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龍の血を引く者  作者: また太び
4章 林間学校
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勝利と新たな歩み

舞香は心底驚いているようだった。



「あいつ……遂にやりやがった…!」


「リアが……負けた…?」



声を震わせながら茫然と呟く俊介とリアがやられた事を信じられない舞香。



「ニル、初めて使ったが、うまくいって良かったな」


「うむ。この力は我らの王、バハムートに似ている。今の一撃もバハムートが使う技だ。それを真似したのだが、うまくいったようだ」



地上に降りると、ニルはまた再び炎に包まれると、白から黒の炎へ変わる。それは時間切れを意味していた。

炎が消えると、そこにはいつもの漆黒の龍戦士が君臨していた。

腕を組んで偉そうにしている姿は、いつも紅哉に力をくれる。



「お兄様……今のはエヴォルト…?」


「なんだそれ?」


「知らないの…?パートナーと強く、心の底から絆が生まれるときに起こる現象……でも、まだ未完成みたい……」


「実は、この力を手に入れたのは昨日なんだよな」


「え…?昨日…?」


「あぁ。ニルと喧嘩して、豊姫と美波に回復させてもらったあと、俺とニルで話し合ってたんだよ。その時にかな」


「ふぅん………お兄様…その力は余り使わない方がいいよ……マスコミがうるさい…」


「そっちか……そうだな。これ使うともの凄く疲れるし、VR空間じゃなかったら倒れている」


「そ……初めてお兄様に負けたけど…私、楽しかったよ……今度はリアとニルで一騎打ちね…」



舞香は紅哉の頬に軽くキスして自らリタイヤしていった。



「舞香はご機嫌だったな。敗者の顔にしては清々しい」


「そうだな。さて、初めてのフラッグを取りに行くか!」



紅哉は豊姫たち、防衛班も通信班も全員呼んで舞香が守っていた旗の前に来た。



「MVPはお前だ。俊介」


「え!?俺!?俺何かした!?」


「もう一人もだ。凪咲」


「凪咲もですか~?リヴァイアサン倒したのは紅哉先輩じゃ」


「俺はお前の力がなければあの力も使えなかったし、俊介はリアの攻撃を幾度も防いだ。理由としては十分だ」


「朽木君、私たちの勝利だよ」


「朽木さん、混合とは言え、私たち3組の勝利です」



豊姫と遊佐に言われて俊介は凪咲と共に、草原の風で激しくなびいている青い旗の前に来る。



「凪咲、いくぞ?」


「準備オーケーです~」



二人同時に旗を強く掴むと、そのまま勢いよく地面から引き抜いた。



『おおおおおお!!』



そして割れんばかりの拍手と歓声が沸いた。数々のパートナーたちも満足そうに頷きあい、ニルは目を閉じているが、口元は笑っていた。

号泣している3組のクラスメイト達は、お互いに抱き合って勝利の余韻に浸る。



『そこまでだ!勝者は!1年2年混合チームA!』



教師の声が響くなり、紅哉達は現実世界に引き戻された。



「勝ったな…!」



紅哉はぐっと拳を握りしめて勝利に喜んでいると、背中に誰かが抱きついてきた。



「ん?って豊姫!?」


「紅哉くん!やっと勝てたよ~!私、私嬉しくて嬉しくて!」


「お前泣いているのか」



背中から離れると、豊姫は黒髪を揺らしながらひくひくと泣いていた。

紅哉は一瞬躊躇ったが、嬉し泣きをしている豊姫の頭をポンポンと優しく撫でる。



「ありがとう豊姫。お前がいなかったら俺達は勝利を掴む事すら出来なかった」



周りの見渡すと、紅哉の他にも3組のほとんどが泣いていた。

通信係りの遊佐は無表情で同じ通信係り仲間の知佳の頭を撫でていた。



「ほらぁ!いつまでそこにいるんだ!さっさと撤収だ!」



体育系の教師からそう言われて、紅哉たちは部屋を出た。ロビーに戻ると、観戦していたお客が拍手して出迎えしてくれていた。



「紅哉さん、おめでとう」


「あ、ありがとうございます」



その中に玲奈が混じっており、紅哉は泣きじゃくる豊姫を支えながら会話に応じた。



「君、エヴォルト使ったね?」


「舞香もそんなこと言っていましたね。俺にはよく分からないんですが」


「余り時間がないから手短に言うね。この日本ではエヴォルトを使うことが出来るのは2人しかいない。一人目は私、二人目は紅哉さん。つまり、どれだけ希少なものか分かってくれたかな?」



生徒がバスに乗って行くのを見た玲奈は、最後にメモ用紙を取り出して、急いで何かを書く。



「これ、私の携帯のメアドと電話番号。今度ゆっくり話しましょう」


「ありがとうございます!なんだか瑠璃が怒りそうだな…」


「ふふっ。瑠璃ちゃんは私に任せてね。それじゃあ」


「はい、またいつか」



玲奈は豊姫の肩を叩いてアリーナを出て行った。紅哉も豊姫を連れて急いでバスへ乗った。

バスが発進すると、誰かが言った。



「2組に勝ったぜええええええ!!」



それが始まりで、一度涙が収まった者も、また思い出しては泣き始めて高校生とは思えないバスの中だった。

佐鳥も満足しているのか、何も言わずに座っており、紅哉はそれよりも隣で泣く豊姫をなだめるのに時間を用いた。



「私、紅哉くんにありがとうって言って貰えて嬉しかった」


「俺はいつもお前に感謝しているぞ?ただ言葉にしていないだけだがな」



泣きやんだ豊姫の顔はスッキリしていた。



「2組に勝てた喜びももちろんあるけど、やっぱり紅哉くんの言葉が嬉しかったなぁ」



にっこりと笑う豊姫に紅哉はドキっとしてしまった。

豊姫が紅哉に好意を抱いているのは知っているからこそ不意打ちだった。



『どうやらマスターは女に好かれる男らしい』



ニルは欠伸をしながら脳内で呟いた。



「まぁ、これからもよろしくな、豊姫」


「うん!こちらこそよろしくね、紅哉くん」


豊姫がぐいぐいと来ましたね。瑠璃と舞香を見て焦っているのでしょうか。それに比べて直人くん可哀想ですね~。恋愛のれの字もない状態です。いつか直人くんにも可愛らしい女性が現れるかな?

まぁそれはさておき、新しいキャラクター。凪咲ちゃんです。俊介をこれからいろいろ使っていこうと思っているので、前々から匂わせていたイフリートの主として登場させました。

俊介の弟子となり、師匠を熱血師匠と呼びます。基本はたれ目に語尾は伸ばす感じでこれから物語に絡ませていきます。

私って武器に属性をまとわせるのが好きなんですよね。

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