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仲間達と幹部達との決闘の組み合わせ

 その夜、僕は部屋の外に待機している兵士に頼んで魔王の部屋に再び面会を申し込むが許可は下りなかった。

 仕方なく僕は、兵士に魔王軍幹部の素性を訊いてみる事にしたのである。


「あの~すみません……」

「何だ?」


 僕を見ずに声だけで答える。そして僕は彼に話を続けるのであった。


「魔王軍幹部について聞きたいのですが……教えて貰えませんでしょうか?」

「何故だ?」


 魔王軍幹部の情報は簡単に教えてはくれないらしい。

 内心、ムッとするが冷静を装って言ったのである。


「僕の仲間と魔王軍幹部達とで決闘する事になりました」

「そうか……頑張れよ」


 そこで兵士は顔だけこちらに向けて僕の顔を見る。少し訝しげな表情で……。

 その目は僕を値踏みしているようにも感じられたが、それからは何を聞いても無視していたのである。


 彼の対応に困っていたところ奥から、こちらに向かって来る足音が聞こえたので声をかけようと待っていた。

 すると現れた者は褐色肌のエルフの女性であった。


「これは、ナイア様……何か御用でしょうか?」

「ええ、この部屋に居るエルフに用があるから……」


 ナイアと呼ばれた女性は兵士に近付きながら答える。

 そして僕を見ると目を少し細めニコリと微笑んで言うのである。


「あら? 貴方は確か……アベルだったわね」

「はい、そうですが……」


 僕の名前を知っている事に驚きつつ返事をする。すると彼女は僕に近付いて来て言ったのだ。


「ダルグの町の酒場でエルフの格好をしていた女に見覚えはない?」

「あっ! あの時のエルフの女性でしたか……」

「そうよ……あの時は、魔王様の幻術に掛かり苦しんでいたようね。私も普通のエルフに見えるよう変装していたから」


 彼女は半歩ほどの距離まで近付きながら言う。そして僕の手を取り両手で握るのであった。

 その行動に少しドギマギする僕であったが、何とか冷静さを取り繕って答えるのである。


「ダークエルフだったんですね……」

「そう……私は魔王様の配下、ナイアよ」


 自己紹介をし僕の手を離した後、目を見詰めながら訊いてくる。


「それで……この部屋に居るエルフと話があるけどいいかしら?」

「あっ……はい、どうぞ」


 僕は少し戸惑いながらも了承する。するとナイアは僕の横を通り過ぎ部屋の中に入って行く。

 そして後から中に入るとアイラの表情は強張っており、ナイアを見詰める目は鋭く睨みつけていたのである。


「魔王軍幹部の1人、ナイアよ……明日の昼に貴方達と私達で、それぞれ対決するのが決まったみたいね……」

「ダークエルフ……エルフのみならず古エルフとも因縁深い相手だ」

「ええ、そうね。でも、貴女に恨みはないのだけど……私も負けるつもりはないわよ……」


 ナイアはアイラの目を見据えながら落ち着いた口調で言う。そして、不敵な笑みを見せたのだ。

 その笑顔を怪しんだのか彼女はより一層表情を強張らせて言ったのである。


「その態度……余裕たっぷりだな。私は武術家だ、 貴様はエルヴンストライクを会得しているのか!?」

「エルヴンストライク……。私もダークエルフに伝わる闇エルヴンストライクの使い手よ……どちらが強いか見物ね」

「望むところよ!」


 ナイアは上から目線でアイラを挑発し、彼女も顔を赤くして感情が昂りながら言い返す。

 2人のやり取りを見て僕は焦ってしまう。このままでは喧嘩に発展してしまうと……。

 そこで、アイラとナイアの間に割って宥めるように話をする。


「まあまあ、落ち着いて下さい……アイラさん」

「アベル……ダークエルフを前にして落ち着けというのは無理だ!」

「私は落ち着いているわよ……貴方とは違ってね」


 彼女は更に挑発するようにアイラを煽る。その態度に僕は困り果てるが、何とか怒りを収めて貰うために話題を変えるのである。


「明日の対決は僕と魔王、アイラさんとナイアさん以外は誰と誰なんですか?」

「戦士の格好をした方はゴルガドという魔族戦士よ……彼は竜人族の女と戦うみたい。ドワーフとハーフリングの相手はオーク軍団の将軍ゲルグ、ゴブリン達を束ねるゴブリンキングのアガーンよ」

「その件に関して、ドワーフとハーフリングは共闘という形にして貰うようギルバルスさんに伝えて貰っていいですか?」

「分かったわ……伝えておきましょう」


 彼女は頷き承諾してくれた。しかし、何故か視線を僕から外そうとしないのである。

 そして、ふと思い付いたように僕に質問してきたのだ。


「ねえ……アベル、貴方は本当に人間なの?」

「えっ? どういう意味ですか?」


 僕は彼女の質問の意味が分からず聞き返すとナイアは更に訊いてくる。


「普通の人間とは違う気がするけど……神に選ばれた者じゃないよね?」

「いいえ、僕は唯の魔力解除士ですよ」

「そう……」


 彼女は少し残念そうな感じで答える。そして、僕の目をジッと見つめた後ゆっくりと目を逸らしていく。

 どうやら、ナイアは僕の中に宿るアジェの存在を微かに感じ取ったようだ。


 だが、それを証明できるほど感じ取っている風ではない。更に今、対決前にアジェの事を知られる訳にはいかないのである。

 彼女は僕の言葉を疑うような目付きで見ながら相槌を打つ。そして、少し間を置いてから言う。


「まあ、いいわ……明日を楽しみにしているわよ」

「はい、僕も楽しみにしてます」


 ナイアは妖艶でダークエルフらしい邪悪な笑みを見せながら部屋を出て行く。

 それを見送っていると、アイラは憎々し気に彼女の後姿を見ていた。


「アベル……ダークエルフを信用するでないぞ」

「はい……了解です」

「アベルよ、明日は魔王軍幹部達と決闘だ! 絶対に負けられぬ!」

「ええ、勿論ですよ」


 僕は力強く答え、彼女もそれに呼応するように頷くのである。そして、僕達は明日の戦いに備えるのであった……。




 翌日になり魔王軍幹部達と対決する日となった。場所は魔王城の傍にある闘技場である。

 そこに僕とアイラ、バルバラ、ガラド、ニルスが集まっていた。


 闘技場には既に観客として魔族や魔物達が集まっており、僕達の決闘を今か今かと待ち侘びている。

 そんな魔族達を見て僕は緊張する。そんな中、アジェが頭の中で囁いてくる。


『アベル……大丈夫?』

(緊張してるけど……大丈夫だよ。アジェ)

『そう、ならいいけど……魔王との対決の時は任せてね』

(うん、その時は君が頼りだよ……)

『魔王の魔力……きっと膨大なんだろうな。楽しみ!』


 そう答えると、彼女は嬉しそうにハイテンションで返事をするのであった。

 そして、僕達が闘技場に入ると魔王軍の幹部達が既に待っていたのである。


 ゴルガドと言われる戦士は鎧を着こんでおり、ナイアは体を動かしやすい服装で臨んでいた。

 ゲルグと思われるオークも鎧を着ており、オークらしからぬ威厳と風格を漂わせている。


 対してゴブリンキングであるアガーンは相変わらず狡猾で下品な笑みを浮かべていたのである。

 魔王はと言うと特別席に座っており隣にはグレギギが座っていた。


「皆さん、お待たせしました」


 僕が代表して挨拶する。すると、ギルバルスが前に出て来て僕に言ってきたのである。


「いよいよだな……幹部達の力がどれ程のものか思い知るがいい」


 彼は自信満々で言い放つ。僕は思わず圧倒されてしまうが、気持ちを切り替えて言う。


「僕等も負けませんよ……」


 その言葉を聞いた瞬間、幹部達がそれぞれ敵意を露にし口に出す。


「我が剣の錆にしてやると言いたいところだが命のやり取りはするなと、命令されているので武器は木剣で勝負だ……手加減はせんぞ!」

「闇エルヴンストライク対エルヴンストライク……ダークエルフの秘技を喰らうがいい!」

「我輩は月並みな下品で好色なオークじゃないぞ、ハイオークだ!覚悟しろ!」

「グフフ……オレハ、ゴブリンキングダ……マケレバ、女タチハ……孕ミブクロニシテヤルゾ!」


 ゴルガドは、いかにも歴戦の戦士らしく発言する。ナイアもアイラに対して扇動するように言う。

 意外にもオークであるゲルグは誇り高く誠実な性格のようだ。


 それとは逆にアガーンは下品で好色の本性を現し、アイラとバルバラの女性陣とアベルに卑猥な言葉を投げかけていた。

 いよいよ、彼等との決闘が始まるのである……。

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