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12/39

12 初手、結論

 やっと順番が来るまでしばらく待った。


 すごい門だ。

 高い高い壁をくり抜くようにある門の高さは俺の身長の倍以上。幅は、馬車がすれちがっても余裕があるくらい。


 アリンさんから聞いてたとおり、警備の兵が数人いて、入ろうという人に、通行証を持っているかどうか、持っていなければ書類を、あるいはお帰りを、などと手続きをしていた。


「アリンさん!」

 警備兵のひとりがやってくる。


「どうして列に。お先にどうぞ!」

「これが、王都遠征兵の証明だ」

 アリンさんは首につけていた鎖の先の、小さな金属版を見せた。


「そんなものなくてもわかりますよ!」

「顔でわかると思ってもきちんと証明させろ。顔が似ている人間を通すようではだめだ」

「はい!」

 警備兵がこっちを見る。


「彼は……?」

「危険を救ってもらった。特殊なスキルを持っている可能性があるから、調べたい。もう首には、スキル封印の首輪をつけているから、町中でおかしなことにはならないだろう」

「ちょっと失礼」


 警備兵は俺の首輪を調べた。

「……はい、きちんと施錠されています!」

「通っていいか?」

「どうぞ!」

 警備兵は、大げさな動きで中に入るようにうながした。



 入る前から見えていたのは、たくさんの建物だ。

「すごいにぎわってますね」

 ひええ、となるくらい、人がたくさんいるし、商店もたくさんならんでいた。

 

「こっちだ」

 アリンさんは、壁にそった横道から俺を呼んでいた。


「路地はちょっと……」

「わけのわからないことを言ってるんじゃない」


 人の声が離れていく。

 高い壁を見ながら、人が全然歩いていない、さびしい道を進む。

 近くに見える建物といえば、家というより、物置とか、倉庫みたいなみたいなものばかりだった。


「どこに行くんですか」

「兵舎だ」

「へいしゃ? なんですか?」

「兵隊の、住んでいるところだ」


 アリンさんの言う通り、何度か道をまがったりしながら進んでいくと、立派な門をかまえた三階建ての、石造りの建物があった。

 門番も二人いる。大男が槍を持っていて立っていた。


「アリン、いまもどった」

「おつかれさまです。お荷物は?」

「捨てた。あやうく、村でいけにえになるところだった」

「それはそれは」

「彼のスキルを見たい。場合によっては、しばらくここに閉じ……、滞在してもらうことになる」

 いま、閉じこめる、って言おうとしなかった?


「アナは?」

「いらっしゃいます」

「すぐ見てもらいたい」

「かまわないと思いますよ」

「わかった」


 なにかをわかっているアリンさんに連れられ、なにもわかっていない俺は門の中に入っていった。

 庭園のような飾りつけはまったくなく、建物の灰色と、土の茶色という、ただただ色のすくない玄関前だった。


「なにがあるんですか?」

「中でお前のスキルを調べてもらう」

「そんなにすぐわかるものなんですか?」

「ああ」


 扉を開け建物に入ると、すぐ広間になっていた。


 そして

「……うおっ」


 広間も石造りというか、灰色の壁と床で、簡素の極みだ。

 だからど真ん中にあるものがめちゃくちゃ目立つ。


 中央に、ガラスでつくられた小部屋のようなものがあって、中には女の子が座っていた。

 十歳くらいだろうか。

 赤と黄色の、色鮮やかな椅子に座って、机で本を開いていた。俺たちを見て本を閉じる。

 白い肌と黒い髪。

 つくられたもののようにきれいな女の子だった。


 にっこり笑う。

「おかえりなさい、アリン」


「ただいま」

 アリンさんがにこっ、と笑ったのでつい、ぎょっとしてしまった。

「げっ」

 いや、声に出てしまった。

 アリンさんが変な顔で俺を見る。


「彼女はアナ。他人のスキルを見ることができるスキル、の持ち主だ」

「アリンにしてはめずらしいのね。今日は、スキルを持ってない人じゃない」

「え?」

 アリンさんが言う。

「え?」

 俺も言う。


 結論、出た。

 俺、スキル、なし!

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― 新着の感想 ―
[良い点] チートの原因が呪いのアイテムというのは新しい?のかな。読みやすく一気に読みました。 [一言] 不幸なケロペロス君はちょっと可愛いのでちょこちょこ出て欲しいな。
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