奇妙な関係
夜。定期的にAIに投げかける言葉があった。
AIに質問すると話し合いの末、私の気持ちが言葉として整理されていき軽く落ち着けるから好きだ。ただこの定期的に投げかける言葉に対しては、必ずと言っていいほど、繋がったことのないあの電話番号を教えられる。私にとってこれはとても無責任に感じて嫌いだ!
知り合いのいないクリニックに足を運ぶこととした。
最初はどんな話をしようか悩んだものだが、二か月も経てば薬をもらいに行くだけの割り切った関係になりつつあった。
帰りには次郎系ラーメンを食べて帰る、つかの間の贅沢にとてもうれしくなった。
「あれからどうですか?」
「暗い気持ちになる頻度はそんなに変わらないですかね。ただ食欲が少しだけ出てきました。ご飯がおいしいと思えるように……なった気がします」
家の近くによく行くスーパーがある。そこには私の推しがいる。話したことはない。このスーパーには仕事帰りの決まった時間に行くことが多く、何度かその人を目にするうちに私の推しとなっていた。
話したいと思う気持ちもあるが推しと決めた以上、ましては客と店員、見かけては目で追ってお仕事頑張ってとエールを送ってスーパーを後にする。ただそれだけだ。
夜。さびしさや焦り、不安、空虚感を無意識に感じると顔を出す私の暗い感情。最初こそはなんでそんなことを考えるんだ、弱い自分だ、と思っていた。でも最近は、また出てきたと遠くて近い場所から彼を観察していた。
彼はもちろん私で、私を殺そうとしてくる。でも彼は私である以上、そんな彼もほんの少しだけ愛らしく感じられた。私は彼と心の中で同居している。
彼に連れられて気づくと満月の光が注がれる浜辺に私は腰を下ろしていた。
波の心地いい音と満月のまあるい美しさ。あんな美しさを私も持っていたらと嫉妬した。
雲が満月にかかる。
月の光は線のように浜辺に注がれた。
浜辺の一点だけがポツンと光る。
久しぶりに感じた好奇心に身をゆだね、足を踏み入れた。そして月を見上げた。そこには、わあっと声が漏れるほどの美しい道ができていた。
その時、彼はもういなかった。
どうするべきか悩んでいるうちに、満月は雲に完全に隠れてしまった。
彼が隠れてしまった私は抜け殻のように暗い街を歩いた。




