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追放された“無能支援役”、実はパーティ全体を最適化する最強の頭脳でした 〜気づかれなかった俺が抜けた途端、全部崩壊する〜  作者: 鷹宮ロイド


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第8話 規定外の連携

 扉は、遠慮なく開いた。


 木が軋む音と同時に、空気が変わる。


「――ここだな」


 先頭に立っていたのは、さっきとは別の男だった。

 同じ紋章。管理局。


 ただし、数が違う。


 五人。


 全員が装備を整えている。

 書類仕事の連中じゃない。現場対応班。


「未登録支援者の関与を確認した」


 淡々とした声。


 視線が、まっすぐ僕に来る。


「レイン。あなたに警告する。これ以上の関与は規定違反となる」


「もうしてるけど」


 短く返す。


 後ろでザックが「おい」と小さく呟いた。


 男は表情を変えない。


「是正の機会を与える。今すぐ離脱しろ」


「断る」


 即答。


 空気が張り詰める。


「……理由を聞こう」


「今やらないと、間に合わない」


「何にだ」


「深層」


 一瞬だけ、男の眉が動いた。


 知っている反応だ。


「……許可されていない」


「知ってる」


「ならば尚更だ」


「だからやる」


 平行線。


 男はわずかに息を吐いた。


「では、排除する」


 短い宣言。


 次の瞬間、後ろの一人が踏み込んだ。


「来るぞ!」


 ジンが叫ぶ。


 速い。


 迷いがない。


 捕縛用の動きだが、甘くない。


「ガルド、前」


「分かってる!」


 大剣が前に出る。


 衝突。


 鈍い音が響く。


 押し切られはしない。

 でも、完全に止めきれてもいない。


「イーリス、準備」

「もうしてる!」


 詠唱が走る。


 でも、相手は分かっている。


 もう一人が横から回る。


「ザック、まだ」


「チッ――!」


 動きかけて、止まる。


 その一拍。


 相手の足が止まる。


 読めている。


 でも、止めている。


 いい。


「今」


 ザックが滑り込む。


 短剣が一人の腕を弾く。


 捕縛の動きが崩れる。


「ルナ」


「遅い!」


 言いながら、すでに入っている。


 低く、鋭く。


 足元を払う。


 一人がバランスを崩す。


「……!」


 管理局の男がわずかに目を見開く。


 予想より、連携が早い。


 当然だ。


 さっきまでとは違う。


 ぶつからない。


 流れる。


「……悪くない」


 思わず、口に出る。


「余裕かよ!」


 ザックが怒鳴る。


「余裕じゃない。今のままだと押される」


「は?」


 その通りだ。


 数が多い。


 訓練されている。


 連携も悪くない。


 ただ――


「噛み合ってない」


「どこがだ!」


「見て」


 短く言う。


 ガルドが前を抑える。

 イーリスが詠唱。

 ザックとルナが動く。


 対して、管理局側。


 一人が抑え、一人が回り、一人が補助。


 形は同じ。


 でも。


「主導が固定されてる」


「……」


「一人が全部決めてる」


 だから、崩れると遅い。


「ガルド、一歩引いて」


「は?」


「いいから」


 ほんの一歩。


 それだけで、前線の圧が変わる。


 管理局側の動きが、わずかにズレる。


「今、イーリス」


「……分かった!」


 詠唱が通る。


 閃光。


 一瞬の目眩まし。


「ザック、次」


「おう!」


 今度は止まらない。


 流れができている。


 ルナが続く。


 完全に連続した動き。


 ――一人、崩れた。


「……っ」


 管理局の男が初めて声を漏らす。


 想定外。


 その一瞬。


「ガルド、押す」


「行く!」


 大剣が踏み込む。


 今度は止まらない。


 押し切る。


 一人、後退。


 連携が途切れる。


 止まる。


 静寂。


 誰もすぐには動かない。


「……」


 管理局の男がこちらを見る。


 さっきとは違う目。


 完全に認識した目。


「……なるほど」


 小さく呟く。


「測定外、か」


 その言葉で、空気がまた変わる。


「おい、それって」


 ザックが顔をしかめる。


「やっぱりお前、ヤバいんじゃねえか?」


「そうかもね」


 軽く答える。


 男が一歩前に出る。


「確認する」


 低い声。


「その連携、誰が制御している」


「僕」


「……」


 一瞬の沈黙。


 そして。


「……記録対象を変更する」


 空気が、冷えた。


「変更?」


 リゼが小さく問う。


「未登録支援者レイン」


 男の視線が固定される。


「危険度評価、引き上げ」


「は?」


 ジンが声を上げる。


「おい、どういう意味だそれ」


「排除対象の再分類だ」


 淡々と。


 まるで、ただの手続きのように。


「……なるほど」


 ガルドが低く言う。


「俺たちじゃなくて、こいつか」


「正確には」


 男が訂正する。


「こいつを含む構造」


 その言葉で。


 はっきりした。


 これは、ただの違反じゃない。


 “危険”と判断された。


「……」


 リゼが一歩だけ前に出る。


 でも止まる。


 言葉が出ない。


 ルナが舌打ちした。

「面倒なことになったわね」


「最初からだよ」


 僕は肩をすくめる。


 男が告げる。


「次は正式な措置を取る」


「今日じゃないの?」


「今日は確認だ」


 つまり。


 次は本気。


 そういうことだ。


「……分かった」


 ガルドが言う。


「なら、その前に終わらせる」


「終わらせる?」


「深層だ」


 短く。


「行く」


 全員が、息を呑む。


 決断が早い。


 でも。


 それが正しい。


「……いいね」


 僕は小さく笑った。


「じゃあ急ごう」


 管理局の男は何も言わない。


 ただ、こちらを見ている。


 完全に、敵として。


 流れが変わった。


 もう戻らない。

ここで「敵」がはっきりしました。


単なるざまぁではなく、

ルールそのものとぶつかる話になってきています。


ここから一気に加速していきます。


もし続きが気になったら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。

次は、いよいよ深層への動きです。

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