プロローグ:私が片思いしている彼には、二つのあだ名がある
私の名前は張嘉恵です。好きな人には、学校で二つのあだ名がつけられている。一つは「ゴミ」。もう一つは、木村拓哉の「木村」だ。
小学校5年生の頃からずっと、林一寿に片想いしている。彼は成績優秀で見た目もすごくいいのに、運動神経だけは決定的に欠けていて、中学生になってからの体育の時間は、いつも同級生にいじめられていた。
とくにバスケのチーム分けになると、両チームのキャプテンは一寿を入れたがらない。結局、どちらのチームが一寿を引き取るかは、いつもじゃんけんで決まる。
このやり方は「ゴミ拾い」と呼ばれた。一寿はいつもこの対象だったから、いつの間にかみんなは彼のことをそのまま「ゴミ」と呼ぶようになった。
でも、これはあくまで男子たちの間でのあだ名だと強調しておきたい。
私たち女子は別のあだ名をつけていた。「木村」、木村拓哉の「木村」だ。
最初は単純に、「林」という字と「寿」の最後の「寸」を合わせると「木村」になるからだと思っていた。でも、本当の理由はただ彼がイケメンだからだ。眼鏡をかけると、『あすなろ白書』の木村拓哉に似ている。
私がずっと少しだけ自分勝手だったのは認める。一寿に運動のセンスがなくてよかった、と心のどこかで思っていた。ところが、他の女子たちは彼の運動音痴なんてまったく気にしていなかった。ただそのイケメン顔だけで、ゆうに二十人を超える女子を虜にしていた。
そして、これ以上黙って彼に対してのいじめを放っておくわけにはいかない。私は、なんとかして彼のバスケの実力を上げて、「ゴミ」という汚名を返上させることを決意した。
そのための秘策は――
彼に、コーナースリーを教えることだ。
だから、何よりもまず、この私自身がコーナースリーの打ち方を習得することだ。




