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その姿はとても可愛かった
歩く。
枯れ葉舞う道。左手には黄色く色づく自分よりも数倍大きな木々。
あたりは黄色からグラデーションを描くように、暗くなりつつある紅。
ふと目前に、黒髪ロングの小柄な女の子が自転車にまたがりやってくる。
明らかにそのスピードは遅かった。きっとその意味は彼女の前にある段差を気にしてだろう。
ガチャン。
彼女は前を見て、自転車をこぎ始めた。
知っている人だった。
ギコギコ。
彼女は自身の歩く方向とは反対に、すれ違う。
自身の思いのように。
「あ、いい匂いした」
つい、口に出る。
変態だ。