表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された“無能支援役”、実はパーティ全体を最適化する最強の頭脳でした 〜気づかれなかった俺が抜けた途端、全部崩壊する〜  作者: 鷹宮ロイド


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/20

第11話 利用する側とされる側

 「敵同士だから」


 その一言で、空気が止まった。


「……は?」


 ザックが間の抜けた声を出す。


「前が魔物、後ろが管理局だぞ?」

「うん」

「で、どうやって“使う”んだよ」


「簡単」


 僕は前方の影を見る。


 深層個体。

 数は三……いや、四に増えた。


 そして後ろ。


 管理局の連中は、こちらを完全に包囲する形で動いている。


「どっちも、こっちを敵だと思ってる」


「そりゃそうだろ」


「だから、ぶつける」


 沈黙。


 理解が追いつくまで、ほんの数秒。


「……マジで言ってる?」


 ルナが笑う。


「マジだよ」


「いやいや、そんな都合よく――」


「都合よくじゃない」


 短く遮る。


「位置を作る」


「……」


 リゼが小さく息を呑む。


 分かっている顔だ。


「……誘導、ですか」


「そう」


 いい理解だ。


「ガルド」


「なんだ」


「一歩、前」


「今か」


「今」


 ガルドが踏み出す。


 深層個体が反応する。


 動く。


 こちらに向かってくる。


「ザック、少し右」


「おい、待て――」


「いいから」


 渋々動く。


 その一歩で、通路の角度が変わる。


「イーリス、まだ撃たない」


「……了解」


 詠唱を止める。


 珍しい判断だ。


「ルナ、ジン、後ろ見て」


「は?」


「管理局の動き」


 二人が振り返る。


「……来てるな」


 ジンが低く言う。


 距離を詰めてきている。


 逃がす気はない。


「ちょうどいい」


 僕は軽く息を吐く。


「ここでぶつかる」


「いやいやいや」


 ザックが声を上げる。


「俺らも巻き込まれるだろ!」


「巻き込まれるよ」


「ダメじゃねえか!」


「でも、主導権は取れる」


 その一言で、空気が変わる。


「……」


 ガルドが理解した顔をする。


「なるほどな」


「分かった?」


「少しな」


 前を見る。


 深層個体が近い。


 後ろ。


 管理局も来る。


「……レイン」


「なに」


「タイミング、任せる」


「任された」


 いい流れ。


「全員、少しずつ下がる」


「おい、前だぞ!」


「いいから」


 じりじりと後退。


 深層個体が追う。


 管理局も詰める。


 距離が、縮まる。


「……今だ」


 小さく呟く。


「散開」


「――!」


 全員が横に飛ぶ。


 その瞬間。


 深層個体と管理局が、正面でぶつかった。


 衝突音。


 重い。


「なっ――!」


 管理局の一人が声を上げる。


 想定外。


 当然だ。


 挟まれていると思っていた相手が、いきなり消えた。


 そして目の前には、別の敵。


「対処しろ!」


 指示が飛ぶ。


 でも遅い。


 深層個体は止まらない。


 そのまま、管理局に襲いかかる。


「……っ!」


 ガルドが息を吐く。


「成功だな」


「まだ」


 僕は短く言う。


「終わってない」


 当然だ。


 これは始まり。


「ザック、ルナ」


「なんだ」


「なんだよ」


「横から削る」


「は?」


「両方」


「はあ!?」


「どっちも敵だから」


 簡単な話だ。


「ジン、ガルドは前に出ない」


「行かねえのか?」


「今は見てる」


 流れを見る。


 それが一番重要。


「イーリス、遠距離」


「了解」


 火が走る。


 深層個体と管理局、両方に当たる。


「おい、味方撃ってんぞ!」


 管理局が怒鳴る。


「味方じゃないよ」


 僕は小さく呟く。


 ルナが笑う。

「ほんと、容赦ないわね」


「効率重視」


「それ言うとイーリスみたい」


「やめて」


 イーリスが即座に否定する。


 でも、動きは止まらない。


「……いいな、これ」


 ジンが笑う。


「勝手に削れてく」


「だから使う」


 戦う必要はない。


 流れを作るだけでいい。


「……」


 ガルドが目を細める。


 深層個体と管理局。


 互いに消耗している。


「……なるほど」


 小さく呟く。


「戦わなくても勝てる、か」


「違う」


「違う?」


「戦わせる」


 主体は変わらない。


「……」


 ザックが息を吐く。


「ほんと、性格悪ぃな」


「効率いいでしょ」


「否定はしねえ」


 前方。


 深層個体が一体倒れる。


 管理局の一人も倒れる。


 均衡が崩れる。


「……そろそろだな」


 ガルドが言う。


「うん」


 僕も頷く。


「仕上げる」


「全員、準備」


 空気が変わる。


 ここからは、自分たちでやる。


「イーリス、先手」


「任せて」


 火が走る。


 残った敵に集中。


「ガルド、今」


「行く!」


 踏み込む。


 今度は押す。


 削れている。


 通る。


「ザック、ルナ」


「おう!」


「遅い!」


 笑いながら入る。


 連続。


 崩れる。


 止まる。


 静寂。


 終わった。


---


「……」


 誰もすぐに動かなかった。


「……勝ったな」


 ジンが呟く。


「勝った」


 ガルドも言う。


 でも。


「……楽すぎる」


 ザックが言う。


「それが正解」


 僕は答える。


「無理しない方が強い」


「……」


 リゼが静かにこちらを見る。


「あなた、本当に……」


 言葉が続かない。


 その時。


 後ろで音がした。


 管理局の男。


 まだ立っている。


「……」


 ゆっくりとこちらを見る。


 その目は、完全に変わっていた。


 敵を見る目。


「……確認した」


 低い声。


「危険度、再評価」


「まだ上がるの?」


 ルナが呆れる。


「個人ではない」


 男は言う。


「構造として危険だ」


 その一言で。


 完全に決まった。


「……なるほど」


 ガルドが呟く。


「完全に敵だな」


「そうなるね」


 僕も頷く。


 男はそれ以上何も言わず、後退する。


 撤退だ。


「……逃がしていいのか」


 ザックが言う。


「いいよ」


「なんでだ」


「来るから」


「は?」


「次はもっと大きい」


 短く答える。


 その時。


 奥から、さらに重い音。


 今までよりも、明らかに違う。


「……おい」


 ジンが低く言う。


「これ、さっきのよりデカくねえか」


 影が現れる。


 圧が違う。


 空気が変わる。


「……深層の主」


 イーリスが呟く。


 誰も笑わない。


 余裕もない。


 でも。


 全員が、同じ方向を見ていた。


 逃げない目だ。


「……レイン」


 ガルドが言う。


「どうする」


 また同じ問い。


 でも。


 今度は違う。


 全員が、最初から委ねている。


 少しだけ考える。


 そして。


「……もっと、使う」


 その一言で。


 戦いが、次の段階に進む。

ここで「戦い方」が一段変わりました。


正面から戦うだけじゃなく、

“状況そのものを使う”段階に入っています。


ここからさらにスケールが上がります。


もし面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。

次は、深層の主との本格戦です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ