16.お泊まり会2
「どうしてそうなるんだバカ!!」
「ふざけんなよバカ!!」
「このメガネ!」
「ボキャブラリーが少なすぎる…」
本田を3人が罵倒しているのを本を読みならが眺めているが、如何せんボキャブラリーが少なすぎる。森に至っては、悪口にすらなっていない。
そんな3人を無視して、ニッコニコのまま話を進める。
「百物語ってよく名前は聞くけど、やったことなくてさ、せっかくだしやろう!」
「何がせっかくなんだよ」
「やったことなくていいよ!やりたくないよぉ!」
「姑山もなんか言ってやって!」
「え、巻き込まないでよ」
せっかく静かに1人で本を読んでいたのに、巻き込まれてしまった。正直、百物語が何なのか分からないが、こんなに拒否しているってことはホラー系なのだろうとは思っていた。
「正直な話、どうでもいいんだけど」
「酷い」
「見捨てないで…」
「人の心がない…」
「酷い言われようだ。てか、やるとしても100個もホラー話持ってないでしょ」
「そこは良いんだよ、1人1個話してくれれば楽しいし」
「100個から5個に減ったな」
「それなら、まぁいいか?」
「良くないけどぉ?!」
「五物語?語呂が悪い」
わちゃわちゃと収拾つかなくなってきたが、結局五物語をするらしい。若干1名は最後まで渋っていた。
仁義なき男の戦い、話す順番を決めるための大事なジャンケンが今ここに始まる!
「何言ってんの?」
「ただのジャンケンだよぉ?」
「今日の本田はテンション高いな…」
「いや、通常では?」
「なんでもいいからジャンケンするぞ。勝った奴から1番な」
本田の言葉を聞き、全員に緊張が走る。初めも嫌だが、最後も嫌だ。出来れば真ん中辺りが良いと思っているのだが、そんな都合の良いことがそうそう起こるはずが無い。そしてこう言うのを『フラグ』というんだろう。
「ヨッシャ!」
「無難な順番でよかった」
「3番目か…」
「なんでぇ…」
「一発目で負けるとか…」
ジャンケンの結果、森→澤田→本田→清水→黎という順番になった。
まさかの1回目で全員がパー、黎だけがグーを出したことで、最後が即決まってしまった。その後、1人、また1人と負けて行き、最終的に森が勝ち残った。最後に話すことはもはやどうでもいいが、1番初めに負けたことが悔しかった。
「どうして勝っちゃったんだよぉ〜!」
それに、こんな男泣きをしている前では文句も出てこない。
「よし、それじゃあ夜になったら始めような!」
「すっごい良い笑顔…」
どう考えても、本田の方が人の心がない気がしてならなかった。
「いっぱい食べなね〜」
「「「いただきまーす!」」」
大盛りに盛られたカレーをスプーンで掬い口に運ぶ。ゴロゴロの牛肉にとろとろの玉ねぎや人参。そして澤田家のカレーはフルーツを入れるらしく、マンゴーやバナナ、りんごが入っていた。
「フルーツカレーって、初めて食べた」
「僕も初めて食べたけど美味しいねぇ」
「りんごはわかるが、マンゴーとバナナか…トロピカルだな」
「その感想はあってるのか?」
時々会話を挟みながらも黙々と食べ進める黎たちを見て、澤田も澤田のお母さんも嬉しそうに微笑んでいた。




