第四話 邂逅一番
8区。
この辺りを歩いていると――うん。
不思議と、心臓を直で握られたような激しい痛みに襲われ、息苦しくなる事が稀にある。
離れりゃ治まるが、なんとなーく不安だ。
昔はココいらに住んでいたと母殿から、故障したテレビの代役で聞かされた気がする。
いざ振り返ってみると、記憶にぼんやり。
んで今じゃ、
多種多様な悪魔の発生が後を絶えんと有名。
訳も分からずぽいぽいと湧いては駆除しのいたちごっこを繰り返していて、嫌になる。
と、同業者の酒の席では、様式美となりつつある愚痴の掃き溜めの前座を務めていた。
というのも、オレが今危険を冒してまで進むココは、前任の殉職者の継承からであり、
元凶を辿れば、
「フゥー」
別件で、死に急いだヤロウのせいで……。
うるさいけど、けっこうお人好しだったな。メシも食わせてくれたし、人生相談だって。
人って、あっさり死ぬもんだな。
もしかしたら次は俺なのかも、なんてな。
遺書の筆下ろしがよぎり、オレは古びた死角だらけの街道をいち早く抜けんと生き急ぐ。
「ここ市街地、だよな?」
ご覧の通り、寂然とし閑静な光景が続く。
「廃墟かぁ? ココは」
ふとした呟きを残し、その場を後にした。
一授業分の時間でぐるっと半分を終え――ちょっとばかし休憩がてら、寄り道をば〜。
「っ。ツカレタ。もう、アルケナイ。ぁあ?」
遂には、トボトボ歩きにも限界が訪れた。
ぴたりと止まりしは学校が横目に映る歩道。
直感から学校になにかがとも思ったが、オーラはストライキに出た足先から腰だった。
念の為に、頼れる上司に連絡しとこ。
まぁ、あんまし深くは考えずに気の迷いと自分に言い聞かせ、巡回を再開する他なし。
ただ少しだけいつもとは、
少しだけ、変わっていた。
拭えぬ不安は現状維持だが、先を急ごう。
「だれかぁあぁ!!」
一先ずの安心の授与式に、乱入者かしら。
途切れ途切れの一心不乱なSOSが後方から号砲のように轟いて、一向に止む気配がない。
オレは発信源へ、身を翻した。
さほど遠くなくともよく高々と響き渡る、身の丈に合わん学ランぼっちの走行を確認。
以前もこんなことがあった。
クソガキの嫌がらせだったけど。
その悪戯のせいで何度、苦い思いを味合わされたか。無視してゆきたいところだがー。
「だれかぁ!」
微動だにせずにいた足も痺れを切らして、
「誰かぁ……ッッ!!」
「るせぇ。わかぁってんよ。っし!」
嘆息を漏らし、短足のつま先を伸ばした。




