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プロローグ

 『転生魔王のワールド・リバースド ~ハーレム魔王が地獄に墜ちてハーレム魔王になる話~』  https://ncode.syosetu.com/n8351ej/ とのクロスオーバー番外編をワールド・リバースドのページ内で連載します。


 時系列的にはワールド・リバースドの本編終了後、ワールド・オーバーライド・オンラインのⅠ章終了後の話になります。


 ワールド・リバースド 『強欲の魔王マモン』編 であり、ワールド・オーバーライド・オンライン 『業田静香』編 でもあります。


 しばらく本編をこちらの番外編と交互に更新したいと思います。お楽しみいただければ幸いです。

「いやあ、恐れ入ったよ。まさか本当に君の目が確かだったとは……」


 ワールド・オーバーライド・オンラインの世界内に設営されているGMルーム。壁を埋め尽くさんばかりに設置されたモニターの一つを眺めながら、ヤスさんは感心の声を漏らす。モニターの中では雅雄とツボミが一つになった姿──『薔薇の剣士 Lv.40 デューク』が美しい二本の剣を振るい、敵を打ち倒していた。


「他のプレイヤーと比べてはっきりと劣っている彼が、ここまで強力な精神の力を発揮するとはね」


 今は若干ツボミの方に引っ張られているものの、二人が壁を破れたのは間違いなく雅雄の意志の力だ。現実での能力を反映してLv.1からゲームをスタートし、レベルアップする見込みもない雅雄がこれほどの精神力を秘めているとは、ヤスさんは微塵も思っていなかった。


「最初はこんなのを参加させてどうするんだと思ったものだが……。彼ら二人ならもしかすると本当に魔王を倒せるかもしれないな! 私には全く予想できなかった。やはり一度プレイしているとわかるものなのだろうね。君の手柄だ、ノブ!」




「お褒めいただき光栄です、ヤスさん」


 ワールド・オーバーライド・オンラインの若きサブGM、又吉信龍──ノブはニコリと微笑む。ノブは前回のゲームの優勝者だ。ツボミの兄を抑えてただ一人魔王の元に辿り着き、ゲームをクリアして神の末席に名を連ねることとなった。


 今はやはり若輩の神であるヤスさんの元で働いている。今回、ワールド・オーバーライド・オンラインの参加者を選考したのはノブだった。ヤスさんが自ら選考していたなら、雅雄もメガミも参加者からははずされていただろう。


「ゲームもそろそろ中盤戦に差し掛かっています。プレイヤーたちがどんな成長を遂げるか、楽しみですね」


 ノブの当たり障りのないコメントにヤスさんは大きくうなずいた。


「そうだな……。今はメガミが一歩リードしているが、そのうち雅雄君たちに追いつかれる可能性もありそうだ」


 ヤスさんは能天気にのたまう。ヤスさんは自分の娘であるメガミには神になってほしいと思っていない。だから別のプレイヤー、いや、生贄が成長することを望んでいる。


「ゼロではないですね。かなり厳しいですが」


「いや、それを覆すだけの精神的な強さをあの二人は持っているよ」


 ニコニコしているヤスさんを見て、ノブは同じように笑って見せる。腹の中でヤスさんを嘲りながら。


(やはりこの人はわかっていない……。この二人で強くなったのは事故のようなものなのに。平間雅雄の本質はそんなところにはない……!)


 雅雄の精神が強い? そんなわけがない。本当に強ければ、初期ステータスがLv.1なんてありえない。


 過度の依存体質に、解離性同一性障害。さらにサイコパスの気質。精神科を受診すれば、雅雄は即入院である。雅雄は狂っているだけだ。そして狂っているからこそ、雅雄はワールド・オーバーライド・オンラインの世界で強くなる可能性があり、貴重なサンプルとなる可能性がある。


 ノブからすれば、ツボミなど邪魔なだけだった。ツボミがいると依存心が満たされて、雅雄の覚醒が遅れる。雅雄に本当に辿り着いてほしい境地に、届かなくなる。


(だが、遅れるだけだ。こんな関係はいずれ破綻する。そのときこそ、平間雅雄は覚醒の境地に至る……!)


 ノブは確信していた。ノブが何もしなくても、どうせ雅雄とツボミは別れることになる。弱者同士の傷の舐め合いがいつまでも続くわけがない。ツボミとの別れにより雅雄の精神は崩壊し、ノブの望んだ雅雄が産まれるだろう。


 成功すればラッキーという程度で雅雄をリスト入りさせたが、正直ここまでうまくいくとは思っていなかった。この調子なら新しい雅雄は誕生し、格好の実験台になってくれるだろう。


 とはいえ有象無象の気狂いに過度な期待は禁物だ。せいぜい風よけとして機能してくれればいい。表面ではヤスさんに合わせたさわやかな笑みを浮かべながら、ノブは内心でほくそ笑んだ。

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