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魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。  作者: 暁真
第二.五部 魔法少女の劇場版って話。
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最終戦への突入は割と唐突って話。


「……なんか如何にも出そうな雰囲気ね」

「それ聞くの今日で2回目だよ」

「皆感想は同じって事かな、まあ分かるよ」

「こうジメジメしすぎてもないしかと言って整備されてる訳でもない適度に荒れた感じ……まあなんか出てくるのがテンプレですよね、こういうの」

「実際いるのがなぁ……事実は小説より奇なりとはよく言ったもんやわ」

「終盤、かしらね」

「このまま穏便に終わればってのは望めねぇしな、エキドナがこうしてる原因をどうにかしなきゃならん」


 再び割れた海を通って小島の下の洞窟へ、ティフォンの分身が何処に居るか分からない以上最優先は皆との合流だ。弍乃さんにもしもの事があってもこれだけの魔導士(マギスター)が揃えば対処はできる筈、後一息で全部終わるんだ、気を引き締めろ私。


「ん、そろそろかな……誰か居たりしない?」

「視界に見える限りでは……」

「というか何か揺れてない?」

「揺れ……?」

『微妙な振動だ。震源地の推定は地下ではない、何かが暴れているのだろう』


 言われてみれば周囲が少し揺れているような気がしなくもないけど正直誤差程度だ。地震じゃないだろうし考えられるのは……エキドナさん?


「……ちょっと急いだ方がいいかも、行こう皆」

「何か良くない事が起きているのは確かね……いや速くない貴方?」

「色々あって身体鍛えたの!」

「その色々を話……いや今聞いてる時間はないわね。行きましょう」

「寧ろ此処までゆっくりしすぎたのかもね。私達も急ぐよ」

「おう、遅れんなよお前ら」


 二美さんがダッシュで駆けていくのを弍乃さん、次いで莉亜さんと狼奈さん、少し遅れて獅音さん達と私って感じで追う。ほぼ一本道で床も滑ったりしないからいいけどこれが天然の洞窟だったら気付かぬうちに逸れてそうだなぁとか思ったりしたのは内緒だ、二美さんもわかってるからダッシュで……いや迷路になってても普通に走っていきそうだなぁあの人。



『三葉』

「分かってるよテルスさん」

『なら良い、細心の注意を払え、弍乃とエキドナの両方にな』

「何事もないのが一番だけど……」

『残念な事にそれはあり得ない、君達もそれは分かっているだろう?』

「まあこんだけ暴れてればなぁ」

「何かありますって言ってるようなものね、分かりやすい分には助かるわ」

「逆に言えば大元がわざわざ来てくれてる可能性もありますからね、此処で終わらせてハッピーエンドってオチも大アリです」

「もしもの時はお願いしますね、皆さん」

「ええ、みっともないところを見せてしまったもの。汚名返上させてもらうわ」

「そこまでちゃうと思うけど……」


 走りながらテルスさんと意見を共有し、一緒に走ってる3人にも一応話しておく。一番良いのはティフォンの分身が乗り込んできてる、とかそんなレベルで済んでる事だけど……


「ちょっ、何するのエキドナ!?」

「弍乃さんが……!?」

『急ぐぞ、どうも最悪を引いてしまったようだ』

「こういうフラグ回収はせんでええってのに……行くで」

「分かってます、いやまあこういう時順当に上手く行った試しとかほぼないですけど!」


 聞こえてきた二美さんの声からしてそんなレベルで済んではない。どうも考えうる限りの最悪を引いてしまったよう……急がないと。


「皆!何、が……」


 ただ、ダッシュから全速力に切り替えて、少し息を切らしながら戻ってきた時には時すでに遅しだったようで。


『〜〜〜!?』

「エキドナっ!弍乃もしっかりしてよ、ねえっ!」

「ぁ、ぐ、ぅ……!」

「何が……どうなってるの!?」

「一宮さんから出てきた黒いモヤがエキドナさんに取り憑いて……とにかく、このままじゃ危ない!」

「ねえ明らかにやばいよ一宮さんの髪白くなってるし!」

「……してやられた、か。此処まで想定済みだったのか、それとも」

「考察してる場合じゃねえだろ急ぐぞ!」


 眼前に見えたのは挙動不審になるエキドナとそれを止めようとする二美さん、そして蹲って段々髪が白くなる弍乃さんの姿だった。












『……!』

「エキドナさん?」

『キテイル』

「来てるって……」

『ヤツノブンシンガ、チカヅイテイル』

「もう!?いや2人が救援に向かってから時間が経ってるけどどうやって此処を突き止めたんだ!?」


 2人に弍乃さんを任せてそこそこ時間が経ったが念の為と残ったのはどうも正解だったようだ。あの2人とこの世界の魔導士(マギスター)達で弍乃さんを抑えきれないなんて事はない筈、やはり本命は彼女とは別に居たらしい。


「ティフォンの……でも近づいてきてるなら寧ろ好都合なんじゃ?」

『ソウダ、ノリウツラレルマエニ、タオス』

「乗り移る……ティフォンの分身体は何かに取り憑いているのですか?」

『ワタシノシルカギリデハティフォンカラソノママキリハナサレタブンシンダ、ダガ……ニンゲンニトリツイテイルカノウセイモアル』

「もしそうだとしたら……」

『イノチノホショウハデキナイ、ワタシガティフォンニナレバソノニンゲンモ、ソシテモットオオクノイノチガシヌ』

「……私達もできる限りは、協力します」

『タノンダ、ワタシモスキコノンデイノチヲウバイタクハナイ』

「まあ君に暴れられたら多分僕達生き埋め「此処でも余計なこと言う気ファウヌス?」ねえ今の余計かなぁ!?」


 暇つぶしがてら話を聞いていたけれどエキドナさんの人工知能はテルスと同じように人並みの感情を持つ。だからこそタルタロスから逃げたし、二美さんと打ち解けたのだろう。現に私達とだって仲良くなれた、そんな彼……いや、電子音声的には彼女をティフォンの好きになどさせてたまるものか。


「皆さん、装神(マキアライズ)の準備を。短期決戦で行かなければエキドナさんが危険です」

「分かってるよシルウィアさん、此処まで何のために温存してきたかって話」

「とりあえず人間じゃなかったら遠慮なく殴れるんだけど多分人間だよね……面倒」

「エキドナさんに乗り移る前にティフォンだけ仕留めればいいんですよね、任せてください」


 咄嗟に対処できるように全員でデバイスを構え、その何かが来ているであろう洞窟の入り口側を睨む。エキドナさんは誘い込むために入り口を晒したままにしている、目論見通りなら……


「皆っ!」

「え」

「……二美さん?」

『ツグミ?』


 ただ、予想は外れて最初に見えたのは二美さん。


「一体何が……どうなって……」

「この通り、なんとかしてきたっ!正確にはなんとかなってないけど!」

「それはなんとかしたって言わないんじゃないかな!?」

「一宮さんっ!」


 そして息を切らして後から出てきた弍乃さんの姿……どうやら上手く行ったらしい。少し小さいのが気になるけど、も……


『オマエカ!』

「……え?」

「っ、危ない弍乃っ!」

「エキドナさん!?」

「一宮さんは敵じゃな……いや、でもさっきまで敵で……」

「言ってる場合じゃないでしょう!?」


 弍乃さんを視認した瞬間エキドナさんが間髪入れず光弾を放ち、それを二美さんがギリギリ弍乃さんを抱え回避。一体どういう……


「ちょっ、何するのエキドナ!?弍乃は敵じゃない!ティフォンって奴なんでしょ!?」

『ハナレロツグミ!ソイツガソノティフォンダ!』

「弍乃さんが……!?」

「どういうこと!?一宮さんは間違いなく本人なんでしょう!?」

『イマノウチニシトメル!』

「待って、話を聞いてってエキドナ!」


 弍乃さんを仕留めようと光弾を連射するエキドナさん、そしてそれを避け続ける二美さん。正直何がどうなっているのかわからない、弍乃さんがティフォンなんて事はあり得ないし、取り憑かれているとしたって一体いつに?


「落ち着いて!弍乃もちょっと説明してよ!自分は関係ないって!」

「だから何がな……ぁ……」

「弍乃!?」

「一宮さんっ!?」


 ……そんな事を考えている余裕はなかった。突然弍乃さんの身体から黒いモヤが飛び出し、エキドナさん目掛けて向かっていく。


「なっ……二重詠唱(デュアルコール)雷霆(ケラウノス)追尾(ホーミング)!」

「待ってシルウィアさん此処で雷霆(ケラウノス)は危な……」


 慌てて放った雷霆(ケラウノス)がエキドナさんに届く前に黒いモヤを直撃……


「……すり抜けた!?」

「あれはただの魔力の塊だ!分身ってレベルじゃないけど思念を僅かに分けたとかそのレベルの!」

「やっと役に立ったねファウヌス!「やっと!?」けどそれじゃ……!」


 する事なくすり抜けてしまった。けどファウヌスさんの推理通りなら雷霆(ケラウノス)との衝突で反発する筈、じゃああれは何!?


「ぐ……ぁ……」

「弍乃!しっかり……って、髪が……!?」

『コレハ……透過(パーコレーション)カ!』

「無駄に手の込んだ真似を……だったら!」


 透過(パーコレーション)、文字通り対象をあらゆるものからすり抜けるようにする呪文(アーツ)。確実に仕込んだのはバッカスだ、恐らくは弍乃さんがエキドナと接触するタイミングで起爆するようにした筈。もし私達が弍乃さんを元に戻したとてエキドナさんを支配下に置ければ勝ち、相変わらず反吐が出るほど合理的なやり方……!


呪文詠唱(アーツコール)解呪(ディスペル)ッ!」


 咄嗟に呪文(アーツ)を対消滅させる解呪(ディスペル)を飛ばしエキドナさんへ魔力が到達する前に弾こうと試みる。強化(マキシム)は解除できないし二重(デュアル)以上は1つしか解除できない上着弾式と色々難点のある呪文(アーツ)だがこの状況では最適解、だけども……


「っ……間に合わない……!」


 ……タイミングが、遅かった。もう少し早く撃てていれば着弾は間に合っていた、これじゃ着弾する前にエキドナさんに到達する。


「これは……」

「一手遅かったみたいだ手伝え莉亜!」

「迎撃は……間に合わない、皆こっちへ!」

「っ……私の後ろへ!」


 もう少し足掻きたいが何をやっても遅いのは分かっている、紗七さん達を下がらせエキドナさんに目線を向けたまま後退。彼方も解呪(ディスペル)を撃てるのならばよかったのだがそんな都合良く行ってはくれない、歯噛みしながらこれから起こるであろう最悪に備えデバイスを握りしめる。


「皆!何、が……」

「三葉さん!?」

『〜〜〜!?』

「エキドナっ!弍乃もしっかりしてよ、ねえっ!」

「ぁ、ぐ、ぅ……!」

 

 三葉さん達の合流とモヤがエキドナさんに取り憑いたのはほぼ同時。蹲って悶える弍乃さんは二美さんに任せまずは避難経路の確保を優先、最悪雷霆(ケラウノス)で天井を突き破って抜け出す事も考える。


「……してやられた、か。此処まで想定済みだったのか、それとも」

「考察してる場合じゃねえだろ急ぐぞ!」

「一旦此処を抜け出しましょう、エキドナさんが抵抗している内に可能な限り距離を!」

「抵抗って……このまま見過ごせって!?」

「今は自分の命が最優先だ!全員お陀仏になったら元も子もねぇ!」

「でもっ!」


 エキドナさんの抵抗が激しくなると共に空間内には地響きが走る。このままでは崩落して閉じ込められる可能性もある、急ぎ……いや、間に合うのか……!?


「ぐ……ん……」

「エキドナは友達で、それを見捨てるなんて私には……「二美」弍乃!?」

「一度、考える時間を作る」

「作るって……」

「そもそも身体は大丈夫なんですか!?」

「まあ、見てて」


 ……避難経路と脱出時間の計算を急ピッチで行っている途中で蹲っていた弍乃さんが唐突に起き上がった。髪は段々と白くなっていっているしどう見ても大丈夫とは言えない状態だ、まともに呪文(アーツ)を行使できるとは「こうね」……え?


「此処って……」

「砂浜?」

『……海が割れたままだ、阿戸螺市の海岸で間違いない』

「じゃあこれは転移(ワープ)の自動詠唱……」

「……うん、使い方は覚えてるみたい、一時的だろうけど色々思い出したわ」

「弍乃さん、身体は……」


 ……気づけば全員でエキドナさんの居場所から砂浜へと転移していた。今の二美さんにこんな大規模な呪文(アーツ)を行使できる余裕はない、となると行使したのは弍乃さんで、そうなると彼女はクロノデバイスの使い方を……


「ティフォンの魔力が身体から抜けた影響でしょうね、クロノデバイスの補助機能がちょっとおかしな事になったみたい。長くは持たないけど今だけは味方だと思ってくれて構わないわシルウィア」

「!」


 私の名を呼んだ、つまり覚えている。二美さん達はしっかりやってくれたみたいだ。ただ……記憶の齟齬があるかもしれない。今のうちに確認を取っておくべきだろうか?


「しかしまあ……こんな感じで思い出すなんてね」





「私の髪は元々白だってこと」

「……え?」

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