのを見送りながら、楽しい一日が終わりを迎えた。
片付けも済ませ、行きと同じくヘレンの運転で帰り道を走って行く。
遊び疲れた彦乃や桜、美波に織姫、そして輝までもが皆してぐっすりと眠ってしまっており、起きているのは助手席でナビをしている操とヘレンだけに
なってしまう。
「ふふっ…ホンマ気持ち良さそーに寝とるなぁ…」
「そう言うお前も眠そうにしてんじゃねーか…いいぞ、寝てても」
眠そうなのが顔に出ていたようで、操は慌てて手で顔を擦る。
それで眼が覚めたかは微妙な所だったが、何もしないよりはいい。
「そーいう訳には……それと、ありがとうございます…こーやって遊びに連れてかせてもらって…」
「あー、そういう感謝なら社長にしとけ。多分大慌てでアルファ隊とか呼び戻してるだろうからよ」
「そういや、デルタ隊全員ですもんね……社長さんも太っ腹やなーって思い知りましたわ」
本当なら、あんな性格の朱莉の事だ、どこかのタイミングで乱入してくるくらいの覚悟でいた。
なのに朱莉の姿は結局一度も見る事はなく終わってしまう。
期待と警戒が綯い交ぜになったような気持ちが胸の中で燻りながらだったが、思いっきり羽を伸ばす事は出来たというものだ。
「……そういや、ちょい前まで出動続きだったんだよな?」
「…? えぇと…まぁ確かにハードスケジュールやったと思いますよ? その疲労で彦乃も右目痛めたみたいですし」
「そうか……戻りたいよな、日常に…」
ヘレンの表情は、これでもかと言う程に陰りを見せているのが見なくても分かる。
その声は、どこか震えていたのだから。
「何言うとりますん? 今日やって色々楽しかったやないですか」
「……フッ、そうかい? ならまた社長に言ってやろうぜ? 今度はそうさな…遊園地行きたいですーって」
「おー、いいですやんそれ。 またその内にでも」
こうして、二人はそう遠くないであろう未来についての計画を妄想しながら時を過ごした。
それが、どうしようもない程に不安定な物だと分かっていながら。
つづく




