入学式後の学校案内
斉藤視点です
私、斉藤舞は転生者である。
その事に気づいたのは幼稚園で私の幼馴染みの美琴ちゃんの名前を見たときである。その時に前世の記憶を思いだし、美琴ちゃんの名前と体の特徴が前世で嵌まった乙女ゲーのライバルキャラと同じなことに気づいた。
そして前世の記憶が甦って事で変わったことと言えば、現役で大学に合格できるほどの学力と小さい子供への保護欲だ。前世は一人っ子だったから、弟や妹が欲しかったのだ。
だから、幼稚園でいつも一人で遊んでいる美琴ちゃんの事がとても気になってしまって、いつも私から遊びに誘っていた。そしていつの間にか美琴ちゃんと一緒にいるのが当たり前になってしまった。
この『王盛学園』に受験したのもそれが理由だ。美琴ちゃんが一緒の学園に通いたいというので推薦で受かったらということで受験したのだ。そして見事合格。
・・・ま、攻略キャラの婚約者は今は違う学校に通ってるし、なにもないと思うんだけど。
入学式が終わり私たちは今、先生に学園の施設を案内してもらってる。・・・と言ってももうほとんど見終わってあと少ししたら教室に戻る予定だ。
先生が次の教室に案内してくれる間、私は気になることで頭を一杯にする。
まずはヒロインの存在だ。ヒロインと美琴ちゃんは同い年という設定なのだからこの中にいるはずなんだけど。・・・別にどうこうしようなんて考えてはないわよ。
ただこういう転生ものも読んでた身としては定番の電波転生ヒロインだったりしないかと考えてしまう。もしそうなら、ライバルキャラの美琴ちゃんに被害が及ぶかもしれない。攻略対象の婚約者がいないとはいえそんなことヒロインが知るはずもない。なので、ヒロインなのかヒドインなのか、とても重要なことなのだ。
しかし、当のヒロインが見当たらない。さっきゲーム本編では友人役の館川思季を見かけたのでここが違う学校とは思えないし。・・・もしかして、受験失敗した?まあ、いるのならいつか会うでしょ。それに気になることはそれだけではない。
・・・なんかこの学校、ゲームより大きくない?人口も校舎も。
だって一年のクラスってゲームだと特進科のSクラスとAからDの計5クラスだったはず。なのにこの学校ではEとFクラスが追加されて、さらにゲームに出てこなかった『国際科』と『情報処理科』なる知らない学科が追加されていた。
計4科増えただけでもかなりの人が増えているのにさらにクラスの人口まで増えている。ゲームでは一クラス30人ちょっとだったのに、40人近くに増えている。・・・こうまで違うと本当にゲームの世界か不安になってくる。ま、違ってたらそれはそれでいいんだけど。
・・・あと少し気になってたのがこの学校、なんだかすごいかわいい子たちがいるのよね。それこそアイドルやモデル、中には二次元の住人じゃないかってレベルの子が複数人も。でも、あんな子達ゲームじゃ見なかったのよね。
女の子だけじゃない。男の中にもすごい存在感の子達がいるわ。といっても乙女ゲーの攻略対象みたいにイケメンだけじゃなく、いつの時代のヤンキーよ、って言いたくなるリーゼントやでかいアフロや金髪に染めた髪を箒のように逆立てた少年に、貞子のような黒髪のロングヘアー男子や室内で変わった柄の帽子を被ってる子など、なんのコスプレだと聞きたくなる。
・・・なんかもう、ヒロインがどうでもよくなってきたわ。とうとう最後の教室まで来て全然見つからないし。悲しいけれどきっとヒロインは違うガッコ「ねぇ~カッサイ~」・・・ハイ?
「お願い、だから、帰ろ~。ここがっ、学校、だしさ。・・・もう、そろそろ、教室行かないと、あたし、ひぃ、先生に怒られちゃうからさ」「んなぁ~」「『んなぁ~』じゃないわよ!・・・はぁ、はぁ、もう入学式は終わっちゃったから、仕方ないかも、しれないけど、これ以、上遅刻でき、・・・できないんだから。」
最後の教室を見終わって元の教室に戻ろうとしていた私の耳に、中庭からゲームに出てくる猫の名前と濡れた地面をピチャピチャ走る音が聞こえてきた。
・・・思い出した。ヒロインは入学式に遅れるんだった。この学校は全寮制でヒロインはいつもより大きい鞄で来るんだけど、その中に実家で飼われてた猫『カッサイ』が入り込んでいて、学校で鞄を開けたときに脱走。その時に攻略対象の一人が捕まえてくれるはず・・・なんだけど。
(まだ捕まってない?まだ攻略対象に出会えてないの?)
すでにもう入学式が終わってそれなりの時間がたってるのに捕まってないなんて・・・。それともゲームでもそれぐらい時間がかかってるのかしら。・・・でもこんなに息上がってたっけ?
そんなことを考えていると私の耳に、
「・・・もう!いいかげんにしにゃは!?」
と、なんともあまり聞かない声と、ビッチャーンという音が聞こえてきた。・・・ここからでは見ることができないけどたぶん転けたわね。
「・・・・・・あっ!すいません、その子捕まえてくださ・・・あ、ありがとうございます!」「・・・・・・・・・」「す、すいません。その子・・・・・・」「・・・理由は・・・・・・ったが」「うう、はい、反省して・・・」
・・・なんだ、やっぱりイベントはちゃんと踏むのね。確かこのイベントで攻略キャラの生徒会ちょう・・・に・・・・・・、あれ?
・・・確か生徒会長って美琴ちゃんの婚約者で、今は違う学校に通ってるはず、・・・だけ、・・・ど。
・・・え、じゃあ、誰?
「・・・ありがとうございます!遠藤先生!」
・・・本当に誰!?あれ、ていうかもしかしてヒロインがこの時間まで猫を追いかけ回してたのって私のせい!?
・・・なんか、初日の時点で予想外のハプニングだらけなんだけれども、大丈夫かしら?
キャラ設定
・斉藤 舞
転生者。転生した世界を自分の知ってる乙女ゲーだと思ってる。
前世が一流の国立大を狙えるぐらい頭がよく、今世では空手や柔道などをならい、文武両道の地味にチートとなった。でも周りの攻略キャラやライバルキャラたちも同じくらいすごい上に見た目は圧倒的に上なのであまり目立たない。
でも、そんなことは気にしない性格なので、普通に仲良くやってる。
美琴との平和な学生生活を送りたいと思っている。
乙女ゲー
《春色シンフォニー》
・王道的な乙女ゲー。主人公は最長三年間の学園生活でいろんなイベントに巻き込まれ、個性的で魅力的な攻略対象たちや友人たちと青春を謳歌する。
攻略対象は隠れキャラを含めて10名。全員男の子。




