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追放された“無能支援役”、実はパーティ全体を最適化する最強の頭脳でした 〜気づかれなかった俺が抜けた途端、全部崩壊する〜  作者: 鷹宮ロイド


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第12話 主導権の奪い方

 「……もっと、使う」


 その言葉の直後、空気が変わった。


 重い。


 さっきまでとは比べ物にならない圧。


「……来るぞ」


 ジンの声が低く沈む。


 奥から現れた“それ”は、これまでの個体とは明らかに違っていた。


 大きい。


 硬い。


 そして――遅い。


 だが、その一歩ごとに地面が沈む。


「……深層の主級」


 イーリスが呟く。


 声がわずかに震えている。


「正面からやる?」


 ルナが笑う。

 いつも通りの口調だが、目は笑っていない。


「やらない」


 即答。


 全員が一瞬だけこちらを見る。


「じゃあどうすんだ」


 ガルドの声は落ち着いている。


 いい状態だ。


「主導権、奪う」


「……具体的に」


 短い要求。


「まず、あれは遅い」


 主の動きを見る。


 一歩が重い。

 攻撃の予備動作も大きい。


「だから、先に動かす」


「は?」


「動かす?」


 ザックが眉をひそめる。


「誘導する」


 リゼが小さく息を呑む。


 理解が早い。


「そう」


 頷く。


「こっちのタイミングで動かす」


「……できるのか」


 ガルドが問う。


「できる」


 短く言い切る。


 根拠はある。


 見えているから。


「イーリス」


「……うん」


「先手。強め」


「分かった」


 詠唱に入る。


 主がまだ距離を詰めていない段階で。


「ガルド、真正面に立つ」


「来いってことか」


「そう」


 ジンが笑う。

「また面白ぇ役だな」


「役割だから」


 ルナが舌打ちする。

「ほんと、こいつ性格悪いわね」


「効率いいでしょ」


「否定できないのがムカつく」


 いい流れだ。


「ザック、右」


「おう」


「ルナ、左」


「了解」


「リゼ、全体見て」


「任せてください」


 形はできた。


 あとは――


「来るぞ!」


 主が動く。


 踏み込み。


 遅い。


 でも重い。


「今」


 イーリスの火が走る。


 直撃。


 だが止まらない。


 予想通り。


「ガルド」


「来い!」


 受ける。


 正面から。


 衝突。


 鈍い音。


「……っ!」


 ガルドの足が沈む。


 でも、崩れない。


「いい」


 短く呟く。


「ザック、まだ」


「分かってる」


 待つ。


 珍しく、完全に止まっている。


「ルナも」


「はいはい」


 軽口。


 でも動かない。


 主が腕を振るう。


 大きい。


 遅い。


 だから――


「今」


 ザックが入る。


 死角。


 完全に通る。


 ルナが続く。


 連続。


 削る。


「……効いてる」


 ジンが低く言う。


 見えている。


 削れている。


「イーリス、次」


「もう一発!」


 火が重なる。


 主の動きが鈍る。


 流れができている。


 主導権はこっちだ。


「ガルド、一歩下がる」


「は?」


「いいから」


 一歩。


 それだけで、主の踏み込みが空振る。


 バランスが崩れる。


「……っ」


 その一瞬。


「今、全員」


 動く。


 ガルドが押す。


 ザックが切る。


 ルナが繋ぐ。


 イーリスが焼く。


 ジンが補助。


 リゼが全体を見る。


 流れる。


 完全に。


「……」


 主が、初めて大きくよろめいた。


「……おい」


 ザックが息を吐く。


「押してるぞ」


「押してる」


 僕も頷く。


 成立している。


 深層でも。


「……」


 ガルドが笑う。


 少しだけ。


「……なるほどな」


「何が」


「戦い方ってのは、こういうことか」


 やっと来た。


 理解。


「……」


 リゼがこちらを見る。


 安心と、少しの驚き。


 そして。


 少しだけ、怖がっている。


 いい反応だ。


「まだ終わってない」


 短く言う。


「削りきる」


 その時だった。


 主の動きが変わった。


「……おい」


 ジンが声を上げる。


「なんか来るぞ」


 主の体が膨らむ。


 内部で何かが動いている。


「……範囲攻撃」


 イーリスが即座に判断する。


「来る!」


「散開」


 即座に指示。


 全員が散る。


 次の瞬間。


 爆発。


 衝撃波が通路を叩く。


「……っ!」


 壁に叩きつけられる。


 でも。


 崩れていない。


 全員、位置は保っている。


「……いいね」


 小さく呟く。


 崩れてない。


 これなら。


「まだいける」


 そう思った瞬間。


 背後から、別の気配。


 全員が振り返る。


「……」


 管理局。


 さっきの連中じゃない。


 さらに増えている。


「……マジかよ」


 ザックが呟く。


「追ってきやがった」


 前には主。


 後ろには管理局。


 完全に挟まれた。


「……」


 ガルドが低く言う。


「レイン」


「なに」


「これも、使うのか」


 少しだけ考える。


 そして。


「使う」


 短く答える。


「今度はもっと大きく」


 その一言で。


 全員の顔が変わる。


 戦いは、さらに広がる。

「勝てるかどうか」から「どう勝つか」に変わってきました。


ここからは、ただの戦闘ではなく

“状況そのものを組み替える戦い”になります。


もし続きが気になったら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。


次は、さらに一段スケールが上がります。

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