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エピローグ

「この借りは高くつくわよ、雅雄……!」


 ログアウトして目を覚ました静香はつぶやく。怒りと屈辱感ではらわたは煮えくりかえっていた。明日にでもまた人を集めて二人を襲撃し、殺してやる。十人以上の物量作戦に、二人は抗しきれまい。


 静香は自宅のベッドから起き上がろうとするが、様子がおかしい。ベッドの感覚が全くない。静香は、何もない真っ暗な空間に浮遊していた。静香は狼狽する。


「な、何? どういうこと?」


「ここは魂だけの世界……。業田さん、あなたはやりすぎたんだよ。いくらなんでも放火はダメでしょ」


 静香の前に魔法少女の格好をしたメガミが浮いていた。静香は状況を把握する。ログアウトしたときに静香の魂とやらが現実に戻るところを捕まえられたのだ。「秘密」を持っていたメガミに。


「ハハッ、それがあんたの秘密ね! 前から怪しいと思ってたわ! それが神の力!? 善良な一般市民の私をどうしようっていうの!? あんたが出てくる前に、警察にでも突き出すのが筋なんじゃない!?」


 静香は吠えるが、メガミは冷ややかな視線で静香を見下ろすだけだ。


「警察に突き出しても罪に問えないでしょ。自分でやってないから」


「そうよ? 私は何も悪いことはしてないの。だから、あなたに咎められる理由なんてないわ」


 静香はあくまで、生徒会が気に入らないという生徒をそそのかしただけだ。自分では何もしていない。


「よく言うわ……。タバコとか生徒会室の鍵とか用意したくせに」


 メガミは怒りで顔を歪め、静香をにらみつける。誰も見たことがない、メガミの本気の怒り。静香は嬉しそうに笑う。


「それがあなたの本当の顔? 最ッ高だわ! 濡れちゃいそう! いつもあなたの偽善臭い笑顔は気色悪いと思ってたの!」


「そう。あなたには、転校してもらうわ」


 メガミは告げる。信子のように、魔法の力でどこか他所の土地に飛ばされるということだろうか。冗談ではない。まだ雅雄もツボミも殺せていないのに!


「私に危害を加えようっていうの? なら、正当防衛ね!」


 静香は懐から拳銃を取り出し、一切の躊躇なく引き金を引く。メガミは一瞬驚愕の表情を浮かべながらも、なんらかの魔法で銃弾を止めた。銃弾は見えない糸に絡め取られたかのように空中で完全停止する。


「こんなもの、どこで手に入れたの……?」


「明日あたり、○○交番で拳銃紛失ってニュースが出ると思うわ。最後は実力がモノを言うからね……!」


 メガミと相対するならこれだけの無茶をする必要があった。それでもメガミには通じない。


「ここまでやられると、転校じゃ済ませられないかな……」


 メガミは魔法のステッキを振る。静香の下に真っ黒な穴が出てきて、静香は真っ逆さまに落ちていく。転校ではないなら、どうなるというのだ。


「覚えてなさい! 必ず戻ってきて、あなたも香我美ツボミも殺すから!」


「それは無理。業田さんの行き先は、地獄だから」



 ログアウトして現実に戻った雅雄はベッドの上で意識の覚醒を感じながらゆっくりとまぶたを開く。目の前にはスマホを片手にすやすやとやすらかに無防備な寝顔を晒すツボミがいた。


 いつもは雅雄の部屋からログインするときでも雅雄はデスクのPCから、ツボミはスマホでベッドからなのだけど、今回だけはベッドの上で一緒にツボミのスマホからログインしていたのだ。


 いつぞやのように慌てることなんてない。しばらく心地のよいベッドに身を任せ、ツボミが目を覚ますのを待つ。すぐにツボミは起き上がった。雅雄もタイミングを合わせて起き上がる。


 ベッドの上で雅雄とツボミは向かい合う。ツボミは女で雅雄は男なので変な雰囲気になってしまうかなと思ったが、全然そんなことはなくツボミは天真爛漫な笑顔を見せた。


「……勝てたね」


「……そうだね」


 ツボミの声に応じてうなずき、改めて雅雄の胸に勝利の実感がこみ上げてくる。ツボミと力を合わせたことで、静香に勝てた。雅雄は何も諦めなくていい。自然と雅雄の顔から笑顔がにじみ出た。


「よし、決めた!」


 ツボミは突然叫んでベッドから飛び降り、部屋の真ん中にスッと立つ。そして雅雄が止める暇もなくデスクの上のハサミを手に取り、自分の髪に刃を入れた。ツボミの長い髪が、バッサリと切り落とされる。


 美しいセミロングから、勇ましいショートに。切った跡が揃っていないのが、ちょっとワイルドでかっこいい。


「ボクはこれからも、なりたい自分であり続ける! だから、君も……!」


 太陽のような笑顔を見せながら、ツボミは雅雄に手を差し出す。雅雄は、ツボミの手を取って立ち上がった。


「……うん!」


 今はツボミに手を差し出されてばかりだけれど、いつかツボミに手を差し出せる自分になろう。そして雅雄はワールド・オーバーライド・オンラインをクリアして、自分の運命を自分で掴み取る主人公になる。ツボミと一緒なら、絶対にできる。


 雅雄たちの戦いはこれからだ!

 『転生魔王のワールド・リバースド ~ハーレム魔王が地獄に墜ちてハーレム魔王になる話~』 https://ncode.syosetu.com/n8351ej/ とのクロスオーバー番外編をワールド・リバースドのページ内で連載します。


 時系列的にはワールド・リバースドの本編終了後、ワールド・オーバーライド・オンラインのⅠ章終了後の話になります。


 ワールド・リバースド 『強欲の魔王マモン』編 であり、ワールド・オーバーライド・オンライン 『業田静香』編 でもあります。


 しばらく本編をこちらの番外編と交互に更新したいと思います。お楽しみいただければ幸いです。

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