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追放された“無能支援役”、実はパーティ全体を最適化する最強の頭脳でした 〜気づかれなかった俺が抜けた途端、全部崩壊する〜  作者: 鷹宮ロイド


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第14話 足りなかったもの

 「……次で終わらせる」


 その言葉を、全員が飲み込んだ。


 主がこちらを見る。


 完全に、標的を変えている。


 管理局はもう関係ない。


 こっちだけを見ている。


「……来る」


 ジンの声が低くなる。


 重い足音。


 さっきより速い。


 怒りか、適応か。


 どっちでもいい。


「ガルド、正面」


「分かってる!」


 踏み込む。


 ぶつかる。


 衝撃。


「……っ!」


 押される。


 さっきより強い。


「ジン!」


「支える!」


 横から入る。


 でも。


 重い。


 耐えるので精一杯。


「……ザック!」


「今かよ!」


「今じゃない」


「は?」


 止める。


 焦るな。


 まだ違う。


「イーリス、撃つな」


「……分かった」


 詠唱を止める。


 ルナが舌打ちする。

「で、どうすんのよ」


「……」


 少しだけ、考える。


 今までのやり方は通用していた。


 でも、今は違う。


 何かが足りない。


「……」


 主の動き。


 重い。

 速くなっている。


 でも。


「……変わってない」


 小さく呟く。


「何がだ」


 ガルドが食いしばりながら言う。


「動きの“型”」


「……」


 同じだ。


 ずっと。


 踏み込み、振り下ろし、振り上げ。


 繰り返し。


「……なるほど」


 ジンが笑う。


「読めるってことか」


「そう」


 だから。


「崩す」


「どうやって」


「一回、完全に止める」


「は?」


 ザックが声を上げる。


「止まるわけねえだろあれが!」


「止める」


 短く言い切る。


「全員で」


 沈黙。


 理解に一瞬かかる。


「……無理だろ」


 ザックが言う。


「今までやってない」


「今までやってないからやる」


 簡単な話。


「ガルド」


「なんだ」


「一歩前」


「これ以上かよ!」


「いいから」


 踏み込む。


 さらに前。


 距離が詰まる。


 危険。


 でも。


「ジン、横」


「任せろ!」


 支える。


「ルナ、ザック、同時」


「はあ!?」

「マジで!?」


「今」


 二人が動く。


 左右から。


 主の足元。


 同時に削る。


「イーリス、集中」


「いく!」


 火が一点に集まる。


 主の膝。


 同じ場所。


「……っ!」


 初めて。


 主の動きが止まる。


「……止まった!」


 ザックが叫ぶ。


「まだ」


 短く言う。


「押す」


「……行くぞ!」


 ガルドが踏み込む。


 全力。


 押す。


 ジンが支える。


 ルナとザックがさらに削る。


 イーリスが焼く。


「……!」


 主が、崩れた。


 完全に。


 体勢が崩れる。


 重心が落ちる。


「今だ」


 小さく呟く。


 全員が動く。


 同時。


 完全に。


 流れが揃う。


 ――叩き込む。


 衝撃。


 音が消える。


 そして。


 主が、倒れた。


---


 静寂。


「……」


 誰も動かない。


 息だけが荒い。


「……終わったか」


 ガルドが呟く。


「終わった」


 僕も答える。


 確認する。


 動かない。


 完全に沈黙。


「……はは」


 ジンが笑う。


「やったな」


「やったわね」


 ルナも笑う。


「……マジで倒したぞ」


 ザックが呆れたように言う。


 イーリスが壁に寄りかかる。

「……無茶した」


「でも通った」


「ええ」


 リゼが静かに頷く。


 全員が、同じものを感じている。


 達成感。


 そして。


「……レイン」


 ガルドがこちらを見る。


「何が足りなかった」


 その問いは、真っ直ぐだった。


「……同時」


「同時?」


「今までは順番だった」


「……」


「でも、あれは順番じゃ間に合わない」


「……なるほどな」


 ガルドが小さく笑う。


「だから、全員で止めた」


「そう」


「……」


 ザックが息を吐く。


「それ、最初からやれたか?」


「無理」


「なんでだよ」


「信じてなかったから」


 沈黙。


 誰も否定しない。


「……」


 ルナが小さく笑う。


「確かにね」


 ジンも頷く。

「今ならできるな」


 関係が変わった。


 完全に。


 ただの連携じゃない。


 “信頼”が入った。


「……」


 リゼが静かに言う。


「これが、あなたのやり方なんですね」


「一部だけ」


「全部は?」


「もっと面倒」


 軽く返す。


 その時だった。


 後ろで音。


「……」


 管理局の男。


 まだ立っている。


 こちらを見ている。


 そして。


 ゆっくりと口を開いた。


「……確認した」


 低い声。


「規定外の戦闘構造」


「……」


「危険度、最高位」


 空気が変わる。


「……は?」


 ザックが呟く。


「最高位?」


「個人ではない」


 男は続ける。


「構造そのものが、規定外」


 その一言で。


 完全に決まった。


「……なるほど」


 ガルドが呟く。


「完全にアウトだな」


「そうだね」


 僕も頷く。


 男が言う。


「次は排除する」


「……」


 誰も笑わない。


 でも。


 誰も引かない。


 全員が前を見ている。


「……」


 僕は小さく息を吐く。


 そして。


「じゃあ」


 軽く言う。


「もっと上げるしかないね」


 その一言で。


 全員の顔が変わる。


 戦いは終わった。


 でも。


 本当の問題は、ここからだ。

まずは一つ、乗り越えました。


ただ勝つだけじゃなく、

「どう勝つか」が変わった瞬間です。


でも、ここからはもっと大きな問題になります。


もし面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。


次は、この勝利の“代償”です。

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