いち。
昔々、あるところに王子さまとお姫さまがおりました。王子さまは力こそありませんが、ハンサムで優しく、美しいお姫さまと幸せに暮らしておりました。
ところがある日、王子さまは願いました。
神さま。もしいるのなら、僕に力をください。どうか、お願いします。
すると、どこからか不思議な声が聞こえてきて、こう言いました。
どうして力がほしいのですか?
悪い魔法使いにさらわれたお姫さまを助けたいのです。けれど、彼はとても強くて、到底かないません。だから力がほしいのです。
声は感心して言いました。
まぁ、何て勇敢な子でしょう! わかりました。あなたに力をあげましょう。
しかし、いざ力を与えようとした声は困ってしまいました。
ところで、王子さま。あなたはどんな力がほしいのですか?
王子さまは答えました。
悪い魔法使いが住んでいる城は、とてもとても遠いのです。どれだけ走っても疲れない足をくれませんか?
声は喜んでその願いを叶えました。
するとどうでしょう。王子さまの足はみるみるうちに太くなり、力が満ち溢れてきました。
ありがとうございます! これでお姫さまを救うことができます!
王子さまは喜んで走り出しました。