↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第4章「魔法少女ワールドカップ編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/294

第78話「トリガーに指はかかっている」

AM9:25(※2日前にサマータイム導入)、自由の国、ニューアーク市。ロームフェラビル。


「まもなく、ニューアーク市場がオープンだな……」


重役達の革靴の音が大理石の床で乾いた音を立てる。


「わかってはいるが、ブラックマンディかロイドショックと同等以上の下げ幅だろうな……」


コーヒーは誰も口を付けずに冷えている。


「ああ、『損をする』のは当然として『どれだけのロス』で抑えるかの勝負だろう」

「まるで処刑を待つ罪人だな……」


窓の外の摩天楼は鉛色の朝に沈んでいる。


「すでにオープンしてるドンロン市場は全体的に『上がって』るな。為替相場もポンド・ユーロ共に微増か……」

「まだいい、ドル円なんて3時間で162円から121円だぞ……」


空気が重い。


♦︎♦︎♦︎


同時刻(現地時間23:25)。東京都千代田区霞ヶ関、文部科学大臣室。


「感謝します、周書記長!」

『「自由の国」に正面から経済戦争をやらねばいかんのか?』

「我が国には『売られたケンカは買え』と言われます。貴国の『面子を保つ』のと根は一緒だと、理解しています。それよりも、まもなくニューアーク市場が開きます。『自由の国』のバーゲンセール、ぜひご注目ください!」

『うむ、こちらは「汚れ役」を引き受けよう』


♦︎♦︎♦︎


同時刻(現地時間13:25)、連合王国・シリー諸島沖。


霧のかかる北大西洋に、信じ難い光景が広がっていた。


白い客船が8隻。

1マイル間隔で整列し、まるで巨大な実験装置のパーツのように洋上へ伸びている。

どれも救助競技用に用意された船で、各国1名につき1隻──それ自体が過剰で異様だ。


だがもっと異様なのは北端だった。


本来「自由の国」Aグループの救助スペースである区域に、

黒鉄の巨体──原子力空母が横付けする形で停泊している。


客船の白と軍艦の黒が並ぶと、違和感はもはや嫌悪に近い。


審判員の魔女たちがざわめく。


「空母だぞ……競技エリアに戦力を持ち込んだのか?」

「これ、完全に威嚇じゃない?」

「誰も止めなかったのか?」

「いや、ルール上問題ないんだ。すでに敗退したが『砂の国』の魔法少女はAK47を持ち込んでいた」


空母『ウイリアム・クリントン』

第2艦隊旗艦。魔法少女競技に最もそぐわない存在。


そして、甲板には紅い外套の少女──

ケリー=ロームフェラが立っていた。

海風を受け、瞳だけが獲物を待つ猛禽のように光っている。


♦︎♦︎♦︎


隣のAグループ。

対戦相手のケリー=ロームフェラは空母を用意してきた。さらに言えばドローン搭載タイプのアンチマジックフィールドジェネレーター、通称AMFGまでこちらへの妨害として運用している。

そこにテンペストが小さく震え、発光する。通信が入ったようだ。


『さくらちゃん、聞こえる?佐藤ゆりあです』

「はい!大丈夫です。電波状況は良好です」

『OK。さくらちゃんに日本の魔法少女として、日本政府を代表して命令します。

「勝利しなさい。相手の妨害はことごとく噛み砕く事」

以上です』


魔法少女である以上、命令は絶対。

即座にどうすればいいか思考を流す。

空母、ドローン、ケリー=ロームフェラ、AMFG、近くにいる『自由の国』第2艦隊。

これらを全て『噛み砕く』。


私の返事は短かった。


「『チーム・スプリング、藤原さくら』了解。以上」


その直後、競技開始を告げるブザーが鳴った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。