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前世安全管理者の異世界ホワイト戦記~死にたくないので安全部隊を作ったら、勘違いで不敗の魔導名将に。夜の放電メンテナンスを求められて困っています【R15】~  作者: トール
第十二章:世界総ホワイト化と「全自動有給スローライフ」の完成

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第074話:大同盟の解体と、全自動有給スローライフの完成

 


 数日後。


 新生ロベルト直轄領の中心にそびえる、旧ロベルト子爵邸の広大な大広間。


 そこには、かつて大陸を二分し、凄惨な争いを続けていたあらゆる巨大勢力の頂点に立つ者たちが集結していた。


 レームガルト王国の過労ワンオペ女宰相ユスティナ。


 カストル帝国の元・鉄血女帝ヴィクトリア。


 オルテンシア王国の第一王女フィオナ。


 大樹界のエルフ女王ティターニア。


 そして、セルヴィア聖王国の最高衛生責任者となった聖女クラリス。


 陸、海、森、空――かつてルディの「有給サボりライフ」を脅かそうとしたすべての「反バウムガルト大同盟」の代表たちが、今や彼の前に膝を折り、絶対的な信頼と狂信を込めて深く平伏していた。


 豪奢な椅子に深く腰掛けたルディ・フォン・バウムガルト(十六歳)は、前世の中堅化学メーカーで培った冷徹な管理者視線で、大広間を静かに見渡した。


「――これにて、対バウムガルト大同盟という名の重大な地政学的ハザードは完全に解消された。……これより、大陸全土の全事業所(国家)に対し、『バウムガルト労働安全衛生法』の全面適用を布告する!」


 ルディのロジカルで朗々とした声が、大広間に響き渡る。


「週休二日制の導入、ハサップ(HACCP)基準の衛生給食の無償提供、そして精神論による過重労働や無謀な突撃(不安全行動)の完全禁止だ! 従業員(民や兵)を単なる使い捨ての部品として扱い、安全配慮義務を怠る事業主(領主)は、我が陣営の『5S部隊』が即刻現地へ乗り込み、操業停止処分(物理的ざまぁ)とする!」


 その絶対的な宣言に対し、集まった代表たち、そして大広間を埋め尽くす各国の将兵たちは、一斉に感涙にむせびながら歓声を上げた。


「おおおっ……! これぞ、血と涙に塗れていたこの大陸に訪れた、真の平穏……!」


「命を何よりも大切にしてくださる、雷神ルディ様のホワイトな教義に、この身と国のすべてを捧げます!」


 ルディは心の中で、特大のガッツポーズをキメていた。


(よっしゃあああ!! これで『対バウムガルト大同盟』という最大級のハザードは完全にクリアされた! 大陸全土が俺のコンプライアンス(安全基準)で統一されたぞ!)


 ルディは立ち上がり、さらに冷徹な指示を付け加えた。


「俺はこれより『最高安全衛生責任者』として、現場の安全パトロール(サボり旅行)に専念する。日常の複雑な政務ルーチンワークは、お前たち幹部で『安全衛生委員会』を組織して回せ。俺のサボり時間プライベートを削るような不要なエスカレーション(報告)は一切禁止だ!」


「お任せくださいませ、ルディ様。この身が果てるまで、あなた様のホワイトな教義に従い、完璧に国々を導いてみせますわ」


 ユスティナが艶やかな微笑みを浮かべて答えると、ルディはすかさず安全管理者として釘を刺した。


「いや、果てるまで働くな。定時で帰れ。過労死は最大のコンプライアンス違反だぞ」


 ◇ ◇ ◇


 それから数ヶ月後。


 南方の大河が海へと注ぎ込む、美しく整備された『水上プラットフォーム』の一角。


 そこに設けられた、波の音が心地よく響き、温かい潮風が吹き抜ける豪奢なプライベートリゾート。


 ルディは、スノー・ロプの綿毛を仕込んだフカフカのラグマットの上に寝そべり、ミリー特製のよく冷えたハーブジュースを優しく喉に流し込んでいた。


(……はぁぁ、極楽だ。完全自動化された不労所得システム、ならびに完璧な安全環境。これこそが、俺が前世から求め続けた『全自動有給スローライフ』の完成形だ!)


 青い空と輝く海を見つめながら、ルディは深い満足感に浸っていた。


 面倒な国家の運営や収支決算は、ユスティナやテレーゼ、カタリナたちが『デリゲーション(他者委任)』によって完璧に回してくれている。物理的なセキュリティはヒルデやヴォルフガング、セシルが防護壁と不沈船で固め、食料と衛生はミリーやアイラ、ティターニアがハサップ基準で自給自足しているのだ。


 ルディ自身は、ただ毎日を安全に、そして快適にゴロゴロして過ごすだけで、莫大なキャッシュと平和が舞い込んでくる。


 だが――そんな完璧なサボり時間は、長くは続かなかった。


「ルディ様……。こんなところでくつろいでいらしたのですね」


 甘いハーブと愛蜜の香りを漂わせ、しずしずと現れたのは、薄い白いシュミーズ一枚をまとった女帝ヴィクトリアや女宰相ユスティナ、そして他の幹部ヒロインたちであった。


「本日の政務ルーチンワークは、すべて定刻前に完了させましたわ。……ですから、私たちにもご褒美(夜間操業)をいただけますわよね……?」


 ヴィクトリアが、柔らかな微笑みを浮かべ、ルディの寝椅子へとなめらかに滑り込んでくる。


「私もですわ、ルディ様。一日中帳簿を睨んでいたので、肩のあたりに魔力が凝り固まってしまって……」


 テレーゼが丸眼鏡を外し、豊かな双丘をルディの腕に押し当てて熱い吐息を漏らす。


「私のも……私のお腹の奥の炉心も、ルディ様の電気で直接アースしていただかないと、熱くて破裂しそうですの……っ!」


 エルザも、ヒルデも、フィオナも、クラリスも、ライラも。


 次々と群がり、ルディの服や肌にすり寄ってくる絶世の美女たち。彼女たちの瞳には、ルディの指先が放つ【微弱放電】の極上の快感パルス(愛の調律)への渇望が、熱く燃え上がっていた。


 ルディは、四方八方から迫りくるむせ返るような愛欲の熱気に包まれ、冷や汗を流しながら天を仰いだ。


(おいおいおい! 現場(国家)は完全にホワイト化して定時退社が徹底されたのに、なんで俺の『メンタルケア(性的トリートメント)』だけが24時間連続稼働の超ブラック労働に全振りの過重労働になってるんだよ!? これじゃあ俺の腰椎が過負荷オーバートルクで破壊されちまうぞ!)


 だが、彼女たちの溢れんばかりの感謝と、自分に向けられる絶対的な愛と信頼の眼差し(ディテクター視界)を前にしては、安全管理者としてその『ヘルスケア要求』を無下に却下することはできなかった。


「……まったく、仕方ない。定時退社した者から順番に並べ。全員まとめて、最高電圧で完璧にアース(調律)してやる!」


「「「きゃあああぁぁっ! ルディ様ぁぁっ!!!」」」


 青い海と澄み切った空に囲まれた至高のホワイト・リゾート。


 ルディ・フォン・バウムガルトの「絶対に死にたくない」という絶対的な安全ロジックが作り上げた、最高にホワイトで、最高に賑やかで、そして最高に淫らな『全自動有給スローライフ』は、これからも永遠に、絶え間なく稼働し続けるのであった。


「本日も、全事業所、完全無災害で操業終了! 手順、ヨシ!!」


「「「「「はっ! ルディ様!!! 安全第一、ヨシ!!! 永遠の有給スローライフ、ヨシ!!!!!」」」」」


【完】




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