仕事
仕事は、大変だけどやりがいがあった。
先輩に付いて、作業を見ながら覚える。
工具も機械も、初めて見るものばかり。
マナ:あれ…どっちがニッパーだっけ…
名前を覚えるところから大変だった。
先輩:こっちだよ。
先輩がニッパーを手に取って私に渡す。
マナ:あ、ありがとうございます…!
先輩:…ふふ、絵を描いて覚えようとしてたの?
先輩が私のメモ帳を覗き込んでいる。
マナ:あ、はい…。
ちなみに、絵のセンスは壊滅的。
先輩:私もねー、未経験で入ったの。大変だよね。なんでも言ってね。
マナ:そうなんですね…!嬉しいです、ありがとうございます!
先輩:柊ちゃんって、素直で可愛いね。
マナ:え?す、素直、ですか?
先輩:うん。ちゃんとごめんなさいとありがとうが言えるし、すごく頑張ってるのわかるし。
マナ:え…そんな…
先輩:!?ご、ごめん、何か傷つけること言った!?
気付けばボロボロと泣いていた。
マナ:す、すみません…う、嬉しくて…。
先輩:…ふふ、よしよし、可愛いやつめ。
私は、少しずつ、素直になってきているのだろうか。
家に帰り、ぼんに高級イカソーメンをあげる。
ぼん:きゅわわぁ!?
マナ:ふふ、今日は特別。たんとお食べ。
ぼんはガツガツと食べ始める。
マナ:…ねぇ、ぼん。私、ごめんとありがとが言えるようになったみたい。ぼんと一緒に暮らし始めて、たくさんぼんにごめんとありがと言ってたからかな。
ぼん:どっぼ。
マナ:ん?
ぼん:んきゅ!
ぼんが、高級イカソーメンを一本くれた。
よくやった!と言わんばかりに。
マナ:…ふふ、ありがと。
今日の酒のつまみは、高級イカソーメンになった。