21 展望台は微妙だった
前回のあらすじ:全開放されたパーフェクトライセンス、通称ゴールド免許が表示されたら店員さんがフリーズしてしまったよ!
「一応、観光名所らしいよ。いい景色かどうかは僕にはわからないけどね」
「そうね、一面に星空というのはいい景色だと思うわよ? まるで天然のプラネタリウムね」
まあ確かに。前の世界でもこの世界でも、どこに行ってもいろんな建物が建っていて満天の星空なんてめったに拝めないからねー、星空とかにロマンを感じる人であれば美しいと感じるのかもしれない。
とはいっても僕はいつも船のコックピットでこの光景を見ているので、あまり感動というものは感じられない。あのコックピットはかなり見晴らしがいい……横までガラス張りの前面展望みたいになっているので、一面に広がる宇宙というのはもはや見慣れた光景なのである。
……そう考えると、もしかしたらレミにとってもこの光景は見慣れたものなのかもしれない。少し失敗したかな? と思いつつ、レミの反応をうかがう。
「貴族相手には、ちょっと微妙だったかな」
「んー……なんというか、新鮮味がないというか。宇宙の光景って、割と頻繁にみているから」
「あ、やっぱり? ごめん、ちょっと失敗した」
「いいえ、別に大丈夫よ。まあこういうのもいいんじゃない? ロマンはともかく、デートっていう雰囲気があるし」
雰囲気……雰囲気、か。デートの気分、ということなら。
「じゃあ……手でもつないでみる?」
「……え」
言いながら、手を差し出したものの……レミはフリーズしてしまった。手を差し出している僕と、その場で立ち尽くしているレミ。……ど、どうしよう。
「……失礼」
さすがにその場でいつまでも固まっていると邪魔になってしまうので、強引に手をつながせてもらって引っ張っていく。
……昨日身体を重ねたのに、ここでフリーズするのか。僕にはちょっとわからないけど、彼女にとっては何か違うというか、初心のような恥じらいがあるんだろう。多分。
さて、展望台はもちろん半円形のドームいっぱいの星空を眺めることができるけれども、さすがは未来というべきか設備も充実している。
よくあるお金を入れるとみることができる望遠鏡はもちろんのこと、解説用ホログラムやちょっとしたクイズゲーム、それに宇宙船と管制センターの音声のやり取りをリアルタイムで聞くことができるヘッドホンなんかもある。ちょっとしたパイロット気分を味わえるというわけだね。
そんな中で僕とレミはというと、無言のまま片隅でただひたすら宇宙を見つめている。何を話しかけていいかわからない……多分、レミも同じ状態になっている。
こんな時に気の利く言葉でもかけてあげられたらいいんだけど、あいにくと僕にそんな話術はない。ど、どうしよう。
「あ、あの」
「な、何かしら」
「次の場所……いく?」
「……そうね」
なんだか微妙な雰囲気になってしまったが、まあとりあえず次の場所へ行けば何とかなるだろう……何とかなると、信じたい。
さて、そういうわけで次にやってきた場所は――大型商業施設。まあショッピングモールである。
観光ステーションの中のためか、天井がない。吹き抜けである。まあ雨とか降らないし、建物には屋根がなくてもいいというのはわかるけれども、なかなか斬新なデザインになっていると思う。
「上の吹き抜けからコロニーの反対側が見えているというのは、なかなか斬新だね」
「まあ、確かにそうね。観光ステーションではたまにある構造だけれど……私も初めて見たときには驚いたわ」
「だよね。……さて、行きたい場所とかある?」
「え、特にないけど」
「ん、わかった」
ショッピングモールに来たわけだけれど、実をいうとはっきりとした目的地は決めていない。そもそも中に入っているショップの名前を全く知らないし、レミの好みそうなお店もさっぱりわからない。じゃあなんで来たんだよというツッコミを受けそうだけれど、まあこういうのは雰囲気も含めて楽しむものではないかな?
一応下層が日用品コーナー、中層が愛好品とかそういうの、上層がアミューズメントパークになっているというのは把握している。というわけで、まず中層……えーっと、何階建て? え、13階建て? たっか。
「とりあえず3階に上がって、いろいろ見て回ろうか。気になったものがあれば見て回ろう」
「そうね」
というわけで、ぐるっと見て回ることになった。




