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龍の血を引く者  作者: また太び
10.5章 新たな龍人
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アヴェンジャーズ・アジト

「紘一は大丈夫なのだろうか…」


「大丈夫。あたし達の医療スタッフを舐めないことね」


「わしらは世間に顔がバレている者が多いからのう。こうやってアジトに医療施設を設けることによって公共施設の病院に行かなくていいわけじゃ」



面会謝絶と書かれた札の前で人間の姿のグランベスは彼の無事を祈った。

その背後では紙コップでコーヒーを飲む江ノ島とお菊の姿があり、ここに運んできた責任者として立ち会っていた。

一応医師によれば確実に助かると言っていた。しかし、グランベスはそれでも安心が出来ず、今も彼が眠る部屋の前で立っている。



「お前達は何者だ?この施設と言い、まるで隠れ家ではないか」


「まぁそうね。あたし達は世間から見れば犯罪者と言った所ね」



グランベスから凄まじい殺気と龍の威圧を二人は受ける。



「世間からじゃ。わしらは人殺しなど1回もした事がない。まぁ建物とかはたまに破壊してしまうが……それもある目的があっての事なのだ」


「……………ひとまず紘一を助けて貰った恩としてお前達の正体は目を瞑っておこう。私もお前達から邪気を感じないことだしな」


「それはありがとう。正直龍なんかに暴れられたらあたし達壊滅よ」


「それもあのオリハルコンを生成できる宝石岩龍じゃろ?まずこちらの攻撃が通らん」


「それじゃ、少しあたしと江ノ島はボスと話をしてくるわ。アジトの中は好きに歩き回っていいけれど、外に出てはダメよ」


「了解した」


「あの坊主が目を覚ましたら真っ先に教える。それまでゆっくりしておれ」



お菊と江ノ島はそう言って去って行った。

暗い廊下で一人残されたグランベスは一つ扉の先にいる自分の新たな主の無事を祈ってソファに座った。

ソファの近くにある小さなテーブルにはお菊がグランベス用に置いて行ったコーヒーが残っており、彼女は紙コップに入った温かいコーヒーを一口飲んでみた。



「む……これがコーヒーというものか………人間の趣味はまだ分からんな…」



パートナーになった事で分からない事はすぐ頭で考えるとまるで辞書のように言葉が引きだされることにグランベスは戸惑った。

今のコーヒーという飲み物も頭では理解したが、好きになれそうにない飲み物だった。



「おい、そこの人間」


「はい?どうかなされましたか?」



丁度通りかかった医療スタッフの人間をグランベスは呼び止めた。



「紘一はいつまでこの扉の中にいるのだ?」


「先生によれば4時間程度で目を覚ますと言っていました。ただエーテルが枯渇していただけでしたのでそこまで大事には至らないと思いますよ」


「ふむ…呼び止めてすまなかったな」


「いえいえ。何かあったらまたお呼びください」



忙しそうに去って行くスタッフが見えなくなるまで目で追ったグランベスは、苦い飲み物を何とか飲み干すと紙コップを握りつぶしてゴミ箱に捨てる。



「4時間か………少し人間の世界を知るためにも探検と行くか…」



今の今まで人間社会と一切かかわりを持たなかった彼女は、立ち上がるとアヴェンジャーズのアジトの探索を開始した。




「へぇ、新しい龍人ね……面白い。僕らの組織にスカウト出来ないかな?」


「章仁…あたしの話し聞いていた?あの龍、恐ろしく正義感強いわよ。犯罪者って言葉だけであたし達に殺気と龍の威圧ぶつけてくるのよ?」



幹部会議室で千羽鶴を折る章仁は江ノ島とお菊の報告を聞いていた。



「まぁそこは大丈夫だよ。僕からもアプローチをかけてみるし、何より彼は僕らのアジトを見てしまった。それなりの事はしてもらうつもりだよ」


「なんだかここに運んできたあたし達が悪いみたいじゃない。それ脅しよね」


「言ってしまえばそうなる。だけど、僕らは社会の敵として君臨してしまっている。国にこの場所が知られてしまったら僕らはまた宿探しから始めなくちゃならない。それに未来の事もあるんだよ。宿探しに時間を食う訳にはいかないんだ」



いつも飄々としている章仁が険しい表情を見せた。



「じゃがのう章仁よ。もしあの坊主がわしらの勧誘を断り、龍の力を使って逃げだしたりしたら、わしらにはもう止められんぞ」


「そこ、だよね。普通の龍ならともかく相手はあのオリハルコンを生成した伝説の龍だ。葉隠の攻撃も絶対に通らない。最新鋭の武器でも歯が立たないだろうね」


「サマエルは?もうあたし達の支配下なんでしょ?」


「呪の力を使うのは避けたいね。彼だって運悪く事に巻き込まれた身だ。これから生きる上でサマエルの呪いを背負ったままにしてしまうのは余りにも可哀想だよ」


「何としても仲間にしておきたいのう。坊主のリュックから生徒手帳が出てきたのじゃが、まだ高校1年生と来る。少々考えるのには幼いかもしれんのう」


「ふふ、紅哉君ならその前から自立を果たしている。彼にも考える力があればいいんだけどね」


「とりあえずは彼が起きるまではアクションを起こさない方面でいいのね?」


「それでいいよ。起きたら幹部全員で彼のアプローチに行く。あぁ、威圧は出来るだけしないであげてね。あくまで話すのは僕だ。彼の意見を尊重したいし、事によっては勧誘の拒否も認めてあげるつもりだよ」



二人は『了解』と言って部屋を出て行った。

一人残された章仁は短く息を吐くと背筋を伸ばした。



「はぁ……龍人か…これも紅哉君と関わった影響かな」



章仁はこの運命を面白く感じていた。




グランベスはキョロキョロと周りを見渡しながら人類が生み出した技術の結晶を見て歩いていた。



「素晴らしいな。龍の里では考えられんものだ」



荷物を運ぶ機械をグランベスは興味深そうに観察する。



「これは誰かが動かしているわけではないのか…?」


「そうだよ。これは自立式だ」



グランベスは振り返ると、そこには棒の先端に丸い飴を口で転がして舐めている女性がいた。

元は美しいのであろう金髪はボサボサで目の下はクマが出来てしまっていて、整った顔立ちも台無しになっている。

白衣を着た女性はグランベスの隣に並ぶとポケットから自分と同じ飴を取り出して彼女に差し出した。



「メロンソーダ味だ。うまいぞ」


「うむ。いただこう」



何事も体験だと考えているグランベスは飴を口に入れて舐めてみる。



「うまいな。さっきのコーヒーとやらとは大違いだ」


「まぁまだ君には分からないさ」



しばらく運搬用の機械を見ていると、グランベスは思い出したかのように隣の女性に尋ねた。



「お前、誰だ?」


「私は四条リィナだ。ここでは技術開発部主任って事になっている。あれを作ったのも私だ」


「ほう、人間はなんでも作れるのだな」


「そんな事はないさ。人間の限界なんて案外すぐ辿りついてしまう。例えばここに剣がある」



リィナはどこからともなく鉄製の剣を取り出すとグランベスに振り下ろした。

グランベスはそれを避ける事もなく、自分の周りにフィールドを作り出して防ぐ。


防がれた剣は呆気なく壊れてしまい、バラバラと床に破片が落ちる。



「どう思った?」


「脆いな」


「職人の技術で切れ味を増す事は出来る。だが、万物全てを断つことが出来る剣は作れない。それが限界って奴だよ」


「相手が悪い」


「君に傷を付けられる剣を作れたら最強だね」


「私を傷つけられる物は私の鉱石のみだ。ダイヤ同士で砕けるように私もオリハルコン同士でなければ傷をつけられん」


「酸には弱いようだけれどね。まぁ実質最強の鉱石には変わりない」


「君、私の研究に興味はないかい?」


「その最強の剣とやらを作るのに協力しろと?私は昔から自衛のためにのみ力を振るってきた。それはこれからも変わりはない。犯罪者集団に力を貸すほど聖龍としての誇りを忘れていない」


「頑固だねぇ……まぁもう少しここにいるんだろう?もし気が向いたら私の研究室に来てくれよ。協力しなくとも、見に来るだけでもいいさ」



リィナと言った女性はフラフラと歩いて行った。

知識としては知っていたが、人類の技術にはグランベスも興味はあった。

しかし、今は紘一の判断の仰ぐのが一番だと思いリィナの誘いを断ったのだ。



「もう少し眺めていよう」



グランベスは使われていない荷物を積んだ山に昇る。そこからは下で働く様々な機械が一望できる位置だった。

ここに来て思ったことは――――



「しかし、ここは無駄に広いな。一体どこにあるんだ?」



アヴェンジャーズのアジトは基本何でも揃っているため無駄に広い。

もちろんその配慮としてアジト内を簡単に移動出来る電気スクーターなど開発されているが、それでも広いことに変わりはない。



「移動するのもなかなか億劫だな…」



グランベスは機械を観察するのに戻った。




「江ノ島さん!お菊さん!」


「おお、綾香か。葉隠との修行は終わったのかの?」


「はい!それで先ほど章仁さんから聞いたのですけど、新しい幹部候補が入るって本当ですか!?それも私と歳が近いそうで」



首にタオルを巻いた綾香がカフェで話し込んでいた江ノ島とお菊の元まで走って来た。

どうやらシャワーを浴びてきたようで、髪の毛が湿っている。



「あぁ、もう章仁の中では勧誘確定なのね。ええ、辰己紘一っていう高校1年生よ。今はエーテルが枯渇して病室で寝ているけれど、そのうち目を覚ますわよ」


「と、年上なんですね……」


「綾香より下の子が入るなんてありえないわよ」


「そ、それもそうですよね……怖い感じの人でしたか?」


「優しそうな男じゃったぞ。わしらの組織には合わないくらいに正義感のある坊主じゃ」


「あれ?私たちの組織って悪役でしたっけ?」


「世間様からすればあたし達は立派な悪役よ」


「はぁ…理解されないって辛いですね」


「仕方ないことよ。それが分かっているからこそ章仁は何も言わないんだしね」



その時アジト全体にアナウンスが響いた。



『幹部全員今すぐ僕の元に集合すること~。一番遅れた人は僕と一緒に千羽鶴の刑だ』



章仁だった。



「ふむ、どうやら坊主が目を覚ましたようじゃの。では、行くとしようかの」


「さぁ、新しい幹部が増えるか増えないか。楽しみね」


「行きましょう!行きましょう!」



3人は千羽鶴の事など無視して章仁がいる幹部室に向かった。




「あれ……ここは…?」


「目を覚ましたか!紘一!」


「グランベス?ってうわ!」


「私の主になって早々死んだりしたら許さなかったぞ!地獄に行って閻魔から連れ戻してやるところだった!」


「あはは……穏やかじゃないな…」



紘一の胸で泣いているグランベスの髪を優しく撫でる。

ちょっと自分にここまで気を許してくれている彼女に驚いたが、あれだけの死闘を潜り抜ければ自然と仲が深まるのも頷けるか、と自分を納得させる。



「失礼します!」



病室のドアが開かれた。

その先に立っていたのは一人の少女だった。ガッチガチに緊張しており、足が震えている事に気付いていないのだろうか。



「わ、わた!私は!綾香と言います!た、たたた!辰己さんをお連れするため参上しました!」


「えっと、そんな緊張しなくてもいいよ。なんだか俺に怯えているみたいだし…」


「ご、ごめんなさい……私、人見知りでして………あの、急がなくていいのでゆっくり準備してください。お着換えの方はこちらで洗っておきましたので」


「これはありがとうございます」



紘一は服を脱ごうとした所で止まった。

何故なら綾香がピクリとも動かず紘一の姿を見ているのだ。

女の子の前で着替えるのはいささか気分がよろしいものではない。



「あの……いつまでもそこに…」


「はッ!?ご、ごめんなさい!!!そ、そそそそ!外で待ってます!」



バチン!と勢いよく病室の扉が閉められたのを確認した紘一は、なんだかなとため息を吐きながら着替えた。




「あの、ここって一体どこなんですか?」


「それを含めて私たちのボスから話がありますので、今は着いて来てください」



病院のエレベーターに乗って、降りたら次は高層ビルのオフィスのようなカーペットが敷かれた廊下に出る。


そして黒い扉の前に来ると綾香は扉を開けて中に入る。

紘一とグランベスも続いて中に入るとそこには彼もよく知る顔が座っていた。



「ようこそ、アヴェンジャーズアジトへ」


一昨日ポケモンの映画見に行きましたが、内容はともかくディアンシー貰えてうれしかったですね。私のは生意気で3vだったのですが、これは固定なのですかね。

まぁポケモンの映画見てて一番面白かったのはミュウツーの逆襲ですかね。シェイミとかの話も好きでしたが、最近の映画は………

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