第三話 第六部 ピュアと貸切練習場
「おわお! これはすごいね。」
楓が思わず声を上げた場所は誰もいない、私たちだけの貸切練習場だった。しかも鏡などがついていてテレビも音楽を流す機械もそろっていた。まさに私たちが練習をやるにはうってつけの場所だった。恭花さんはこんなところまで用意してくれていたのか。
「千代乃ちゃん、これで目一杯練習できるね。」
「そうだね…。これだけ広いとライブの感覚というものができそうだし…それに集中もできそうだね。」
「そう、ここにいるのは私たちだけだから心配する必要はないよ。よし、まず体操と柔軟を行いましょう。」
恭花さんはそういうとカセットテープに音楽を流し始めた。落ち着いているクラシック音楽だった。でもなんで運動にこの音楽なんだろう。
「さて、リラックスできる音楽を用意したわよ。これで落ち着きながら運動していこう。」
なるほど、緊張をほぐすための必要なものだったのか。なら納得できるかもしれない。
「うーん、二週間じゃ柔軟も大きく変わったりしないね。」
「でも楓、私は…ほら、ここまで届くようになった。」
いままで足に手がギリギリ届く前屈も手のひらまで届くようになった。毎日やっていた成果が少しずつ出ていた。
「そうそう。毎日続けることが大事だよ。楓も少しはよくなっているわよ。」
「本当に? そういわれると嬉しいな。」
私たちが柔軟をしている間、同じく恭花さんも柔軟体操をしていた。しかしすぐに終わってテレビの前まで移動してあるDVDを取り出した。そしてプレイヤーの中に入れている。
「どうしたの恭花?」
「ダンスやステップの基礎が入ったDVDよ。私は家で何度か見てきたけど、あなたたちに見せながらやるものよ。」
「恭花さん、DVDまで用意してくれるなんてありがたいです…。」
「なに、これぐらいは当たり前よ。」
そうして恭花さんはテレビの電源を入れた。私は今やっている柔軟体操を速く、丁寧に終わらせてから見ようと思った。




