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車窓の海、揺られる君と。  作者: びすけ
夏至、梅雨、夏中。
22/42

21, Is Angel Number.

 夕陽は僕を照りつける。

 何処かに消えそうな僕を、逃すまいと。


 僕にとって、夕陽はただの色が濃く着いた太陽に過ぎない。


 しかし、人々は「綺麗」「儚い」などと、夕陽を過剰に美化する。


 ただの太陽でしかないのに。


『次は……──


 電車が走る。

 決められたレールを、決められた時間に、決められた場所へ。


 微睡みさえ運ぶこの電車は、夕暮れ進む海岸通りを無機質な表情で進む。


 ……。


──「(あきら)、夏からここの高校に通いなさい。編入試験も無いからな。分かったね。」


 目が覚めて、言われた言葉。

 別に嫌でもなんでもない。


 僕もどうせ、決められたレールを進んでいるだけなんだから。


「ここを出て、あっちでは父さんと2人で暮らすんだ。問題ないか?」


 「いやだ」と言っても、どうせそうなる。

 余計に困らせるだけ。


 この問いに、答えなんて必要ないんだ。


「こっちで自由にできなかった分、あっちで自由に暮らそう。今まで、すまなかった。」


 なぜ、いつも寡黙な父さんが謝ってるんだ?


 あれ、なんで東京を出たんだっけ。

 なんで、文藝、辞めちゃったんだっけ。


 どうして僕は、管に繋がれているんだっけ。


 父さん、なんで泣くの?

 僕は大丈夫って言ってるじゃん。


 嗚呼、体が動かない。


 殺風景な部屋に大きなベッドが1つ。

 周りには訳の分からない精密機器が並んでは、無情に音を発する。


 そっか。

 僕は、助かったんだ。


 いや、助かってしまったんだ。


 母さんは?

 母さん、誰だっけ。


 ……。


──「お前さ、文章書くだけなのに、なんでマジになれんの」


 楽しいからだよ。


──「なにこの文、意味わかんねー」


 そっか、もうちょっと伝わるように。


──「結局、何を伝えたいの?(笑)。分からなかったら、読む価値もないわ(笑)」


 そうなのか......な......。

 これも僕が続けた、レールの先?


──「またなんか書いてる〜(笑)」

──「マジこいつ(笑)」


 (うるさ)い。


──「なにこれ(笑)。イッタ(笑)」

──「なぁ、書くの辞めたら?」


 煩い、煩い。


──「これ書いてて楽しいのね。母さんには分からないわ」


 ああ。

 誰も見ようとしない、見てくれない。


 ぼくは、みようと想えるのに。

 ……それも、僕のエゴか。


 結局、自分が一番可愛いのか。


 文藝、楽しいっけ。

 楽しかったっけ。


 知らない。

 もういいや。


 疲れた。


 沈む。

 広大な海、僕は深く深く沈んでいくよう。


 陽の光は届かない。

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