プロローグ
とあるDIYショップ。ドリルビットコーナーの商品陳列棚。此処から、オレの物語は始まる。
ドリルビットとは、言うまでもない。ドリルのキリ刃の事だ。
何?なんのこっちゃ?だと?
あの〜、アレだよ。工事用のドリル。ガリガリガリガリ!ドドドドドドドド!のアレだ。
ドリルっちゅーのはだな、本体とキリ刃があるのさ。で、オレはキリ刃。
名は TE-CX 12/17 なのさ。
キリ刃ってのは消耗品。だがな、オレはそんじょそこらのキリ刃とはワケが違うのさ。オレは安モンじゃねー。客は高い金払ってオレを買って行く。オレもプロだ。それなりの仕事はさせて貰う。
オレは今、陳列棚にぶら下がっている。ぷらーん。ぷらーん。
正直、、、暇だ。
ケースの中では身動きも取れやしない。と言うか、オレは鋼の身体だった。
初めから身動きできねーんだった。
ぷらーん。ぷらーん。
もしもし?オヤジさん?あの〜聞こえますか?もしもーし?
電波悪りーよ!ここ!
茶髪の作業服チャラ男がオレに近づいて来る。オレはこう言うヤツが嫌いだ。
携帯でオヤジさんと話してる時点で「私は道具を見る目が無いですよ」と言っているようなもんだ。
え?でぃーえーしーえっくす? えっ?DA-CX?分かりました!え?12の17?了解です!
此処にはDA-CXなんて商品は無い。有るのは TE-CX 12/17 このオレの事だ。
コイツに買われてゆくのか。オレは、、、。
正直、ウンザリした、、、。




