皇女フロリア・ル・ネージュ
新キャラ登場。
短いです。
お母様がとても嬉しそうにしていた。
お隣のカムーン王国の剣聖ヴァルカンと会ったらしい。
私も会いたかったのに、今日は魔術学院で一日中勉強をさせられた。
いつもだったら午前中だけなのに・・・
楽しい事はいつも独り占めで、私には結果だけしか教えてくれない。
お母様ばっかりずるい!
知っているんですよ!
狐耳族の秘術『変化の術』でたまに外へ遊びに行ってる事!
私だって、外で遊んでみたい。
同じ歳の子達はみんな外で遊び回ってるのに、私はずっとお城と魔術学院の往復だけ。
どこへ行くのもお付きがいるし・・・・
唯一の楽しみは、お付きのベルの恋の行方だけ。
どこがいいのかわかりませんけど、ベルのお相手は近衛騎士団のレオンハルトなんですって。
自分に酔ってて私は好きになれません。
ああ、どこかに私を攫ってくれる王子様はいらっしゃらないのかしら・・・
強く勇ましく、そして見惚れるような美形の王子様は・・・・
私はここにいます。
貴方のフロリア・ル・ネージュはここにいます!
私はそんな妄想をしながら、今日も枕を抱いて眠る。
いつか素敵な王子様に出会うために・・・・
翌朝、いつものようにベルに起こされ朝食をする。
食事の席を共にしていたお母様が突然話し出す。
「リア、今日は私からサプライズを用意したの。きっと喜んでくれると思うわ♪」
ニコニコ顔でそう言うお母様。
きっと何か楽しい物でも見つけたのだろう。
「お母様、ありがとうございます。」
とだけ言い、食事を終える。
どうせたいした物ではないだろう。
以前貰ったあいすきゃんでぃーという氷菓子は、確かに美味しかったけれどすぐに溶けて消えてしまった。
私が求めているのはそういう物ではない。
私が求めているのは、退屈なこの場所から連れ出してくれる王子様。
私を愛し、私を求めてくれるような王子様が欲しいのだ。
なぜ私は皇女として生まれてきてしまったのだろう。
普通の貴族として生まれてくれば、もっと楽しい人生だっただろうに・・・・
お母様に不満はないけれど、私はもっと自由がほしい。
ああ、王子様・・・・
早く私を連れ出して・・・・
夢見る乙女な私は今日も魔術学院へ行く。
退屈な日常に嫌気を差しながら。