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―あの、私、そろそろ
―あ、はい、話し相手んなってくれて助かりました
―いえ
―お仕事がんばってください
―はい、そ
そちらも、お仕事がんばってください
そう言いかけ、ためらってしまった。
人殺しがんばってください、と言うようで、それは、やっぱりできない。
―じゃあ、行きますね、私
―はい
振り返らず、扉を開け、ビルのなかに入った。
スナイパー相手とはいえ、ひさびさ、まともに人と話しをしたからか、
なんだか妙に気持ちが浮いている。
その気持ちにまかせて、あのスナイパーに依頼してみてもよかった。
無能なセクハラ上司を始末してもらえないか、と。
けど、いまいる無能なセクハラ上司が消されたとして、
第二の無能なセクハラ上司がやって来るだけ。
私の仕事も、生活も、何も変わりはしない。
それならと、午後の仕事へ気持ちを切りかえた。




