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追放された“無能支援役”、実はパーティ全体を最適化する最強の頭脳でした 〜気づかれなかった俺が抜けた途端、全部崩壊する〜  作者: 鷹宮ロイド


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第16話 非常招集の意味

 鐘の音は、止まらなかった。


 低く、重く、何度も響く。


「……これ、普通じゃないわね」


 ルナが空を見上げる。


 迷宮の中なのに、音ははっきり届いている。


「非常招集だ」


 イーリスが短く言う。


「管理局の」


「それって、どのくらいヤバいんだよ」


 ザックが眉をひそめる。


「……全員動くレベル」


 静かな答え。


 軽くはない。


「……なるほどな」


 ジンが笑う。


「原因は俺たちってわけか」


「正確には」


 僕は軽く言う。


「僕たちの“構造”」


「……言い方ムカつくな」


 ザックが舌打ちする。


 でも否定はしない。


 できない。


 全員が理解している。


「……レイン」


 リゼが静かに言う。


「どうしますか」


 いい問いだ。


 選択肢はある。


 逃げる。

 隠れる。

 戦う。


 でも。


「一回、戻る」


「戻る?」


 ガルドが眉をひそめる。


「なんでだ」


「情報が足りない」


 短く答える。


「今のままだと、どこまで来るか分からない」


「……」


 確かに。


 管理局がどの規模で動くのか。


 どこまで追ってくるのか。


 それが見えない。


「……いい判断だな」


 ガルドが頷く。


「無駄に消耗する必要はない」


「珍しい」


 ルナが笑う。


「慎重じゃん」


「今回はな」


 短い返答。


 でも、納得している。


「じゃあ帰るか」


 ジンが軽く言う。


「その前に」


 僕は足を止める。


「……なに」


 イーリスが振り返る。


「一つだけ確認」


 振り返る。


 さっきの戦場。


 主の死体。


 その奥。


「……来てる」


 小さく呟く。


「は?」


 ザックが眉をひそめる。


 その瞬間。


 奥の通路から、気配。


 人。


 複数。


「……おい」


 ジンが低く言う。


「もう来たぞ」


 早い。


 予想より。


「……撤退だ」


 ガルドが即座に判断する。


「ここでやる意味はない」


「うん」


 頷く。


 今は違う。


「走るぞ」


 全員が動く。


---


 迷宮の出口。


 人の流れが逆になっていた。


 入る者より、出る者が多い。


「……異常ね」


 リゼが呟く。


「ええ」


 イーリスも頷く。


「情報が回ってる」


「早すぎねえか」


 ザックが言う。


「普通、こんなに早く広がらねえだろ」


「広げてるんだよ」


 僕は短く言う。


「管理局が」


「……」


 全員が黙る。


 意図的。


 つまり。


「……見せしめか」


 ガルドが低く言う。


「そう」


 その可能性が高い。


「やりすぎだろ」


 ザックが吐き捨てる。


「そこまでやるか普通」


「普通じゃないからやる」


 簡単な話。


 管理するためなら、見せる。


「……」


 ルナが少しだけ真顔になる。


「思ったより面倒ね」


「最初からだよ」


 軽く返す。


---


 街に戻ると、空気が違っていた。


 ざわつき。


 視線。


 いつもより多い。


「……おい」


 ジンが小さく言う。


「見られてねえか」


「見られてるね」


 隠してない。


 むしろ。


「……完全にバレてる」


 ザックが顔をしかめる。


「どうすんだよこれ」


「どうもしない」


「は?」


「事実だから」


 変えようがない。


「……」


 リゼが小さく息を吐く。


「覚悟、決めるしかないですね」


「そうなるね」


 頷く。


 その時だった。


「――そこまでだ」


 声。


 振り返る。


 そこにいたのは。


「……」


 見覚えのある顔。


 さっきの男とは違う。


 もっと若い。


 でも。


 目が違う。


「……管理局」


 イーリスが呟く。


 男は一歩前に出る。


「未登録支援者、レイン」


「うん」


「同行を求める」


「断る」


 即答。


 男の眉がわずかに動く。


「……理由を」


「必要ない」


「……」


 沈黙。


 でも、引かない。


 いい目だ。


「……なるほど」


 男が小さく息を吐く。


「聞いていた通りだ」


「何を」


「“従わない”」


 その言葉で。


 少しだけ、分かる。


 この男。


 ただの敵じゃない。


「……名前は?」


 僕は聞く。


 男は一瞬だけ迷って。


「……ユリウス」


 短く答えた。


「管理局所属」


「レイン」


「知っている」


 即答。


 その目は。


 敵でも、味方でもない。


 観察者。


「……」


 面白い。


「……話がある」


 ユリウスが言う。


「一度、来てもらう」


「断る」


 即答。


「……」


 また沈黙。


 でも、今度は違う。


 少しだけ。


 興味が混じっている。


「……なら」


 ユリウスが一歩下がる。


「次は強制になる」


「分かってる」


「……」


 視線が交差する。


 ほんの数秒。


 でも。


 はっきりした。


 この男は。


 “理解しようとしている”。


「……また来る」


 短く言って、ユリウスは去った。


 止めない。


 今は。


「……なんだあいつ」


 ザックが呟く。


「さっきのと違うぞ」


「違うね」


 僕も頷く。


「どう違う」


「見てる」


「は?」


「排除じゃなくて」


 短く言う。


「観測」


 その一言で。


 全員の顔が変わる。


 流れが変わった。


 ただの敵じゃない。


 理解しようとする存在。


 それが一番、厄介だ。

第2章、ここから本格的に動き始めました。


「排除する敵」から「理解しようとする敵」へ。

対立の質が一段変わっています。


ここから一気に広がっていきます。


もし続きが気になったら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。

次は、内部のズレが表に出ます。

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