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GOD SLAYER’S  作者: ネコのうた
― 第二章・それぞれの成長 ―
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第二十話 新しい日々

ヒーゴン城は、[平城ひらじろ]であり、割と広い。


天守が鎮座している[一の曲輪くるわ]を、[二の曲輪]が囲んでいて、更には[三の曲輪]までが存在している。


国によっては、[本丸・二の丸・三の丸]と呼称するそうだ。


いずれにせよ、ここの一の曲輪には、国主やその一族の為の屋敷と、馬小屋が設けられている。


二の曲輪には、それなりの身分である家臣たちの住まいに、内務/外務/土木/軍事などの執務用の建物があるようだ。


三の曲輪には、城を守る雑兵たちの小屋が数多く見受けられる。


紫蓮しれんたちは、この八畳一間の部屋を使うことになったのだ。



彼らがここで生活するようになって、一週間が経過しようとしていた。


午前06:30ぐらいに、紫蓮が目を覚ます。


その左隣には、甲冑を脱いだゴブリンの権蔵ごんぞうが寝ている。


スライムの来夢らいむは、直径40㎝の球体になって、隅っこで眠っているようだ。


起こした二体を伴って、外に出た彼は、馬の世話をするべく、三の曲輪の東門あたりから、一の曲輪へと向かう。


ちなみに、全員が、支給されたベージュのツナギと黒長靴に灰色の皮手袋を、着用していた。



馬小屋付近で、


「おッ、来たな。」


と、言葉を発したのは、身長が170㎝くらいで瘦せ型の、40代後半の男性である。


長めの丸刈りや、鼻の下の髭に、眉と瞳は、どれも黒い。


155㎝ほどの背丈で、顎あたりまでの長さがある髪と瞳がピンク色であり、栗鼠リスの耳と尻尾が生えている、20代前半の女性が、


「おはよー。」


と声を掛けてきた。


「どうもっス。」


と、お辞儀する紫蓮にならい、来夢と権蔵が〝ペコリ〟と頭を下げる。


「お前たちは、なかなか優秀だよな…、それに引き替え、アイツは、ほんっとに、タルミすぎだッ!」


と眉間にシワを寄せたのは、身長が175㎝ぐらいで、青色と黒色が入り混じったような肩より長い髪がドレッド風である、30代前半の女性だ。


肌は褐色で、瞳はダークグリーンである。


そんな彼女の視線の先に、欠伸あくびしながら、こっちに向かってきている、背丈が167~8㎝の、20代後半の男性がいた。


眉あたりまでの長さがあるライトブラウンの髪は、寝癖でボサボサだ。


瞳が青く、色白のイケメンだが、こちらには犬の耳と尻尾が生えている。


気怠けだるそうに、


「ちぃ~ス。」


と、挨拶した彼の脳天に、長身かつ褐色肌の女性が、


「シャキッとしろッ!!」


と右手でのチョップを


ズビシッ!


と、くらわせたところ、


「ぬおッ!いってぇ~ッ!!」


と両手で頭を押さえると共に、涙目になった。


それを他所よそに、リーダー格とおぼしき中年が、自身の手を〝パン!パン!〟と叩いて、


「さ、仕事するぞ!」


と、皆を促したのである。


そこからは、各自、馬小屋の掃除に、5頭の馬たちへの餌やりと、蹄の確認に、体を拭いてあげたり、たてがみのブラッシングを、行っていくのだった…。



7:30を過ぎた頃、馬小屋に近づいてくる人影があった。


それに気付いた、リスとの半獣である女性が、高く上げた右手を、〝ブン ブン〟と横に振りながら、


「千代さーん。おはよーございまぁす!」


と挨拶する。


それに対して、


「ああ、おはよう、ラル。」


と、返したのは、紫蓮が初めて会った際に、侍王たる[清虎きよとら]の、馬の手綱たづなを引いていた、あの女性だ。


「やや、千代殿、如何なさいました?」

「我々に、何か、不備でも?!」


と慌てたように馬小屋から出てきた40代の男性を、


「いや、大事ない。」

「紫蓮に話しがあるだけだから、作業に戻ってくれ、班長。」


と、落ち着かせた。


両腕を広げて、


「ちっよさぁーんッ!」

「今日も、お美しい!」


と鼻の下を伸ばしながら駆け寄ってきた犬の半獣の“みぞおち”に、千代が、右のグーパンチを、


ズドンッ!


と、打ち込んだ。


「ぐうッ!!」


と息を詰まらせたソイツが、殴られた場所を左手で押さえつつ、地面に両膝を屈す。


そんな彼を、


「相変わらず軟弱だな、バンヌ。」


と、見下ろした千代が、


「すみません。」

「再教育しておきます。」


と申し訳なさそうにする長身の女性に、


「ああ、〝ぐう〟の音も出ない程に、とことん(・・・・)、頼んだよ、ヴォニー。」


と、笑みを浮かべるのだった。


「さて、紫蓮。」

「清虎様の命令で、私たちが稽古をつけてあげる事になったから、9:00には、二の曲輪の南門まで来るように。」

「ちゃんと、朝食を済ませてな。」


と告げる千代に、〝コクンッ〟とうなずく紫蓮であった―。


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