プライド
やってみるか?
オヤジさんが言った。
マジすか?はい!
オイオイオイ!ヤバイぞ!ヤバイぞ!なんでそこで、、、
チャラ男なんかにさせるかなぁ!キリ刃は思った。
そんなキリ刃の気持ちなど、お構いなしに
チャラ男はドリルを構えた。
床に穴を開ける訳だ。切っ先を床に当て垂直に立てる。
この野郎!ドリルに全体重掛けやがって!
キリ刃は思った。死ぬな。コリャ。
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
おい。力抜け。こんな感じ。
それと、いきなり全開で回すな。ドリル、イカれるぞ。
オヤジさんの指導が入る。
オレは、ほっとすると同時に
やっぱりな。そりゃそうだよな。
ドリル本体の心配はしてもキリ刃の心配なんかしないよな。
だがな、オレはタフなプロだ。
心配なんかいらない。
オレはオレの仕事をするだけだ。
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
痛テテテテテテテテテテテテ
熱チチチチチチチチチチチチ
目パチパチパチパチパチパチ
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
フン笑 オレはタフなプロだ。
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
クソ! オレはタフなプロだ。
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
ち、ちくしょー! オレはタフなプロなんだ!
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
ちっくしょー! 痛てーよ! 熱ちーよ!
なんでオレばっかりこんな思いしなきゃいけねーんだ?
なんでオレばっかり!クソー!
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
おーい。休憩だ。
オヤジさんの声だ。
はぁはぁぜぃぜぃ
助かった! もう少しで摩擦熱にヤられるところだった。
キリ刃は命を繋いだ。
タバコを吸いながらチャラ男が言った。
このドリルすげ〜っすね。なんか高そうだし。
良く開きますもん穴。
オヤジさんが一言。
キリ刃だよ。
キリ刃は思った。
オレは、オレは、オヤジさんのこの一言を
一生忘れない!
オレはタフなプロだ。
自分の仕事をするだけだ。
よし、もう一丁やるか!
オヤジさんが言った。
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ!
オレはタフなプロなんだ!
三日後、キリ刃は寿命が尽きた。




